ファイナンス論・入門 俊野 雅司,白須 洋子,時岡 規夫
編入試験で出題されるファイナンス分野は、減価償却やROEといった個別の概念から、リスク管理まで幅広い論点が問われます。ただし、これらの概念が企業の資金調達や投資判断とどう結びついているのか、全体像を掴めないまま過去問に進む受験生は少なくありません。本書は金融・ファイナンスの基礎から体系的に学べるため、各論点の背景にある考え方を理解した状態で過去問に臨むことができます。
この本の位置づけ
本書は商学部や経営学部、経済学部の編入試験に対応する入門レベルのテキストです。高度な数学や統計知識がなくても理解できる構成になっており、大学1~2年次の段階から使用して問題ありません。 同志社大学、神戸大学、上智大学などの難関大学編入試験で繰り返し出題される会計学やファイナンス論点に対応していますが、本書は「入門」と銘打つ通り、専門的な演習書というより体系的な学習に適した参考書です。他のファイナンス関連テキストが個別論点の深掘りに重きを置く傾向がある中で、本書は全体構造の理解を優先しています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
遅くとも編入試験の10~12ヶ月前から導入することをお勧めします。第1章の「金融の仕組み」から第3章の「ファイナンスの基礎概念」までを先に読み進めることで、その後の専門的な過去問演習がスムーズになります。 もし導入が遅れると、過去問を解く際に個別問題の背景にある考え方が不明確なまま暗記に頼る学習になりやすいです。逆に早すぎる場合(高校数学が未定着の段階など)でも、大学の教科書として使える内容なので問題はありませんが、学習の優先順位を見直す必要があります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書の読み方は3段階です。まず第1章から第3章までを通して読み、ファイナンスの全体像と基本用語を掴みます。その際、第2章の「財務諸表の活用」(p.35)では減価償却や買掛金など、実際の決算書での現れ方を意識しながら読むと良いでしょう。 次に、志望大学の過去問を見ながら、必要な章を重点的に復習します。例えば同志社大学の会計学問題でリスク管理が問われていれば、第9~11章を優先します。第4章の「割引率と現在価値」(p.114)や第15章の「資本構成」(p.307)も、複数大学で繰り返し出題されるため、理解度を高めておくことをお勧めします。 学習時には、本書で概念を理解した後、過去問でその概念がどう具体的に問われるか、という往復を2~3回繰り返すことで定着が進みます。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.4 第1章 金融の仕組み「直接金融」がここで扱われています
- p.35 第2章 財務諸表の活用「当期純利益」がここで扱われています
- p.58 第3章 ファイナンスの基礎概念「債務不履行」がここで扱われています
- p.114 第4章 割引率と現在価値・将来価値「3ファクターモデル」がここで扱われています
- p.179 第9章 債券の理論価格「デュレーション」がここで扱われています
- p.195 第10章 ポートフォリオ理論「アンシステマティック・リスク」がここで扱われています
- p.256 第11章 資本資産評価モデル(CAPM)「コーポレートガバナンス」がここで扱われています
- p.307 第15章 資本構成「レバレッジ効果」がここで扱われています
注意点
本書の出版年が明記されていないため、最新の会計基準や企業会計の改正がどこまで反映されているか確認してから使用してください。特に減価償却や純資産の計算ルールは改正されることがあるため、志望大学の過去問で出題傾向の最新版と照らし合わせることをお勧めします。 また本書は「入門」テキストであるため、志望大学の過去問が極めて高度な計算や理論的な深さを問う場合、本書だけでは不足する可能性があります。過去問を数年分解いた際に、説明不足だと感じた単元は、より詳細な専門書で補うことを想定しておいてください。 さらに、各章の習題や章末問題の充実度によって、本書での演習量には限界があります。必ず志望大学の過去問演習とセットで使用し、本書は理論理解のステップ、過去問は実践力養成のステップという役割分担を意識してください。







