憲法 2 新井 誠 ,曽我部 真裕 ,佐々木 くみ,横大道 聡
編入試験の憲法対策で最も時間がかかるのが、人権分野の理論的な整理です。外国人の人権、公共の福祉、具体的権利説など、複数の学説が対立する論点が頻出しており、どの考え方を採用すべきか判断に迷う受験生が多くいます。本書は、こうした人権関連の主要論点を体系的に解説することで、編入試験で繰り返し問われる論理的な立場取りをサポートします。
この本の位置づけ
本書は、法学部での講義用テキストとして編纂されており、すでに基本的な憲法知識がある程度整理されている受験生を想定しています。条文の読み方や基礎的な人権概念ではなく、論点ごとの学説比較と判例分析に重点を置いているため、憲法の入門書で全体像を理解してから取り組むのに適しています。 他の参考書と比べると、本書は特定の学説に肩入れせず複数の見方を並列して説明する傾向があります。そのため「この問題ではどの立場が有利か」を自分で判断する力が求められる反面、編入試験で出題者の意図を読み取る訓練になります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
導入のタイミングは、編入受験の準備期間が6ヶ月程度ある場合は3〜4ヶ月目が目安です。この段階では基本的な条文知識が頭に入っており、過去問を解く中で「なぜこの立場なのか」という疑問が出始めているはずです。 早すぎる段階で使うと、説明の抽象度の高さに進められず時間を無駄にする可能性があります。逆に試験まで2ヶ月以内の時点では、本書で新しい論点の学習を始めるより、過去問で出題パターンを固める方が効率的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
法学小論文英語
頻出テーマ三菱樹脂事件、二重の基準論、契約自由の原則、人種差別撤廃条約、公共の福祉、憲法29条
本書の該当ページ三菱樹脂事件(p.38)、二重の基準論(p.17)、契約自由の原則(p.244)、人種差別撤廃条約(p.136)
法学英語
頻出テーマ行為の自由、契約自由の原則、外国人の人権、信教の自由、政教分離、判決
本書の該当ページ行為の自由(p.95)、契約自由の原則(p.244)、外国人の人権(p.21)、信教の自由(p.95)
新潟大学法学部
法学
頻出テーマ比例原則、夫婦同氏制、職業の自由、憲法24条、集会の自由、憲法13条
本書の該当ページ比例原則(p.45)、夫婦同氏制(p.230)、職業の自由(p.186)、憲法24条(p.226)
法学小論文
頻出テーマ契約自由の原則、プライバシー、ヘイトスピーチ、思想・良心の自由、違憲判決
本書の該当ページ契約自由の原則(p.244)、プライバシー(p.137)、ヘイトスピーチ(p.136)、思想・良心の自由(p.81)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず自分が受験する大学の過去問を確認し、そこで問われている論点(外国人の人権、憲法14条、ヘイトスピーチなど)がこの本のどこに載っているか索引で探します。その後、該当するページを読んで学説の違いを整理してください。 読んだ後は、その論点に関する過去問を改めて解き、本書の説明がどう使えるか検証することが重要です。全章を順番に読み進めるのではなく、過去問に出現した論点ごとにピンポイントで参照する使い方が、限られた時間の中では効果的です。複数年分の過去問で同じ論点が繰り返し問われている場合は、本書の該当部分をもう一度読み直して、説明を言葉で説明できるレベルまで落とし込むようにします。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.36 第2章「よど号ハイジャック記事抹消事件」がここで扱われています
- p.50 第3章「指紋押捺拒否事件」がここで扱われています
- p.75 第4章「尊属殺重罰規定違憲判決」がここで扱われています
- p.81 第5章「謝罪広告事件」がここで扱われています
- p.94 第6章「国家神道」がここで扱われています
- p.117 第7章「税関検査事件」がここで扱われています
- p.149 第8章「吉祥寺駅構内ビラ配布事件」がここで扱われています
- p.179 第9章「大学の自治」がここで扱われています
注意点
本書は大学の講義テキストという性質上、やや説明が学術的で難しい部分があります。特に「プログラム規定説」「抽象的権利説」「具体的権利説」といった学説の違いは、本書を読むだけでは腑に落ちないことも多いため、必ず過去問の具体的な問題文と照らし合わせながら学習してください。 本書は人権分野に重点を置いているため、統治機構(国会・内閣・裁判所)や憲法訴訟の手続き面の対策にはやや弱い部分があります。そのような分野が試験範囲に含まれる場合は、別の参考書で補完が必要です。また、判例の事件名は記載されていますがページ数が古い版の場合、判例番号の記載ズレがある可能性があるため、判例百選で確認する習慣をつけてください。




