熱力学 岸根 順一郎
熱力学は編入試験の物理で出題される重要分野ですが、温度やエネルギーの概念が抽象的で、つまずきやすい受験生が多くいます。特に大阪大学・北海道大学・岐阜大学の工学部では、カルノーサイクルや断熱過程など応用的な問題が繰り返し出題されています。本書は熱力学の基礎から実践的な問題解法まで、系統立てて学べる参考書です。
この本の位置づけ
本書は、高校物理の熱分野を既に学んでいる受験生を対象としています。大学の標準的な熱力学教科書として位置づけられており、編入試験で問われるレベルに対応できるだけの深さがあります。
同じ熱力学を扱う他の教科書と比べると、本書は特にエネルギー保存則や熱平衡、カルノーサイクルなど、過去問で頻出する論点を体系的に扱っている点が特徴です。計算問題を通じた理解を促す構成になっており、単なる概念学習に終わらない実践性があります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書の学習を開始するのは、編入試験の準備期間が確保できる時期、目安として試験の6~8ヶ月前が理想的です。このタイミングで基礎概念を固めることで、その後の過去問演習で応用問題に対応する余裕が生まれます。
もし学習時期が遅れると、計算問題の定着が不十分なまま過去問に臨むことになり、ケアレスミスや理解不足が目立つようになります。逆に早すぎる場合、一度学んだ内容を試験直前に復習する際に改めて時間を費やすことになるため、バランスの取れたスケジュール管理が大切です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
物理数学
頻出テーマ加法性、エントロピー増大則、熱力学ポテンシャル、準静的過程、圧縮性、可逆過程
本書の該当ページ加法性(p.41)、エントロピー増大則(p.104)、熱力学ポテンシャル(p.240)、準静的過程(p.141)
物理化学数学
頻出テーマエアコン、低温熱源、量子論、可逆過程、常磁性、カルノーサイクル
本書の該当ページエアコン(p.184)、低温熱源(p.175)、量子論(p.270)、可逆過程(p.169)
お茶の水女子大学理学部
数学化学
頻出テーマ可逆性、熱平衡、統計力学、可逆過程、エネルギー保存則、エネルギー保存
本書の該当ページ可逆性(p.99)、熱平衡(p.113)、統計力学(p.279)、可逆過程(p.169)
東京農工大学工学部
数学
頻出テーマエアコン、常磁性、カルノーサイクル、化学ポテンシャル、エネルギー保存、熱容量
本書の該当ページエアコン(p.184)、常磁性(p.202)、カルノーサイクル(p.173)、化学ポテンシャル(p.262)
数学化学物理
頻出テーマ断熱容器、示量性、常磁性、エネルギー保存則、化学ポテンシャル、物理量
本書の該当ページ断熱容器(p.72)、示量性(p.44)、常磁性(p.202)、エネルギー保存則(p.29)
物理英語数学
頻出テーマ熱平衡、動摩擦、エネルギー保存則、エネルギー保存、ピストン、位置エネルギー
本書の該当ページ熱平衡(p.113)、動摩擦(p.24)、エネルギー保存則(p.29)、エネルギー保存(p.29)
電気通信大学情報理工学域
数学
頻出テーマ不可逆性、熱平衡、準静的過程、可逆過程、カルノーサイクル、エネルギー保存
本書の該当ページ不可逆性(p.99)、熱平衡(p.113)、準静的過程(p.141)、可逆過程(p.169)
京都工芸繊維大学工芸科学部
物理化学
頻出テーマ単原子分子理想気体、常磁性、エネルギー保存則、物理量、エネルギー保存、位置エネルギー
本書の該当ページ単原子分子理想気体(p.88)、常磁性(p.202)、エネルギー保存則(p.29)、物理量(p.6)
物理数学
頻出テーマエネルギー保存、位置エネルギー、ランク、内部エネルギー、不等式、摩擦力
本書の該当ページエネルギー保存(p.29)、位置エネルギー(p.19)、ランク(p.108)、内部エネルギー(p.57)
物理
頻出テーマ熱平衡、動摩擦、エネルギー保存則、エネルギー保存、熱容量、内部エネルギー
本書の該当ページ熱平衡(p.113)、動摩擦(p.24)、エネルギー保存則(p.29)、エネルギー保存(p.29)
物理数学
頻出テーマエネルギー保存則、エネルギー保存、関係式、位置エネルギー、不等式、ランク
本書の該当ページエネルギー保存則(p.29)、エネルギー保存(p.29)、関係式(p.226)、位置エネルギー(p.19)
金沢大学理工学域
数学
頻出テーマ凸関数、エネルギー保存則、エネルギー保存、不等式、ランク、力学的エネルギー
本書の該当ページ凸関数(p.93)、エネルギー保存則(p.29)、エネルギー保存(p.29)、不等式(p.170)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書は最初から順に読み進めることをお勧めします。温度変化や位置エネルギーなど基本的な概念から始まり、段階的にエネルギー保存則や熱効率といった複雑な論点へ進む構成になっているためです。
章ごとに含まれる練習問題を必ず手で計算してください。特にカルノーサイクルや断熱過程、等温過程については、図を描きながら物理現象を視覚化することが効果的です。本書で基本的な計算パターンを習得した後、大阪大学や北海道大学などの過去問に取り組み、問題形式がどのように変わるかを確認するという往復学習を推奨します。
過去問で正答できない箇所が出たら、該当する単元に本書で立ち戻り、概念や計算手順を再確認する習慣をつけましょう。
注意点
本書の出版年を確認の上、学習を進めてください。理論体系としての熱力学自体は変わりませんが、最新版を使うことで表記ゆれや図表の見やすさで利点があります。
本書は大学レベルの標準的な熱力学教科書であり、受験対策に特化した参考書ではありません。そのため、編入試験に出題される問題形式や、工学的応用に関する深い内容については、本書だけでは不足する場合があります。必ず過去問演習と組み合わせて、試験特有の問われ方に慣れる必要があります。
また、本書は理論的な導出や証明も詳しく扱うため、計算技能だけを身につけたい場合は別の問題集を並行して使うことをお勧めします。




