大学教養微分積分
大学編入の数学試験で多変数関数の微分・積分が出題される場合、高校数学との「次元の違い」に戸惑う受験生は多くいます。偏微分、重積分、ヤコビアンなど新しい概念が一度に現れるため、体系的な理解なしに過去問に取り組むと計算で行き詰まりやすいです。本書は、大学1年生向けの微分積分の教科書として、これらの概念を段階的に学べるよう設計されています。
この本の位置づけ
本書は、高校から大学の数学へ移行する段階の受験生を主な対象としています。理学系・工学系の編入試験で頻出される多変数関数の極限、偏微分、重積分といった領域を、基礎から丁寧に扱う標準的な教科書です。
他の微分積分参考書と比べて、本書は特に極座標変換や線形変換などの「座標変換を通じた微分積分」という視点を重視しており、重積分計算の実践的な手法が充実しています。また、関数の連続性や有界閉領域といった位相的な概念も、編入試験で出題される範囲で扱われています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書の学習は、編入試験対策の準備段階として、遅くとも対策開始の3~4ヶ月前には導入することをお勧めします。多変数関数の概念習得には時間がかかるため、過去問演習の前に十分な基礎固めが必要です。
導入が遅すぎる場合、計算テクニックだけを追うことになり、極値判定や置換積分の正当性が理解できないまま過去問に進むことになります。一方、導入が早すぎても、高校数学の積み残しがあると、本書の内容についていけなくなる可能性があります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
茨城大学理学部
数学
頻出テーマ多変数関数、多変数関数の極限、合成写像、多変数関数の連続性、有界閉領域、線形変換
本書の該当ページ曲面積(p.263)、有界閉領域(p.246)、多変数関数の連続性(p.184)、極座標(p.259)
金沢大学理工学域
数学
頻出テーマ極値判定、置換積分、接平面の方程式、多変数関数、微分積分学、極座標変換
本書の該当ページ定積分の定義(p.131)、接平面の方程式(p.202)、積分定数(p.134)、微分積分学(p.52)
近畿大学建築学部
数学
頻出テーマ部分分数分解、ロピタルの定理、2階線形微分方程式、余弦関数、合成関数の微分、級数展開
本書の該当ページ余弦関数(p.80)、ロピタルの定理(p.112)、級数展開(p.317)
近畿大学生物理工学部
数学
頻出テーマ合成関数の微分、三角関数、ロピタルの定理、置換積分、部分積分、無限大
本書の該当ページ無限大(p.58)、ロピタルの定理(p.112)、合成関数の微分(p.205)
京都工芸繊維大学工芸科学部
数学
頻出テーマ1階線形微分方程式、極値判定、2階線形微分方程式、多変数関数、ロピタルの定理
本書の該当ページロピタルの定理(p.112)、1階線形微分方程式(p.330)、多変数関数(p.178)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書を活用する際は、まず第1章から順序立てて読み進め、多変数関数の極限や連続性といった基礎概念を定着させることが重要です。その後、偏微分と重積分の各章に進み、各節の例題や問題を実際に手を動かして解くことで、計算方法を身につけます。
並行して、志望大学の過去問で関連する分野を解き、本書で学んだ概念がどのように出題されているかを確認します。特に、極座標変換や線形変換を用いた重積分の計算問題は、本書で何度も繰り返し演習することで、試験本番での対応力が高まります。わからない部分は本書に戻って確認し、概念と計算を結びつける往復を意識してください。
注意点
本書は大学の標準的な教科書であるため、編入試験の全ての出題範囲をカバーしているわけではありません。特に、問題によって要求される「不等式を使った証明」や「因数分解を応用した計算」など、高度な代数的操作が必要な問題には、本書の演習問題だけでは不十分な場合があります。
また、本書は理論的な説明を重視しているため、計算スピードを求める編入試験の時間制限に対応するには、過去問演習を通じた追加の練習が不可欠です。さらに、出版年が確認できていないため、最新の教科書版との内容の相違がないか、導入前に確認されることをお勧めします。







