国際紛争〔原書第10版〕 S .ナイ,,A. ウェルチ,田中 明彦,村田 晃嗣
国際紛争論は編入試験で頻出の分野ですが、単なる歴史的事実の暗記では対応できません。紛争がなぜ起きるのか、どのメカニズムで管理されるのかといった理論的な理解が求められます。本書は国際関係論の古典的なテキストとして、紛争の構造と対処方法を体系的に解説しており、編入試験で問われる理論的背景を学ぶのに適しています。
この本の位置づけ
本書は大学の講義用教科書として編まれた本です。編入受験生が初めて国際紛争論に触れる場合、概念や理論の全体像を掴むための基礎文献として機能します。難易度としては、専門用語の説明が丁寧であり、予備知識がなくても読み進められます。
同じく国際紛争を扱う入門書と比べると、本書は理論的な枠組みを重視しています。バランス・オブ・パワーや抑止理論、集団安全保障といった国際関係論の核となる概念を、歴史的事例とともに説明している点が特徴です。事例中心の本よりも、理論と事例の両立をめざす受験生に向いています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入試験の対策を始める初期段階(大学1年の後期~2年の前期)で導入するのが効果的です。法学や政治学系の学部志望者が、基礎となる理論を習得してから過去問演習に進む流れが理想的です。
試験直前期に初めて手をつけるのは避けてください。理論的な理解が浅いまま過去問を解くことになり、解説を読んでも背景が理解できない状態が生じます。逆に高1段階で読むと、抽象的な内容が頭に残りにくくなる可能性があります。
使い方
第1章の「主要な概念」から順に読み進め、国際紛争論の用語や枠組みを整理することをお勧めします。各章は独立した内容ですが、前の章で学んだ概念が後の章で活用されるため、飛ばし読みは避けましょう。
読む際は、各章で提示される具体的な歴史事例に注目してください。バランス・オブ・パワーなら第2章(p.131)、抑止と封じ込めなら第4章(p.222)といった具合に、理論がどのような場面で機能するのか、逆に機能しないのかを把握することが重要です。
テキストで理論を学んだ後、編入試験の過去問で「国際紛争」「冷戦」「安全保障」といったキーワードが出題されたときに、本書で学んだ枠組みを当てはめる練習をしてください。この往復を繰り返すことで、試験で求められる理論的な思考力が磨かれます。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.91 第1章 主要な概念「コンストラクティヴィズム」がここで扱われています
- p.131 第2章 大国間紛争の管理――バランス・オブ・パワー「ヴィルヘルム2世」がここで扱われています
- p.146 第3章 集団安全保障の興亡「ウィルソン」がここで扱われています
- p.222 第4章 抑止と封じ込め「アイゼンハワー」がここで扱われています
- p.254 第5章 紛争の管理「安全保障理事会」がここで扱われています
- p.286 第6章 東ヨーロッパ――新しい冷戦?「エリツィン」がここで扱われています
- p.368 第7章 グローバリゼーションの諸次元「セブン・シスターズ」がここで扱われています
- p.376 第9章「コンピューター」がここで扱われています
注意点
本書は原書第10版(日本語訳)ですが、初版の出版からかなり年月が経っています。第6章「東ヨーロッパ――新しい冷戦?」などは執筆当時の国際情勢を反映しており、現在の政治状況とは異なる部分があります。歴史的背景や理論枠組みは参考になりますが、最新の国際紛争事例については、新聞や時事問題対策教材で補完してください。
本書は教科書としての役割を想定しているため、ボリュームが大きく、すべてを熟読する必要はありません。編入試験で出題されやすい「バランス・オブ・パワー」「集団安全保障」「抑止理論」といった主要概念に絞って、重点的に学習することをお勧めします。この本だけで全ての国際紛争論の対策ができるわけではないため、志望先の過去問を確認した上で、追加の参考書を判断してください。







