ブラウン生化学 Brown Terence A,新井 洋由
生化学は編入試験でよく出題される分野ですが、有機化学と生物学の両方の知識が必要なため、多くの受験生が体系的な理解に苦労します。特にタンパク質や糖質、脂質などの生体分子の構造と機能の関係をつかみきれないと、応用問題に対応できません。本書は、生化学の基礎から応用までを段階的に学べる教科書として、この課題に取り組むために活用できます。
この本の位置づけ
本書は、大学の生化学基礎講義で使われることを想定した教科書です。編入試験の対策本ではなく、正統的な生化学の教科書として書かれているため、農学部、理学部、食品学など生化学を本格的に学ぶ学部受験生向けです。
通常の参考書や問題集とは異なり、この本は生化学の全体像を深く理解することに重点を置いています。試験直前の暗記補助ではなく、生化学という学問の論理的な構造を身につけることが目的です。そのため、編入試験で頻出の「トリアシルグリセロール」「アミノ酸」「遺伝子組換え」といったテーマについても、単なる知識の列挙ではなく、なぜそのような構造や性質を持つのかという根拠から学べます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入試験の対策を本格化させる1年前から、生化学が試験科目に含まれることが決まった時点で導入するのが理想的です。この本は一通り読むのに時間がかかるため、直前期から始めると基礎固めの途中で試験を迎える可能性があります。
逆に編入試験までの時間に余裕がない場合は、本書全体を読み込むのではなく、受験予定大学の過去問に頻出する単元(例えば神戸大学農学部志望ならば分子生物学関連など)に絞って学ぶ活用法もあります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
生物化学
頻出テーマユビキチン化、グリコーゲン分解、グリコーゲン合成、ホスホエノールピルビン酸、脂肪酸合成、尿素回路
本書の該当ページユビキチン化(p.394)、グリコーゲン分解(p.216)、グリコーゲン合成(p.218)、ホスホエノールピルビン酸(p.222)
高知大学医学部
数学
頻出テーマクロマトグラフィー、検出器、リパーゼ、デヒドロゲナーゼ、アスパラギン酸、筋細胞
本書の該当ページクロマトグラフィー(p.417)、検出器(p.409)、リパーゼ(p.243)、デヒドロゲナーゼ(p.168)
生物化学
頻出テーマシグナルペプチド、明反応、岡崎フラグメント、アミラーゼ、コラーゲン、メチル化
本書の該当ページシグナルペプチド(p.370)、明反応(p.202)、岡崎フラグメント(p.300)、アミラーゼ(p.125)
お茶の水女子大学理学部
数学化学生物
頻出テーマシグナルペプチド、補因子、ピリミジン、αヘリックス、三次構造、アシル化
本書の該当ページシグナルペプチド(p.370)、補因子(p.122)、ピリミジン(p.275)、αヘリックス(p.44)
静岡大学農学部
化学生物
頻出テーマアルデヒド基、アノマー、三次構造、二次構造、生体膜、古細菌
本書の該当ページアルデヒド基(p.104)、アノマー(p.107)、三次構造(p.47)、二次構造(p.42)
生物小論文化学
頻出テーマアスパラギン酸、αヘリックス、βシート、ステロイドホルモン、ヌクレオソーム、二次構造
本書の該当ページアスパラギン酸(p.183)、αヘリックス(p.44)、βシート(p.46)、ステロイドホルモン(p.256)
秋田大学医学部
生物
頻出テーマシグナルペプチド、ユビキチン、プロテアソーム、ペルオキシソーム、シグナル伝達、生合成
本書の該当ページシグナルペプチド(p.370)、ユビキチン(p.394)、プロテアソーム(p.395)、ペルオキシソーム(p.249)
愛媛大学医学部
物理化学
頻出テーマ尿素回路、ペントースリン酸経路、テロメラーゼ、岡崎フラグメント、質量分析、糖新生
本書の該当ページ尿素回路(p.282)、ペントースリン酸経路(p.227)、テロメラーゼ(p.304)、岡崎フラグメント(p.300)
旭川医科大学医学部
生物
頻出テーマホスホフルクトキナーゼ、- 電気化学的勾配、ステロイドホルモン、シグナル伝達、古細菌、ヒストン
本書の該当ページホスホフルクトキナーゼ(p.158)、- 電気化学的勾配(p.180)、ステロイドホルモン(p.256)、シグナル伝達(p.97)
滋賀医科大学医学部
化学物理小論文
頻出テーマスフィンゴ脂質、終止コドン、ペルオキシソーム、プロテインキナーゼ、リガーゼ、膜タンパク質
本書の該当ページスフィンゴ脂質(p.84)、終止コドン(p.344)、ペルオキシソーム(p.249)、プロテインキナーゼ(p.218)
島根大学医学部
英語物理
頻出テーマ二量体、脱炭酸、アルデヒド基、β酸化、アシル化、システイン
本書の該当ページ二量体(p.312)、脱炭酸(p.169)、アルデヒド基(p.104)、β酸化(p.248)
香川大学医学部
物理
頻出テーマプロテアソーム、kinase、アノマー、シグナル伝達、ゴルジ体、クロマチン
本書の該当ページプロテアソーム(p.395)、kinase(p.467)、アノマー(p.107)、シグナル伝達(p.97)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず本書の目次を確認し、受験予定大学の過去問に出題されている分野がどの章に該当するかを把握してから読み始めてください。構造式や反応機構の図が多いため、ただ眺めるのではなく、ノートに自分で描き直しながら進めることをお勧めします。
読む順序としては、受験に必要な単元から優先するか、前から順に基礎を固めるかの二つの戦略が考えられます。前者は過去問との往復が早期にできる利点があり、後者は生化学の全体的な理解が深まる利点があります。いずれの場合も、本書を読み終えた後は必ず過去問に戻り、学んだ知識がどのような形で出題されるかを確認してください。
有機化学や物理化学の基礎が不安な場合は、本書の該当箇所(コンホメーション、光学異性体など)を読むだけでなく、別途その領域の参考書を参照することも検討してください。
注意点
本書は教科書であり、編入試験対策に特化して書かれていません。そのため、実際の試験では出題されない細かい内容も含まれており、全て暗記する必要はありません。受験科目が確定した後、出題傾向を踏まえて学習範囲を決めることが効率的です。
本書は正統的な生化学の知識を習得するには優れていますが、試験形式(選択肢問題、計算問題など)に特化した演習はできません。本書で基本を固めた後、編入試験対策用の問題集や過去問で実践的な対策を並行して進めることが重要です。




