基礎から学ぶ電気回路計算 永田 博義
電気回路は工学系編入試験で頻出される分野ですが、基礎となる計算方法の習得につまずく受験生は少なくありません。本書は「基礎から学ぶ」と謳う通り、電気回路計算の初歩的な段階から丁寧に解説している参考書です。編入対策として活用するには、自分の受験先がどの程度の難易度を出題しているかを事前に確認することが重要です。
この本の位置づけ
本書は電気回路の基本的な計算スキルを身につけたい受験生向けです。高専出身者や工業高校出身者で、すでに電気回路の基礎知識がある程度ある場合は、復習用として活用できます。一方、文系出身や電気に関する予備知識がほぼない状態から編入試験対策を始める場合は、本書の内容が実際の編入試験で求められるレベルと一致しているか、志望大学の過去問で確認してから導入することをお勧めします。
他の電気回路の参考書と比べると、本書は計算の「やり方」に焦点を当てた実用的なアプローチをとっています。理論的な背景よりも、問題を解く手順を習得することを優先する設計になっているため、演習量を重視する受験生に向いている可能性があります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書の導入時期は、個人の電気回路知識の習得状況に左右されます。電気回路の基礎用語(電圧、電流、抵抗など)がまったく分からない段階であれば、より入門的な教材から始め、本書は2冊目の参考書として位置づけるのが効果的です。
逆に、すでに基礎知識がある程度身についている場合に本書に取り組むと、復習として機能し、計算スピードの向上につながります。ただし、導入が遅すぎて試験直前に使い始めると、新しい内容の定着が間に合わない可能性があるため、余裕を持ったスケジュール計画が必要です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
東京農工大学工学部
数学
頻出テーマ微分方程式の解法、交流電圧、微分方程式の解、キルヒホッフの法則、消費電力、コンダクタンス
本書の該当ページ微分方程式の解法(p.271)、交流電圧(p.223)、微分方程式の解(p.271)、キルヒホッフの法則(p.92)
大阪公立大学工学部
物理
頻出テーマ微分方程式の解、交流電圧、方程式の解法、三相交流、コンダクタンス、消費電力
本書の該当ページ微分方程式の解(p.271)、交流電圧(p.223)、方程式の解法(p.271)、三相交流(p.261)
京都工芸繊維大学工芸科学部
物理
頻出テーマ微分方程式の解法、キルヒホッフの法則、皮相電力、過渡現象、テブナンの定理、直流回路
本書の該当ページ微分方程式の解法(p.271)、キルヒホッフの法則(p.92)、皮相電力(p.146)、過渡現象(p.267)
物理その他
頻出テーマ共振周波数、微分方程式の解法、直列接続、キルヒホッフの法則、消費電力、過渡現象
本書の該当ページ共振周波数(p.159)、微分方程式の解法(p.271)、直列接続(p.167)、キルヒホッフの法則(p.92)
宮崎大学工学部
数学
頻出テーマ並列共振、交流電圧、共振回路、皮相電力、キルヒホッフの法則、テブナンの定理
本書の該当ページ並列共振(p.159)、交流電圧(p.223)、共振回路(p.159)、皮相電力(p.146)
名古屋工業大学工学部
物理
頻出テーマ三相交流、皮相電力、過渡現象、消費電力、有効電力、無効電力
本書の該当ページ三相交流(p.261)、皮相電力(p.146)、過渡現象(p.267)、消費電力(p.209)
熊本大学工学部
数学情報
頻出テーマキルヒホッフの法則、過渡現象、有効電力、リアクタンス、交流電源、直流回路
本書の該当ページキルヒホッフの法則(p.92)、過渡現象(p.267)、有効電力(p.149)、リアクタンス(p.156)
三重大学工学部
物理数学
頻出テーマ共振周波数、並列共振回路、端子電圧、過渡現象、リアクタンス、交流回路
本書の該当ページ共振周波数(p.159)、並列共振回路(p.159)、端子電圧(p.278)、過渡現象(p.267)
物理
頻出テーマ微分方程式の解、キルヒホッフの法則、消費電力、直流回路、交流回路、オームの法則
本書の該当ページ微分方程式の解(p.271)、キルヒホッフの法則(p.92)、消費電力(p.209)、直流回路(p.46)
お茶の水女子大学理学部
数学物理
頻出テーマ共振周波数、微分方程式の解法、過渡現象、交流回路、インピーダンス、角速度
本書の該当ページ共振周波数(p.159)、微分方程式の解法(p.271)、過渡現象(p.267)、交流回路(p.184)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書を活用する際は、まず章立てに沿って順序通りに学習を進めることをお勧めします。各章で扱われている計算項目について、解説を読んだ後に演習問題に取り組み、計算の流れを身体で覚えるようにしてください。
学習を進める中で、自分の志望大学の過去問に登場する回路計算と本書の内容を比較しながら進めるとより効果的です。過去問で出題されている計算方法が本書に含まれているかを確認し、含まれていない場合は別途対策が必要か判断します。また、計算の正確性を高めるため、同じタイプの問題を複数回繰り返し解くことも重要です。
注意点
本書の出版年が確認できないため、記載されている内容が最新の出題傾向に対応しているかは検証が必要です。編入試験の出題範囲が改定される場合があるため、導入前に志望大学の最新シラバスや過去数年分の問題を確認してください。
本書が「基礎」を扱う参考書であるという点に注意が必要です。志望大学の編入試験が応用問題や高度な理論的背景を問う場合、本書だけでは対策が不十分になる可能性があります。過去問を解いて必要なレベルを把握した上で、本書を補完する参考書の追加が必要か判断してください。




