入門ゲーム理論と情報の経済学 神戸 伸輔
経済学の編入試験では、情報の非対称性やモラル・ハザードといった現代経済の重要な概念が頻出ですが、これらは直感的に理解しにくく、計算問題としても応用しづらい範囲です。本書は、ゲーム理論の枠組みを通じてこうした概念を体系的に解説しており、関西大学政策創造学部の過去問に繰り返し登場する論点への対策に適しています。
この本の位置づけ
この本は、ゲーム理論の初学者を対象とした入門書です。数式や図表を用いながらも、経済学部1〜2年生が独学で進められる水準に設計されており、高度な数学的背景を前提としていません。
市場メカニズムと人間行動の関係を「情報」という視点から説く本です。類似の教科書が制度経済学や行動経済学といった異なるアプローチを取る中で、本書はゲーム理論という統一的な分析ツールで情報問題を扱うことが特徴です。そのため、編入試験の出題形式(制度設計や市場の効率性に関する論述問題)に対応しやすい構成になっています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書は、ミクロ経済学の基礎(需給曲線、効用最大化など)を学んだ後、2年生の秋冬から導入することをお勧めします。逆に1年生の夏までに手をつけると、基礎知識の定着が不十分なまま理論的な飛躍についていけず、挫折のリスクが高まります。
一方、編入試験が近づいた1月以降での導入は、理論の習得に必要な時間が不足しがちです。その場合、本書より先に過去問で出題パターンを把握してから、必要な章だけを選別して読む方が現実的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
第11章(p.146)と第14章(p.189)から読み始め、その後で第3章(p.41)に立ち戻る読み方をお勧めします。エージェンシー問題と交渉の理論を先に理解することで、競争と協力の基礎概念がより腑に落ちやすくなるためです。
各章を読む際は、本文を一度読み通した後、図表を自分でノートに再描画してください。特にゲーム理論の図は、その構造を手で書くことで初めて論理が定着します。その後、関西大学の過去問で該当する問題を探し、本書で学んだ概念がどう問われているかを確認しましょう。復習時には、過去問の設問から逆に本書の該当ページを引く作業を5〜10年分繰り返すことで、出題の頻出パターンが見えてきます。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.41 第3章 競争と協力「ミニマックス定理」がここで扱われています
- p.146 第11章 交渉の理論「脅し点」がここで扱われています
- p.189 第14章 モラルハザードとエージェンシー理論「モニタリング」がここで扱われています
注意点
本書は2008年の出版であり、出版から15年以上が経過しています。ゲーム理論の基礎理論自体に大きな変更はありませんが、金融危機後の経済政策や情報技術の発展にともなう新しい事例は本書には反映されていません。編入試験の時事問題対策には、出版年が新しい補助教材との併用をお勧めします。
本書はゲーム理論の「考え方」を重視しているため、数値計算が多い機械的な練習問題にはあまり対応していません。計算スキルが必要な大学の編入試験を受ける場合は、別途に問題演習集を用意する必要があります。また、マクロ経済学やミクロの他分野(不完全競争市場など)との融合問題には、本書だけではカバーできない領域もあります。







