手を動かしてまなぶ線形代数 藤岡 敦
線形代数は編入試験で頻出ですが、「定義は分かるのに問題が解けない」という受験生が多くいます。特に固有値・固有ベクトル、対角化、線型写像といった抽象的な概念は、講義を聞くだけでは理解が浅くなりがちです。本書は「手を動かす」ことで、これらの概念を具体的に身につけられる参考書です。
この本の位置づけ
本書は線形代数の基礎から標準レベルまでを扱う教科書型の参考書です。大学の講義で習う内容を体系的にまとめており、高専や短大から編入を目指す受験生、あるいは大学1年生で線形代数を学び直す必要がある受験生の強い味方になります。
他の参考書と異なり、本書は「読む参考書」ではなく「手を動かす参考書」です。例題や問題を通じて、行列の演算、同次連立1次方程式の解法、行列の階数や逆行列の求め方といった計算技法を習得します。編入試験で問われる固有空間、対角化、直交行列、正則行列といった論点も網羅しており、過去問演習の前段階として使用できます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入対策を開始した時点で、早めに導入することをお勧めします。遅くとも過去問演習を始める3ヶ月前には学習を完了させましょう。
導入が遅れると、過去問で計算ミスが増えたり、概念の理解が不十分なまま過去問に進むことになります。逆に早すぎる場合のリスクは少ないため、編入受験の決定後はなるべく早く取り組むことで、後の学習がスムーズになります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
金沢大学理工学域
数学数学(微分積分、線形代数)
頻出テーマ固有空間、対角化、線型写像、像と核、部分空間 subspace、トレース
本書の該当ページ合成写像(p.167)、平行移動(p.107)、像と核(p.171)、トレース(p.118)
数学
頻出テーマ対角化、固有空間、ベクトル空間、対称行列 symmetric matrix、行列の対角化
本書の該当ページ固有空間(p.192)、ベクトル空間(p.123)、対角化(p.210)
九州工業大学情報工学部
数学
頻出テーマ同次連立1次方程式、自明な解、対角化、対称行列 symmetric matrix、正則行列、トレース
本書の該当ページ同次連立1次方程式(p.46)、自明な解(p.41)、トレース(p.118)
数学
頻出テーマ対称行列 symmetric matrix、正則行列、逆行列
本書の該当ページ交代行列 antisymmetric matrix(p.14)、正則行列(p.55)、対称行列 symmetric matrix(p.8)
線形代数
頻出テーマ固有空間、線型写像、直交行列 orthogonal matrix、部分空間 subspace、対称行列 symmetric matrix
本書の該当ページ固有空間(p.192)、部分空間 subspace(p.128)、対称行列 symmetric matrix(p.8)
岡山大学工学部
線形代数学
頻出テーマ直交行列 orthogonal matrix、2次曲線 quadratic curve、行列の対角化、正規化
本書の該当ページ正規化(p.236)、行列の対角化(p.202)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
目次から「固有値と固有ベクトル」「対角化」「像と核」などの節を優先的に学習してください。各章の例題をノートに写しながら、計算過程を省かず丁寧に追うことが重要です。
学習の進め方としては、1つの節を読んだ後、その節の問題をすべて解くという流れを繰り返します。わからない部分は何度も戻って確認し、計算の根拠を理解してから先に進みましょう。
本書で基礎的な計算技法を習得した後、志望大学の過去問に進み、実際の出題形式に対応する練習をします。過去問を解く際に計算方法が曖昧な部分が出てきたら、本書に戻って該当箇所を確認する往復学習が効果的です。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.4 2 零行列「零行列 zero matrix」がここで扱われています
- p.7 5 転置行列
- p.8 6 対称行列「対称行列 symmetric matrix」がここで扱われています
- p.8 7 行ベクトルと列ベクトル
- p.14 2 交代行列「交代行列 antisymmetric matrix」がここで扱われています
- p.23 1 行列のブロック
- p.46 2 同次連立1次方程式「斉次 homogeneous」がここで扱われています
- p.66 6 置換の符号「コード」がここで扱われています
注意点
本書は講義形式の教科書であり、編入試験の過去問とは問題の形式や難易度が異なります。本書だけでは不十分で、志望大学の過去問演習は別途必須です。
本書は理学系・工学系向けの内容になっており、経済学部編入を目指す受験生でも線形代数の基礎理論が必要な場合は活用できますが、経済学特有の応用問題には対応していません。志望学部の過去問で線形代数がどの程度の深さで問われるかを事前に確認してから導入を判断してください。







