憲法 芦部 信喜 1999,高橋 和之 憲法
憲法編入試験では、違憲審査権や具体的事件性といった憲法訴訟の仕組みと、平等権や言論の自由などの基本的人権が繰り返し問われます。しかし教科書的な説明だけでは、判例がどのように法理を展開させているのかが見えにくく、論述問題で説得力のある答案が書きにくいものです。本書は憲法学の基礎理論から判例までを体系的に解説し、こうした出題の背景にある考え方を理解する手助けになります。
この本の位置づけ
本書は、法学部の編入試験を目指す受験生を対象とした、憲法の標準的な参考書です。高校までの「公民」の知識では物足りない、大学レベルの憲法学の理論的枠組みを身につける必要がある段階の学習に適しています。 同じく憲法の参考書として選択肢がある場合、本書は判例と法理論のバランスが重視される点が特徴です。事項索引が充実しており、特定の論点(尊属殺重罰規定やヘイトスピーチなど)を集中的に学びたいときに、該当箇所をすぐに参照できる構成になっています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入試験の対策としては、受験予定の大学の過去問を一度解いた後、自分が解けなかった論点の背景理論を学ぶために導入するのが効果的です。一般的には受験準備の中盤~後盤、具体的には過去問演習を始めてから2~3ヶ月の間に活用するとよいでしょう。 もし準備期間の最初から本書に取り組むと、理論の抽象性に時間がかかり、試験まで日数がある場合でも効率的ではありません。逆に試験の直前(1ヶ月以内)に初めて本書を読むと、論点の背景を理解する時間が足りず、判例の詳細な説明が時間的な負担になる可能性があります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
法学
頻出テーマ違憲審査権、具体的事件性、平等権、尊属殺重罰規定、違憲判決、法改正
本書の該当ページ憲法訴訟(p.433)、具体的事件性(p.364)、付随的違憲審査制(p.405)、差別的言動(p.214)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書の読み方としては、まず事項索引(p.1)を確認して、自分が学びたい論点の掲載ページを特定することから始めます。その後、その論点が属する章(例えば「精神的自由権」などのセクション)の該当ページを読むことで、より広い文脈での理解が進みます。 過去問との往復では、まず過去問で「なぜこの判例が参考になるのか」という疑問が生じた時点で本書を参照し、その判例の背後にある法理論を確認するやり方が実践的です。例えば、尊属殺重罰規定に関する出題であれば、本書で該当の法理や判例についての記述を確認してから、過去問の解答欄を埋める、という流れになります。 複数回の過去問演習を回す際には、一度目の試行錯誤で出た疑問を二度目以降に本書で補強する使い方も効果的です。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.1 事項索引
- p.35 第三章 国民主権の原理
- p.102 (一) 一元的外在制約説
- p.182 第八章 精神的自由権(二)――内心の自由「教科書裁判」がここで扱われています
- p.252 二 居住・移転の自由
- p.296 学習権と国の責務
- p.338 第一四章 国 会「議員の資格争訟の裁判権」がここで扱われています
- p.400 第一八章 憲法の保障
注意点
本書の初版は1999年で、その後版が重ねられていますが、出版から年月が経っている点には留意が必要です。判例の法理論的な枠組みは今日でも基本的な価値を保っていますが、近年の社会的背景を踏まえた新しい判例(例えば、より最近のヘイトスピーチや外国人の人権に関する裁判例)については、本書では十分にはカバーされていない可能性があります。必ず最新版を入手し、出版年を確認してから導入してください。 難易度としては、編入試験の基礎~標準的な問題には対応できる内容です。しかし、国家権力と人権侵害の周辺領域や、公共の福祉と基本的人権の衝突に関する最新の議論については、本書だけでは最新の過去問に完全には対応できない場合があります。試験直前期には、使用する大学の最新の過去問と照らし合わせて、足りない論点があれば追加の資料で補うことをお勧めします。







