鎌田の理論化学の講義
本記事は、編入試験の化学対策で受験生がつまずく「概念の理解」に焦点を当てたレビューです。理論化学は計算問題が多いものの、その根底にある原理を理解していないと、応用問題で手が止まってしまいます。『鎌型の理論化学の講義』は、講義形式で概念をていねいに説明する参考書であり、特に化学の基礎から丁寧に学び直したい受験生に適しています。
この本の位置づけ
本書は、高校化学を習っていない、または習ってから時間が経っている受験生向けです。電気科などで化学の履修がなかった場合や、基礎から体系的に理解し直したい場合に活躍します。短大生や高専生も対象となります。
他の理論化学参考書と異なり、本書は「なぜそうなるのか」という背景説明を重視しています。解説が詳しいため、独学で化学を学ぶ受験生にとって読みやすいのが特徴です。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書の導入時期は、編入試験の対策を始める初期段階(志望校決定後2~3ヶ月前から)です。基礎概念をしっかり固めてから過去問に進むため、早めに取り組むことをお勧めします。
逆に、試験日直前に取り組むと、1冊を読み終えるだけで時間を消費してしまい、過去問演習や弱点補強に充てる時間が不足する可能性があります。また、既に他の参考書で基礎を学んでいる場合は、辞書的に必要な単元だけを参照する使い方も考慮してください。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
京都工芸繊維大学工芸科学部
化学生物物理
頻出テーマ圧力、式量、陽極、陰極、ブレンステッド酸、ギブスエネルギー
本書の該当ページ圧力(p.238)、式量(p.21)、陽極(p.229)、陰極(p.228)
東京農工大学工学部
数学
頻出テーマ圧平衡定数、圧力、ギブスエネルギー、pH、濃度、酸化還元滴定
本書の該当ページ圧平衡定数(p.333)、圧力(p.238)、ギブスエネルギー(p.208)、pH(p.146)
高知大学医学部
数学
頻出テーマ式量、圧力、黒鉛、pH、ギブスエネルギー、浸透圧
本書の該当ページ式量(p.21)、圧力(p.238)、黒鉛(p.113)、pH(p.146)
お茶の水女子大学理学部
化学数学生物
頻出テーマpH、ギブスエネルギー、濃度、酸化還元滴定、沈殿滴定、共通イオン効果
本書の該当ページpH(p.146)、ギブスエネルギー(p.208)、濃度(p.129)、酸化還元滴定(p.172)
化学数学生物
頻出テーマ圧力、ブレンステッド酸、ギブスエネルギー、pH、濃度、凝縮
本書の該当ページ圧力(p.238)、ブレンステッド酸(p.138)、ギブスエネルギー(p.208)、pH(p.146)
英語
頻出テーマギブスエネルギー、酸化還元滴定、平衡定数、加水分解、浸透圧、反応速度
本書の該当ページギブスエネルギー(p.208)、酸化還元滴定(p.172)、平衡定数(p.322)、加水分解(p.143)
滋賀医科大学医学部
物理化学
頻出テーママンガン乾電池、圧力、濃度、pH、電池、酸化還元滴定
本書の該当ページマンガン乾電池(p.222)、圧力(p.238)、濃度(p.129)、pH(p.146)
化学物理生物
頻出テーマpH、光合成、イオン結晶、平衡定数、反応速度、エンタルピー
本書の該当ページpH(p.146)、光合成(p.202)、イオン結晶(p.104)、平衡定数(p.322)
愛媛大学医学部
物理化学
頻出テーマ緩衝作用、pH、濃度、ギブスエネルギー、凝縮、沸点上昇
本書の該当ページ緩衝作用(p.351)、pH(p.146)、濃度(p.129)、ギブスエネルギー(p.208)
茨城大学理学部
数学化学
頻出テーマ共通イオン効果、電池、周期表、ヘスの法則、酸化剤、半反応式
本書の該当ページ共通イオン効果(p.358)、電池(p.211)、周期表(p.38)、ヘスの法則(p.192)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず目次を見て、有効数字(p.8)から混合気体の平均分子量(p.253)までの流れを把握し、1ページずつていねいに読み進めることをお勧めします。各単元ごとに、テキストの説明を自分の言葉で言い直す作業を組み込むと、理解がより深まります。
2周目は、志望校の過去問で繰り返し出ている論点(化学平衡、酸化還元反応、結晶構造、溶解度積など)を優先的に復習します。過去問で「この概念が関わっている」と気づいたら、本書に戻って該当ページを確認し、理解を補強するという往復学習が効果的です。
合格者の体験談から、テキストすべてを自分の言葉で説明できるレベルまで学習した受験生が、後の計算問題や応用問題で確実に得点できていることがわかります。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.8 有効数字と単位
- p.47 電子親和力
- p.95 結晶の充填率
- p.140 中和反応
- p.180 エンタルピー
- p.212 (1) ファラデー定数「ファラデー定数F」がここで扱われています
- p.253 混合気体の平均分子量
- p.303 疎水コロイドの析出 凝析
この本を使った合格者の声
オンライン編入学院に寄せられた合格体験談から、本書を実際に使っていた受験生の記述を抜き出しました。
解説が丁寧なため選択し、3周した。テキストすべてを自分の言葉で説明できるようにした。
筑波大学 生命環境学群 合格(2026年度) / 化学
電気科で化学をやらなかったため1ページずつ丁寧に2周し、必要な範囲は参考書の隅々まで覚えた。
名古屋大学 工学部 合格(2026年度) / 化学
わかりやすいですが受験で役立つかはあまりわかりません。
名古屋大学 工学部 合格(2026年度) / 化学
注意点
本書は講義形式であるため、流し読みをすると「読んだつもり」になりやすいです。時間に余裕をもって取り組む必要があります。また、出版年によって、最新の大学入試傾向や新しい教科書の記述と異なる部分がないか、事前に確認することをお勧めします。
本書で扱われている論点(有効数字、電子親和力、エンタルピー、ファラデー定数など)は編入試験で頻出ですが、志望校によって難易度にばらつきがあります。例えば、医学部向けの問題は物理化学の深い理解を求める傾向があり、本書の解説だけでは不十分な場合があります。過去問を早期に確認し、必要に応じて専門的な参考書を併用してください。




