民法 法学館,伊藤 真
民法は編入試験で出題される法律科目のなかでも、条文数が多く、論点が複雑に絡み合うため、受験生がつまずきやすい科目です。特に売買契約や所有権移転、不法行為といった頻出論点を、体系的に理解することが合格への鍵になります。本書は民法の全体像を図解と具体例で示すことで、細分化した論点を関連付けながら学べる構成になっています。
この本の位置づけ
本書は民法の初学者から基礎固めの段階にある受験生を想定しています。条文や判例を羅列するのではなく、日常的な事例を通じて「なぜそのルールが必要なのか」という背景を丁寧に解説しており、民法的な思考法を身につけるのに適しています。
他の民法参考書と異なり、本書は概説書的なアプローチをとっています。条文解釈に特化した実務書や、判例集中型の参考書ではなく、民法全体の構造を把握したうえで、個別論点に進みたい受験生に向いています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入対策を始める初期段階、遅くとも過去問演習の3ヶ月前には導入することをお勧めします。このタイミングで全体像をつかむことで、その後の過去問演習で出題背景を理解しながら解く力が身につきます。
導入が遅すぎると、過去問を解く際に個別論点に追われ、全体的な関連性を見落とすリスクがあります。逆に導入が早すぎると、抽象的な内容に感じられ、モチベーション維持が難しくなる可能性があります。受験予定時期から逆算して、余裕を持ったスケジュール管理が大切です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書は第1章から順に読むことで、民法の全体構造が理解できるよう設計されています。まずは1冊を通読し、民法的な思考枠組みをインプットすることが第一段階です。その際、各章に示されている図解や事例に注目し、「なぜこうなるのか」という因果関係を意識しながら読み進めてください。
通読後は、目指す大学の過去問に当たり、出題された論点が本書のどの章に相当するかを確認します。該当箇所を読み返すことで、知識が具体的な問題解法へ結びつきます。特に売買契約(p.217周辺)、所有権移転、不法行為(p.206)といった頻出論点については、過去問を解くたびに本書に立ち戻る癖をつけると効果的です。
本書で基礎を固めた後、条文や判例を扱う専門的な参考書に進むことで、より深い理解が可能になります。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.4 第1章 ようこそ民法の世界へ!──ボンジュール民法「家族法」がここで扱われています
- p.21 第2章 権利の主体(自然人)──人間も会社も「人」!「代理権」がここで扱われています
- p.154 第14章「有益費」がここで扱われています
- p.162 第15章「作為義務」がここで扱われています
- p.198 第18章 責任財産の保全──こんなにあるの!? 自分の財産を取り戻す方法「無資力」がここで扱われています
- p.206 第26章 不法行為──あなたの損害をお金にかえます「連帯債務」がここで扱われています
- p.214 第19章 人的担保──軽いハンコ、重い責任「絶対的効力」がここで扱われています
- p.217 第20章 契約総論──契約書がなくても契約は有効?!「申込み」がここで扱われています
注意点
本書の出版年を確認し、民法改正(特に2020年の民法改正)への対応状況を事前に調べることをお勧めします。出版年が古い場合、一部の条文内容が現在と異なる可能性があり、最新の過去問と照合する際に注意が必要です。
本書は概説的なアプローチのため、編入試験で要求される論文式答案の「書き方」や「論述の構成」については、別途問題演習を通じて習得する必要があります。また、本書だけで全ての細部まで網羅できるわけではないため、過去問で頻出にもかかわらず本書未掲載の論点が見つかった場合は、補助教材や条文解釈書で補填してください。







