橋爪のゼロから劇的にわかる無機・有機化学の授業 図やイラストがカラーで見やすい
編入試験の化学は、無機と有機の両分野を同時に対策する必要があり、多くの受験生が概念の結びつきが分からず暗記に頼ってしまいます。本書は橋爪先生による講義形式で、図やイラストをカラーで多用しながら、無機・有機化学の根底にある考え方を丁寧に解説しています。工学系や理学系への編入を目指す場合、特に基礎固めの段階で力強い味方になるでしょう。
この本の位置づけ
本書は高校化学の基礎から編入試験に必要な水準までを段階的に説明しており、化学が苦手な受験生や、短大・高専出身で化学の学習が不足している受験生に適しています。4年制大学の1〜2年生であっても、講義で習った内容を体系的に整理し直したい場合に有効です。 他の参考書との違いは、イラストや図解による視覚的な理解を重視している点です。無機化学では塩化物イオンや一酸化炭素の製法(p.9、p.37)、有機化学ではエテンやモノカルボン酸(p.203、p.238)など、個別の化合物の性質と反応を「なぜそうなるのか」という視点から学べます。暗記型ではなく、思考型の参考書といえます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
化学の学習を開始する段階、または既存の講義内容を整理し直す段階で導入することをお勧めします。遅くとも編入試験まで6ヶ月以上の期間がある時点で手に取り、章立てに沿って基礎概念を固めておくと、その後の過去問演習がスムーズになります。 逆に試験3ヶ月以内に導入すると、ページ数が多いため最後まで読み切れず、理解途中で過去問演習に移行することになりかねません。また、すでに化学の基礎が定着している受験生が直前期に使用すると、復習に時間を費やしてしまい、過去問での得点力向上に結びつかない可能性があります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
名古屋工業大学工学部
化学(基礎物理化学・基礎有機化学・基礎無機化学)
頻出テーマ有機化合物、アルコール、酸化還元反応、化学反応式、異性体、構造式
本書の該当ページアルコール(p.218)、有機化合物(p.172)、酸化反応(p.260)
共立女子大学家政学部
食品学(食物栄養学)
頻出テーマラクトース、アミラーゼ、ペクチン
本書の該当ページペクチン(p.325)、アミラーゼ(p.328)、ラクトース(p.321)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
第一に、目次を確認して、自分の弱点分野から読み始めても構いません。たとえば無機化学が苦手であれば、ミョウバン(p.147)を含む無機化合物の章から、有機化学が苦手であればエテン(p.203)やアミノ酸の章から取り組むのが効果的です。 第二に、図やイラストを見る際は、単に眺めるだけでなく、自分で構造式やイオン式を紙に書いて再現することをお勧めします。特に有機化学の構造異性体や光学異性体は、視覚情報と手を動かす学習を結合させることで定着が進みます。 第三に、本書で基本概念を学んだ後は、志望大学の過去問で該当論点を探して演習します。たとえば酸化還元反応や電気分解について学んだら、その旨の過去問を解き、本書で習った考え方が実際の問題でどう応用されるかを確認する往復学習が有効です。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.9 (2) 塩化物イオン Cl⁻「塩化物イオンCl−」がここで扱われています
- p.37 ③ 一酸化炭素COの製法
- p.147 (3) ミョウバン AlK(SO₄)₂・12H₂O「ミョウバンAlK2・12H2O」がここで扱われています
- p.203 (1) エテン CH2=CH2
- p.238 (1) モノカルボン酸(1価カルボン酸)
- p.300 Step 2 高級脂肪酸の名称と構造をおさえよう!
- p.326 ③ ヨウ素デンプン反応
- p.374 (1) ポリエチレン(熱可塑性樹脂)
注意点
本書の出版年を確認し、有機化学の命名法(IUPAC命名法など)が現在の編入試験基準と一致しているかを、志望大学の過去問と照らし合わせておくことをお勧めします。化学は比較的新しい基準への対応が求められるため、古い版では命名方法に違いが生じる可能性があります。 第二に、本書は体系的な理解を重視しているため、問題演習に特化した構成ではありません。したがって、本書で概念を学んだ後は、必ず過去問演習や問題集で実践的な計算問題や考察問題に取り組むことが不可欠です。本書だけでは試験での得点力に直結しません。 第三に、本書は高級脂肪酸(p.300)やヨウ素デンプン反応(p.326)、ポリエチレン(p.374)など生物有機化学の内容も含みますが、編入試験の出題範囲は大学によって異なります。志望大学の過去問を事前に確認し、扱うべき分野の優先順位を決めてから学習を進めることが大切です。







