歴史学入門 福井 憲彦
編入試験の人文学系では、単なる年号や事件の暗記ではなく、歴史学的な思考方法を問う出題が増えています。特に早稲田大学文学部(歴史・考古)では宗教史が繰り返し出題されていますが、受験生は「何が問われているのか」という視点を見落としがちです。本書は歴史学の研究方法や視座の多様性を学べる入門書で、編入試験で求められる「歴史を読む眼」を養うのに適しています。
この本の位置づけ
本書は歴史学部や考古学部を志望する編入受験生向けの基礎導入書です。高度な専門知識を前提とせず、歴史学という学問の多角的なアプローチを紹介しているため、短大や高専から編入を目指す受験生にも無理なく読み進められます。
通常の歴史参考書が「何があったか」を扱うのに対し、本書は「歴史学者はどのように歴史を捉えるか」という方法論に焦点を当てています。社会史・女性史・宗教史など複数の視点から歴史を問い直す内容になっており、早稲田文学部の出題傾向である宗教史や文化史への対応力が身につきます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入試験の対策を本格化させる準備段階(大学1年次の秋~2年次春)で導入することをお勧めします。この時期に本書で歴史学的思考の枠組みを理解しておくと、その後の科目別対策や過去問演習がより効果的になります。
逆に試験直前に急いで読むと、内容の抽象度が高いため十分な理解が難しくなります。また準備が早すぎると、具体的な過去問との結びつきが見えないまま読み終わる可能性があるため、最低限の基礎知識(高校世界史程度)を復習してから取り組むのが効果的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず目次の各章タイトルを確認し、特に「ライシテの原則と現実適用における困難」(p.104)と「女性史とジェンダーという視点」(p.136)の章から読み始めることをお勧めします。これらは早稲田文学部の過去問で頻出の視点だからです。
各章は独立した内容なので、興味や必要性に応じて読む順序を変えても構いません。一気に通読するのではなく、1章ごとに読み終えた後、その章で紹介された視点や概念が実際の過去問にどう現れているかを確認する作業を繰り返してください。特に「海域ネットワーク」(p.70)や「宗教史」関連の過去問と往復させることで、理論と具体例が結びつきやすくなります。
ノートに「この章が教える歴史学の視点」と「該当する過去問」を並べて整理すると、試験本番での思考の引き出しが増えます。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.1 社会史ブーム
- p.16 二 非文献資料の可能性
- p.32 歴史的な文化技術
- p.51 時代区分の多様化
- p.70 海域ネットワーク
- p.104 ライシテの原則と現実適用における困難
- p.124 地縁関係
- p.136 女性史とジェンダーという視点
注意点
本書は歴史学入門という性質上、やや理論的・抽象的な記述が多いため、歴史学の基本用語に不安がある受験生は事前に高校世界史の教科書で用語確認をしておくと理解がスムーズです。
また本書は歴史学の研究方法論を紹介する一方で、編入試験で必要な「各時代の具体的な事象」までは詳しく扱いません。そのため本書だけで過去問の全ての知識問題に対応することはできないという点を認識しておいてください。本書は「歴史を問う視点」を獲得するための入門書と位置づけ、並行して通史的な参考書や過去問で具体的知識を補完することが重要です。







