ライブ講義大学生のための応用数学入門
大学編入の数学試験では、単なる計算技能だけでなく、微分方程式やベクトル解析、線型代数の応用まで出題される傾向が強まっています。特に工学系や理学系の学部では、これらの理論的背景を理解した上での問題解法が求められます。本書は、抽象的に感じやすいこれらの単元を、具体的な物理現象との結びつきを通じて学べる点が特徴です。
この本の位置づけ
本書は、微分積分や線型代数の基礎を修得した後、それらがどのような場面で活用されるかを学ぶ段階の受験生向けです。単なる計算問題集ではなく、波動方程式やマクスウェル方程式といった実際の物理・工学の現象を通じて、数学の概念がどう機能するかを理解することに重点を置いています。 他の応用数学参考書と異なり、本書は「ライブ講義」という形式で、丁寧な解説を通じて読者を導きます。定積分や対角化、ベクトル解析など、編入試験で頻出の個別単元を、バラバラに学ぶのではなく、相互の関連性を意識しながら学習できます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
基礎となる微分積分と線型代数(行列、固有値など)をおおよそ習得した時期、つまり編入受験対策の中盤以降に導入することをお勧めします。一般的には、編入受験まで6~8ヶ月ある段階での開始が効果的です。 もし基礎が不十分なまま本書に取り組むと、「計算はできても考え方がわからない」という状態に陥りやすいため、まずは基礎参考書で定着を確認してから進むことが重要です。逆に、過去問演習を始めた後に手にすると、問題背景の理解は深まりますが、試験直前の復習時間が限られるため、解説に時間をかけすぎないよう注意が必要です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
金沢大学理工学域
数学数学(微分積分、線形代数)
頻出テーマ定積分、置換積分、線型写像、多変数関数、対角化、トレース
本書の該当ページ区分求積法(p.12)、積分定数(p.31)、ポテンシャルエネルギー(p.183)、トレース(p.46)
お茶の水女子大学理学部
数学
頻出テーマ固有値・固有ベクトル、ベクトル解析、テイラー展開、複素数、勾配・発散・回転、常微分方程式
本書の該当ページ勾配・発散・回転(p.177)、固有値・固有ベクトル(p.26)、ベクトル解析(p.187)、テイラー展開(p.14)
数学数学(微分・積分,線形代数,微分方程式,複素関数)物理学
頻出テーマ行列の対角化、逆行列、対角化、境界条件、ガウスの法則、運動エネルギー
本書の該当ページ境界条件(p.114)、対角化(p.26)、行列の対角化(p.26)、ガウスの法則(p.215)
数学
頻出テーマ対角化、重積分、直交行列 orthogonal matrix、行列の対角化、特性方程式
本書の該当ページ微分演算子(p.79)、微分演算(p.79)、ラプラシアン(p.194)
信州大学理学部
数学
頻出テーマベクトル空間、正則行列、1次独立 linearly independent、重積分、複素数、線型写像
本書の該当ページ大きさ1(p.51)、ベクトル空間(p.89)、基底と次元(p.88)
東京都市大学理工学部
数学
頻出テーマラプラシアン、線形結合、置換積分、多変数関数、ベクトル、1次独立 linearly independent
本書の該当ページ一次結合(p.64)、連鎖律(p.27)、ラプラシアン(p.194)
数学
頻出テーマ線形変換、1次従属 linearly dependent、線形結合、フーリエ級数、変数分離、法線ベクトル
本書の該当ページフーリエ級数(p.101)、法線ベクトル(p.188)、線形結合(p.64)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書は通読型の参考書なので、目次の順に進めるのが基本です。各章は独立していますが、線型代数の基礎知識(対称行列、直交行列、固有値など、p.48 第3章)から始まり、それが波動方程式や量子力学、電磁気学(p.110 第9章、p.147 第11章、p.208 第17章)へとどう展開するかが見えやすい配列になっています。 読み方としては、各章の説明を読んだ後、その単元に関する過去問を実際に解くという往復を心がけてください。例えば、p.110 の波動方程式を学んだら、志望大学の過去問で関連する出題がないか探し、自分の理解が試験レベルに達しているか確認することをお勧めします。特に対角化(p.48付近)や常微分方程式などは複数の大学で繰り返し出題されているため、本書の解説と過去問の相互参照を丁寧に行うと、より深い理解につながります。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.48 第3章 線型代数1:対称行列と直交行列「中心化」がここで扱われています
- p.110 第9章 線型偏微分方程式1:波動方程式
- p.147 第11章 量子力学と線型代数「シュレーディンガー方程式」がここで扱われています
- p.208 第17章 マクスウェル方程式と電磁気学「電流密度」がここで扱われています
注意点
本書は理論的背景を丁寧に説明する参考書のため、読むだけでは問題が解けるようにはなりません。各章を読み終わった後、必ず関連する計算練習や過去問演習を自分で手を動かして行う必要があります。 また、本書はあくまで概念理解を助ける補助教材として位置付けてください。編入試験の全範囲(複素関数の積分、行列式の計算など)をすべてカバーしているわけではないため、志望大学の過去問に頻出の単元が本書に含まれているかどうか、事前に確認することをお勧めします。特に数値計算や確率統計が出題される場合は、本書のみでは対策が不十分になる可能性があります。







