実況 近代建築史講義 = LIVE LECTURE HISTORY OF MODERN ARCHITECTURE 中谷 礼仁
建築学系の編入試験では、近現代の建築作品とその設計思想を理解することが求められます。しかし、単なる建築様式の暗記では、なぜその建築が生まれたのか、どのような文脈で評価されるのかが見えにくくなります。本書は講義形式で近代建築の歴史を体系的に解説しており、個々の作品の成立背景を学ぶ手がかりになります。
この本の位置づけ
本書は大学の講義を書き起こした形式のため、建築史の全体像を学ぶ第一歩として適しています。高専や短大から編入を目指す受験生が、建築史の基礎知識を習得する際に向いています。
一般的な建築史の教科書と異なり、著者(中谷礼仁)による実際の講義のトーンが保持されているため、理論や思想の背景にある問題意識が伝わりやすい特徴があります。ただし、編入試験の出題傾向に直結した対策本ではなく、むしろ専門知識の厚みを作るための基礎読書に位置づけられます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
建築系の専門科目の学習を始める初期段階、つまり1年生の後期から2年生の初期に導入するのが効果的です。この段階で近代建築史の全体像を把握しておくことで、その後の個別の作品研究や理論的な深掘りがスムーズになります。
遅すぎる導入(編入試験直前)の場合、試験対策の時間が限られている中で歴史全体の復習に時間を費やすことになり、過去問演習の時間が圧迫されます。逆に、専門知識がない段階での早すぎる導入は、内容の抽象度が高いため理解が進まない可能性があります。
使い方
まず本全体を通読して、近代建築がどのような時代背景と思想的展開の中で成立したかの流れを把握することをお勧めします。その後、志望先の編入試験で出題される可能性のある建築作品や時代に絞って、該当箇所を再度読み返す使い方が効率的です。
読みながら、掲載されている図版(《山川山荘》など)と著者の説明を対応させて、なぜその形態や構成が採用されたのかを考える習慣をつけてください。さらに進んで、学んだ知識を過去問の記述問題や論述問題に活かす練習を心がけましょう。講義形式のため、難しい部分は複数回読み返すことで理解が深まります。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.186 《山川山荘》(山本理顕、1977)[fig.16,17]
注意点
本書は講義録であり、編入試験の出題ポイントを直接的にまとめた受験対策本ではありません。そのため、本書だけでは試験に必要な知識がすべてカバーされるとは限りません。必ず志望校の過去問を確認し、そこで繰り返し問われている作品や理論を別途学習する必要があります。
また、建築史は大学や大学院によって重視する時代・地域・思想が大きく異なります。本書は日本の近代建築に軸足を置いた内容となっているため、西洋近代建築やそれ以前の建築史をカバーする別の参考書との組み合わせが必要になる可能性があります。編入予定先のシラバスや過去問を確認した上で、本書の位置づけを判断してください。







