日本語の作文技術 本多 勝一
編入試験の小論文では、限られた時間のなかで自分の考えを正確に伝える必要があります。しかし、多くの受験生は「何を書くか」には時間をかけても、「どう書くか」という文章技術には目を向けていません。本書は、日本語で論理的で読みやすい文章を書くための基礎技術を学べる参考書です。
この本の位置づけ
本書は、編入試験の小論文対策として特化した本ではなく、日本語の文章表現全般に対する『技術書』です。編入試験で小論文を課す大学の過去問分析によれば、本書が対象とする具体的な論点が繰り返し出題されている傾向は確認されていません。
ただし、文章の構成力や論理的表現の精度を高めたいすべての受験生に有効です。参考書選びで「小論文対策本」を重視してきた受験生が、実際の執筆時に「文が読みにくい」「意図が伝わらない」という問題に直面した場合、その根本的な原因は論理や構成ではなく、文章技術の欠落にあることが多くあります。本書はそこを補うものとして機能します。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
小論文の対策を本格化させる前の段階、遅くとも過去問演習を始める2〜3ヶ月前には導入することをお勧めします。早い段階で読むことで、その後の過去問演習で「自分の文章のどこが読みにくいのか」を判断する力がついてきます。
逆に、過去問演習を始めてから導入すると、一度身につけた悪い書き癖を直す手間が増えます。また、直前期に読むと、意識しすぎて実際の試験時に書く速度が落ちるリスクがあります。
使い方
本書は章立てに沿って順序よく読むより、自分が書いた過去問の答案を見直す際に『辞書的に』参照する使い方が効果的です。例えば、「文が長くなってしまう」「接続詞の使い方がおかしい」といった課題が生じたとき、該当する章やページを開いて技術を確認し、その直後に自分の答案を修正するという往復を繰り返してください。
最初は参考書の具体例を読んで「なるほど」と理解するだけでは不十分です。理解した技術を実際に自分の文章に当てはめ、添削者や講師からのフィードバックを受けながら定着させる必要があります。
注意点
本書は編入試験の小論文対策として設計されていないため、編入試験で求められる「論証の組み立て」「テーマに対する深掘り」といった内容面の対策にはなりません。文章技術は土台ですが、それだけで小論文対策が完結するわけではないという点を認識しておいてください。
また、本書の出版年が古い可能性があります。現代の日本語表現規範との間にズレがあるかもしれません。学習後に受験する大学の過去問で「本書の指示と異なる表現が高く評価されている」ことに気づいた場合は、その大学の採点基準を優先してください。







