よくわかるアメリカ文化史 巽 孝之 ,宇沢 美子
大学編入試験で人文学系の科目を受験する場合、アメリカ文化の歴史的背景を理解することは、設問の文脈把握に役立ちます。ただしアメリカ文化史は出題範囲が広く、どの時代のどの領域に絞るかが学習効率を大きく左右します。本書は19世紀から20世紀のエンターテインメント、モダニズム、ハーレム・ルネッサンスなど、文化的な転換点を中心に解説しており、編入試験の背景知識補強に活用できます。
この本の位置づけ
本書は大学の一般教養課程で学ぶレベルの文化史入門書として位置づけられます。アメリカ文化を政治経済ではなく文化現象の変化として捉える視点が特徴であり、教科書的な歴史年表ではなく、各時代の社会と文化のつながりを理解したい受験生に適しています。
同じアメリカ史でも政治・経済・外交を中心とした通史参考書とは異なり、本書はエンターテインメント、見世物、文学運動といった文化領域に特化しています。編入試験で標準的な出題対象となるアメリカ政治史や経済史との併用学習が前提となる点に注意してください。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書は試験対策の中盤以降、基礎的な歴史知識が定着した段階で導入することを推奨します。具体的には、アメリカの通史や政治体制についての参考書で骨組みを理解した後に、文化的背景を深掘りする際の補助教材として活用するのが効果的です。
早すぎる導入は、時代背景や人物関係の理解が追いつかず、孤立した知識になる可能性があります。逆に試験直前の導入は、文化史という応用的な領域の習得に十分な時間が取れないため、基礎参考書の復習に時間を割く方が得策です。
使い方
本書の使用方法としては、まず志望大学の過去問を確認し、出題範囲にアメリカ文化史が含まれているかを判断することから始めてください。該当する場合、目次から関連する章(第3章19世紀のエンターテインメント、第5章見世物とモダニティ、第12章モダニズムとハーレム・ルネッサンスなど)を重点的に読み進めます。
読みながら、登場する文化現象や運動がいつ、どのような社会状況で生まれたのかを整理することが大切です。単に知識を頭に入れるのではなく、時代の流れの中で各要素がどう関連しているかをノートに図解にまとめると、後の過去問演習で背景知識として活用しやすくなります。
ただし本書だけで十分な対策になるわけではありませんので、過去問で繰り返し出題されている論点であれば、より詳細な専門書や関連する時代の政治経済の参考書と組み合わせて学習してください。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.34 第3章 19世紀のエンターテインメント「ミンストレル・ショー」がここで扱われています
- p.54 第5章 見世物とモダニティ「ダゲレオタイプ」がここで扱われています
- p.124 第12章 モダニズムとハーレム・ルネッサンス「ニュー・ニグロ」がここで扱われています
注意点
本書は一般向けの啓蒙書としての性格が強く、編入試験対策用に体系化された参考書ではありません。試験に必要な範囲がすべてカバーされているとは限らないため、本書の記述だけを頼りに学習を進めるのは避けてください。
また出版年を確認し、記述された文化史解釈が現在の学界の標準的見解と一致しているかをあらかじめ検討しておくことをお勧めします。加えて、本書はアメリカ文化全般を扱うため、志望大学の出題範囲がアメリカ文化史ではなく別の領域(例えばアメリカ政治思想や経済史)である場合は、あえて本書を優先する必要はありません。







