動物遺伝育種学 祝前 博明 ,国枝 哲夫,野村 哲郎
農学系の編入試験では、遺伝学の基礎知識だけでは対応できない、育種や集団遺伝学の応用問題が出題されることがあります。特に突然変異率のような、遺伝現象の定量的な理解が求められる分野は、独学では学習の全体像がつかみにくいものです。本書は、遺伝育種学の専門的な内容を体系的に学べる教科書として、こうした応用分野の理解を深めるのに役立ちます。
この本の位置づけ
本書は大学の農学部や畜産学科の講義教科書として編まれた、中程度以上の専門知識を必要とする参考書です。遺伝学の基本(メンデル則、相伝様式など)を一通り理解してから進むことが前提とされています。
一般的な遺伝学の教科書では集団レベルの遺伝現象をあつかいませんが、本書は突然変異率や遺伝子頻度といった、集団単位での定量的な遺伝現象を中心としています。編入試験で「〜の遺伝子頻度を求めよ」といった計算問題が出る場合、本書のアプローチが直結します。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
遺伝学の基本単元を高校生物や大学初年次の生物学で学んだ後、編入試験の過去問を見て「集団遺伝学や突然変異率の問題が出ている」ことに気づいたタイミングで導入するのが適切です。遺伝学の基礎がまだ曖昧なまま手をつけると、専門用語と計算ロジックの両方で迷子になる可能性があります。
逆に、試験直前期(3ヶ月以内)からの新規導入は、内容量が多いため消化しきれず、むしろ不安を増す恐れがあります。遅くとも4〜5ヶ月前までに学習計画に組み込むことをお勧めします。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
生物化学
頻出テーマ家畜化、遺伝的改良、ゲノム編集、ヌクレアーゼ、ノックアウト、遺伝的多様性
本書の該当ページ家畜化(p.3)、遺伝的改良(p.122)、ゲノム編集(p.158)、ヌクレアーゼ(p.158)
生物
頻出テーマヘテロ接合度、近交係数、近親交配、ゲノム編集、遺伝子改変、塩基置換
本書の該当ページヘテロ接合度(p.167)、近交係数(p.126)、近親交配(p.133)、ゲノム編集(p.158)
高知大学医学部
数学
頻出テーマ遺伝子座、ヘテロ接合、染色分体、組換え価、遺伝学、対立遺伝子
本書の該当ページ遺伝子座(p.23)、ヘテロ接合(p.80)、染色分体(p.24)、組換え価(p.25)
英語生物小論文
頻出テーマゲノム編集、相同組換え、ニワトリ、遺伝的多様性、二本鎖切断、ヘテロ接合体
本書の該当ページゲノム編集(p.158)、相同組換え(p.158)、ニワトリ(p.57)、遺伝的多様性(p.166)
鹿児島大学医学部
生物英語
頻出テーマ相同組換え、遺伝子改変、組換え価、遺伝学、変異性、スプライシング
本書の該当ページ相同組換え(p.158)、遺伝子改変(p.157)、組換え価(p.25)、遺伝学(p.12)
大分大学医学部
生物
頻出テーマ染色体数、原因遺伝子、遺伝的多様性、塩基置換、染色分体、コドン
本書の該当ページ染色体数(p.18)、原因遺伝子(p.64)、遺伝的多様性(p.166)、塩基置換(p.41)
鳥取大学医学部
生物
頻出テーマ遺伝子改変動物、ゲノム編集、ノックアウト、メンデルの法則、遺伝子座、スプライシング
本書の該当ページ遺伝子改変動物(p.157)、ゲノム編集(p.158)、ノックアウト(p.158)、メンデルの法則(p.52)
旭川医科大学医学部
生物
頻出テーマ対立遺伝子、遺伝子頻度、遺伝子型、塩基配列
本書の該当ページ対立遺伝子(p.59)、遺伝子頻度(p.74)、遺伝子型(p.65)、塩基配列(p.43)
宇都宮大学農学部
生物
頻出テーマゲノム編集、ハーディー・ワインベルグの法則、コドン、塩基配列
本書の該当ページゲノム編集(p.158)、ハーディー・ワインベルグの法則(p.68)、コドン(p.44)、塩基配列(p.43)
琉球大学医学部
小論文生物医療・看護
頻出テーマ遺伝子改変、ゲノム編集、メンデルの法則、遺伝学
本書の該当ページ遺伝子改変(p.157)、ゲノム編集(p.158)、メンデルの法則(p.52)、遺伝学(p.12)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
最初から順に読み進めるのではなく、まず目次から「突然変異率」「遺伝子頻度」など、過去問に出た論点に関連するセクションをピンポイントで読むことをお勧めします。その後、該当単元の基礎となっている前のページを遡るという逆向き読みで、必要な知識をつなぎ合わせていく方法が効率的です。
過去問で計算問題として出題されている場合は、本書で同じテーマの例題や図解を確認し、「なぜその式が成り立つのか」という原理を理解してから、もう一度過去問に戻って計算プロセスを追う流れが効果的です。わからない概念が出てきたら、その都度本書の該当ページを参照する辞書的な使い方も可能です。
注意点
本書は大学の専門教科書であり、編入試験対策のために執筆されたものではありません。そのため、神戸大学医学部の入試で問われやすい項目と、本書の章立てが完全に一致しない可能性があります。突然変異率に関するページのみで合格点に達するわけではなく、他の遺伝学参考書との組み合わせが必須です。
また、本書がいつ出版されたかによって、最新の遺伝学の知見や用語の定義が試験出題と異なる場合もあります。使用する際は、必ず過去問で出題されている定義や数値と照らし合わせ、矛盾がないか確認してから本格的に学習を進めてください。




