カラー図解アメリカ版新・大学生物学の教科書. 第2巻 Sadava David E,中村 千春,石崎 泰樹 ,小松 佳代子
編入試験の生物で出題される細胞分裂、遺伝、DNA複製、遺伝子発現といった分野は、単語は知っていても仕組みまで理解できていない受験生が多くいます。特に分子生物学の領域では「なぜそうなるのか」という因果関係を問う出題が増えており、表面的な暗記では対応できません。本書はアメリカの大学教科書を翻訳した資料で、これらの複雑なメカニズムを図解によって視覚的に理解できるように設計されています。
この本の位置づけ
本書は生物学の基礎から応用まで幅広い内容を扱っており、高校生物の知識がある受験生であれば段階的に学習を進められます。医学部や生物資源学部などの専門課程に進む受験生層を想定した難易度設定になっているため、編入試験で求められる深さに対応しやすいです。
同じく図解系の参考書と比べると、本書は細胞周期から遺伝子発現制御まで、実際の編入試験で繰り返し問われる論点を第8章から第13章にかけてまとめて扱っている点が特徴です。これらの章を中心に学習することで、出題頻度の高い単元を効率的にカバーできます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書の学習を始めるのは、遺伝や細胞分裂についての基本的な概念(体細胞分裂と減数分裂の違い、対立遺伝子の基礎など)を高校生物で習った直後、つまり大学1年生の秋~2年生の春にかけてが目安になります。この時期に導入することで、抽象的だった概念を具体的な図解を通じて理解し直すことができます。
もし導入が遅れ、過去問演習を始めてから問題の解説を読む際に「この仕組みがわからない」という状態になると、その都度調べることになり非効率です。逆に早すぎる場合は、基礎概念がまだ定着していないため、図解を見ても何を表しているのか理解しづらくなる可能性があります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
鳥取大学医学部
基礎科学
頻出テーマ細胞周期、ヌクレオソーム、ヒストンタンパク質、体細胞分裂、減数分裂、対立遺伝子
本書の該当ページヒストンタンパク質(p.401)、体細胞分裂(p.20)、減数分裂(p.50)
三重大学生物資源学部
生命科学
頻出テーマ遺伝子発現、メッセンジャーRNA、イントロン、エキソン、スプライシング、核膜孔
本書の該当ページ核膜孔(p.230)、イントロン(p.249)、スプライシング(p.411)
島根大学医学部
生物
頻出テーマミトコンドリア、コドン
本書の該当ページコドン(p.264)、ミトコンドリア(p.279)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず目次から編入試験で出題されやすい第8~11章に目を通し、各章で使われている図表の意味を把握することから始めましょう。細胞周期(p.15)→細胞分裂(同章)→遺伝と染色体(p.104)→DNA複製(p.194)→遺伝子発現(p.257)という流れで学習することで、生物学的な因果関係が体系的に見えてきます。
並行して志望大学の過去問を手元に用意し、「この問題で問われている現象は教科書のどこに書いてあるか」という逆引きを繰り返してください。例えば「スプライシング」について問われたら第11章を確認する、というように、試験で出た問題と本書の該当ページを結びつけることが定着につながります。
本書は読み込み型というより、わからないメカニズムが出てきたときに参照する「辞書的な使い方」も効果的です。過去問で減数分裂の計算問題に詰まったら、該当箇所の図解を見て理解してから問題に戻る、といった使用法も考えられます。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.15 第8章 細胞周期と細胞分裂「増殖シグナル」がここで扱われています
- p.104 第9章 遺伝、遺伝子と染色体「独立組み合わせ」がここで扱われています
- p.194 第10章 DNAと遺伝におけるその役割「岡崎フラグメント」がここで扱われています
- p.257 第11章 DNAからタンパク質へ:遺伝子発現「トランスファー RNA」がここで扱われています
- p.303 第12章 遺伝子変異と分子医学「誘発変異」がここで扱われています
- p.367 第13章 遺伝子発現の制御「リプレッサータンパク質」がここで扱われています
注意点
本書は2016年以降に翻訳出版されていますが、基礎的な細胞生物学の原理は大きく変わっていないため、版の古さが直接的な問題になりにくいです。ただし遺伝子発現制御(第13章)や分子医学(第12章)は研究の進展が速い分野のため、最新の知見とのギャップがないか、利用する際には確認することをお勧めします。
本書は詳しい解説が利点である反面、編入試験の過去問パターンに特化した内容ではありません。そのため本書で「仕組みを理解した」状態から、実際の試験形式の問題へ演習を移行する際には、過去問解説と組み合わせて「試験ではこの知識をどう使うか」を確認する工程が必須です。また、本書は分子生物学的な内容が中心であり、個体レベルや生態系レベルの出題には対応していないため、その範囲は別の資料で補う必要があります。







