法哲学 平野 仁彦 ,亀本 洋 ,服部 高宏
法学系の編入試験では、法律の条文や判例だけでなく、法そのものの本質や正当性についての理解が問われることがあります。本書は法哲学の基礎的な考え方を学べる教科書で、法律学を深く理解するための土台を築くのに役立ちます。
この本の位置づけ
本書は法哲学の入門的な教科書として、法律の歴史的背景から現代の法的課題まで幅広く扱っています。大学の教養科目として採用されることが多く、編入学部で法学を学ぶ前の準備段階や、法学系学部の編入受験生が基礎知識を固めるのに適しています。
同じく基礎的な法学入門書と比べると、本書は「正義とは何か」「法システムはどう機能するか」といった哲学的な問い方を重視しており、単なる法律知識ではなく、法的思考の根底にある考え方を理解するのに特徴があります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入試験の準備を始める初期段階、特に出願予定の大学で法哲学や法学の基礎科目が試験範囲に含まれている場合に、最初の3~4ヶ月で一読することをお勧めします。早い段階で読むことで、その後の専門的な法律科目の学習をスムーズに進められます。
逆に試験日が近い時期に初めて手にすると、抽象度の高い内容の理解に時間がかかり、個別の判例や条文対策に割く時間が減ってしまう可能性があります。また、本書だけで法律系科目の全範囲をカバーできるわけではないため、他の科目との学習バランスも考慮して導入時期を判断してください。
使い方
目次の流れに沿って、第1章「現代の法と正義」から順に読み進めるのが基本です。各章は単独で理解できる設計になっていますが、後の章の内容をより深く把握するため、最初から読むことをお勧めします。
重要な概念が出てきたら、ノートに整理しながら読み、その概念が具体的にどの法律や判例に関わるのかを調べる習慣をつけてください。編入試験で実際に出題される論述問題では、法哲学的な考え方を判例や法制度の説明に織り交ぜることが求められるため、本書の内容と過去問の判例解説を往復させながら学習すると効果的です。
コラムも充実しており、例えばp.203の「自然言語と人工言語」やp.217の「一般条項」など、より発展的なテーマが扱われています。試験範囲に応じて、これらを選別して深掘りしてください。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.12 第1章 現代の法と正義「功利主義」がここで扱われています
- p.38 第2章 法システム「形式的正義」がここで扱われています
- p.102 価値相対主義
- p.126 公共的利益
- p.203 Column㉓ 自然言語と人工言語
- p.217 *Column㉗* 一般条項
注意点
本書は大学の教科書として編纂されているため、編入試験に特化した内容ではありません。当社の過去問分析では、この本が特定の編入試験で繰り返し問われている論点は確認されていないため、受験予定の大学の試験傾向に照らし合わせて、本当に必要か判断してから導入してください。
また、法哲学は抽象度が高く、読むだけでは理解が曖昧になりやすい分野です。本書を読んだ後は、必ず編入試験の過去問や受験科目の専門書と組み合わせて、法哲学的な概念がどのような法律問題に適用されるのかを確認する学習が必須です。単独で完結させずに、常に実務法学との接続を意識してください。







