民法(全)〔第3版補訂版〕 潮見 佳男,長野 史寬,下村 信江,冷水 登紀代
編入試験の民法問題では、単なる条文の暗記ではなく、具体的事例における法律の適用と解釈が問われます。手付金や所有権移転、賃貸借契約といった頻出論点について、学説の対立や判例の考え方を理解することが合格につながります。本書は、こうした民法の基本概念を体系的に解説する標準的な教科書として、編入対策の軸となる一冊です。
この本の位置づけ
本書は法学部の講義用教科書として編纂されており、民法全体を網羅的に学ぶ受験生向けです。特に、編入試験で繰り返し出題される債権法(契約、不法行為、債務不履行)と物権法(所有権移転、対抗要件、借地借家法)の論点について、実務的な視点からの説明が充実しています。
一般的な受験参考書と異なり、本書は単なる解法テクニック集ではなく、民法の原理から各制度の趣旨まで理解させることを目的としています。そのため、過去問演習の前段階で、各論点の背景にある考え方をしっかり押さえたい受験生に適しています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
民法の対策は、編入試験の準備期間の比較的早期(編入予定の1年前から8ヶ月前)に導入することをお勧めします。全編にわたって丁寧な説明がされているため、全体像を把握するには時間が必要です。
もし導入が遅れると、過去問演習の段階で各論点の根拠となる学説や判例の背景が理解できず、応用的な出題への対応が難しくなります。逆に準備期間が限られている場合は、過去問で頻出の章(第7章から第10章)に絞って学習を進めることも検討してください。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書全体を通読する必要はありません。まず、対象大学の過去問を確認して、出題されている論点を特定し、該当する章から読み始めることが効率的です。例えば、賃貸借と借地借家法が頻出であれば、第8章と第9章を重点的に学習します。
各章を読む際は、小見出しごとに一つの論点が構成されているため、条文→学説の対立→判例という流れで理解を深めるようにしてください。その後、対応する過去問題を解き、本書の解説と自分の答案を照らし合わせることで、知識の定着と応用力の向上が進みます。
特に手付金や解除権、安全配慮義務といった複合的な論点については、本書の該当箇所を何度も参照しながら過去問に取り組むことが有効です。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.30 第2章「社員総会」がここで扱われています
- p.65 第7章「取消し」がここで扱われています
- p.89 第8章「基本代理権」がここで扱われています
- p.325 第9章「譲渡制限特約付き債権」がここで扱われています
- p.492 第10章「給付利得」がここで扱われています
注意点
本書は第3版補訂版です。法改正、特に2020年民法改正以降の新しい判例動向については、最新の補助教材や予備校の資料で確認することをお勧めします。本書だけでは、最新の実務判例がすべてカバーされていない可能性があります。
また、本書は教科書であるため、記述が学術的で難度が高めです。編入試験で出題される応用的な設問へ直結するような演習問題や解法プロセスは別途、過去問や問題集で学ぶ必要があります。本書を基礎固めの道具として捉え、過去問演習と並行して活用することが重要です。







