国際政治とは何か 地球社会における人間と秩序 中西 寛
国際政治学の編入試験では、単なる事件や条約の暗記ではなく、国際秩序がどのような原理で成り立っているのか、という根本的な問いが問われることがあります。本書は「国際政治とは何か」という基礎的な枠組みを体系的に示す入門書として、受験生が国際関係の全体像を理解するための足がかりになる一冊です。
この本の位置づけ
本書は国際政治学を初めて学ぶ受験生向けの教科書的な位置付けです。専門用語も丁寧に説明されており、高等学校までの基礎知識があれば読み進められます。ただし大学編入試験の対策に特化した本ではなく、むしろ国際関係論や国際政治学を学ぶ際の思考の枠組みを提供する一般的な入門書という性質があります。そのため、受験大学の過去問を見ても直結する出題傾向がない場合が多いということを理解した上で活用する必要があります。
他の国際政治の入門書と比べて、本書は国際秩序の形成と変化を歴史的視点で追うとともに、安全保障・政治経済・価値意識という複数の位相から国際政治を多角的に捉えるアプローチが特徴です。各論的な事例集ではなく、理論的な基礎を身につけたい受験生に向いています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
国際関係論や国際政治学を選択科目として学ぶ決定をしたら、早めの段階(大学1年生の秋冬~2年生の初春)で読み始めることをお勧めします。この段階での導入により、その後の講義や参考書での学習が理解しやすくなります。
逆に試験直前期に初めて手に取ると、抽象的な枠組みの習得に時間がかかり、過去問演習に充てる時間が不足する可能性があります。また、受験大学の出題範囲が具体的な事例や条約に偏っている場合、本書の理論的な内容が得点力に直結しないため、タイミングとして不適切になるケースもあります。
使い方
最初は序章と第一章を通読して、国際政治という学問全体の枠組みを把握することから始めてください。その後、第二章以降の各位相(安全保障・政治経済・価値意識)を順に読み進め、それぞれのテーマについて国際政治がどのように機能しているかを学びます。
読む際には、各章で示されている主要な概念や事例を自分のノートにまとめることをお勧めします。特に政治経済の位相や人道的介入の問題など、時事的なテーマについては、ニュースや新聞記事と関連付けながら読むと、より具体的な理解が深まります。
本書を読んだ後、受験予定の大学の過去問を確認し、その大学がどのテーマや事例を重視しているかを把握することが重要です。本書の理論的基礎を軸としながら、過去問で繰り返し問われている具体的な論点や事件については、別の参考書や資料で補足する、という使い分けが効果的です。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.10 序章 国際政治への問い「帝国主義」がここで扱われています
- p.32 第一章 国際政治の来歴「神聖ローマ皇帝」がここで扱われています
- p.76 「宇宙船地球号」
- p.94 第二章 安全保障の位相「安全保障のジレンマ」がここで扱われています
- p.156 第三章 政治経済の位相「自由主義経済学」がここで扱われています
- p.223 第四章 価値意識の位相「世界人権宣言」がここで扱われています
- p.243 人道的介入の問題
注意点
本書は国際政治学の一般的な入門書であり、編入試験の頻出論点を意識した構成になっていません。そのため、受験大学の過去問分析なしに本書だけで対策を進めると、試験に出ない内容に時間をかけてしまう恐れがあります。必ず志望大学の過去問で問われやすいテーマを確認した上で、本書をどの程度の優先度で学習するかを判断してください。
本書は特定の国の外交政策や地域紛争についての詳しい解説よりも、国際秩序の理論的側面を重視しています。近年の具体的な国際紛争や国際関係の最新動向についての記述は限定的である可能性があるため、時事問題が出題される大学を受験する場合は、本書と並行して最新のニュース報道や学術論文を補足教材として活用することをお勧めします。







