民法の基礎 = Elements of Civil Law 1 佐久間 毅
編入試験の民法対策では、総則分野の基礎概念をいかに正確に理解するかが、その後の実務法学の習得を大きく左右します。本記事は、
民法総則の中核をなす意思表示、行為能力、法定代理権といった概念を体系的に学べる『民法の基礎』についてレビューします。本書は編入受験生が答案で頻出論点を扱う際に、概念の曖昧さから失点するのを防ぐために活用できる一冊です。
この本の位置づけ
本書は法学部編入試験を受ける受験生の中でも、民法の入門段階にある学生向けの教科書です。法学初学者から、法学部での学習経験が1~2年程度ある受験生が、総則分野の知識を体系的に整理する際に適しています。
他の民法教科書と異なり、本書は「基礎」という名称通り、各概念の法的性質と機能を丁寧に説明することに注力しています。判例や学説の対立を詳細に扱う応用的な教科書ではなく、編入試験で頻出される基本論点の正確な理解を目指す設計になっています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書は編入対策の初期段階、遅くとも受験年の春~初夏の時点で導入することをお勧めします。民法総則の基礎がないままに過去問に取り組むと、概念の定義が曖昧なまま答案を作成することになり、論述試験で得点を稼げない状態が続きます。
一方、過去問演習が本格化した秋以降に初めて本書に取り組むと、学習ペースが追いつかず、十分な復習時間が確保できないおそれがあります。早めに総則の基礎を固めることが、本番での安定した答案作成につながります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書は第1章から順番に読み進めることをお勧めします。民法総則は各単元が相互に関連しているため、権利能力(第2章)→法律行為(第3章)→時効(第5章)という流れで、概念の依存関係を理解しながら学習するのが効果的です。
各章を読んだ後、該当する論点が出題されている編入試験の過去問を解き、本書で学んだ概念がいかに実際の問題で問われるかを確認する往復学習が有効です。特に意思表示(第3章)や行為能力(第2章)は複数の大学で繰り返し出題されているため、本書で基本を押さえた後に過去問で応用を練習する流れを取ってください。
答案作成時に「この概念の定義は何だったか」と迷った場合、本書に戻って該当ページを確認する辞書的な使い方も有効です。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.7 第1章 民法総則とは何か「パンデクテン方式」がここで扱われています
- p.18 第2章 権利能力者としての人「出 生」がここで扱われています
- p.155 第3章 法律行為「法律行為の基礎とした事情」がここで扱われています
- p.338 第4章 法 人「非営利法人」がここで扱われています
- p.414 第5章 時 効「主観的起算点」がここで扱われています
- p.459 第6章 民法の基本原則「事項索引」がここで扱われています
注意点
本書は大学の講義用教科書として使用されている標準的な入門書であり、出版から一定の年月が経過しています。民法は2020年に大きな改正が行われているため、本書がその改正内容をどの程度カバーしているか、購入前に目次や序文で確認することをお勧めします。
本書は総則分野に特化しており、債権各論(売買、賃貸借など)や親族・相続といった他分野については扱っていません。編入試験で物権や債権各論も出題される場合は、別の参考書や教科書で補完する必要があります。また、本書は論点ごとの判例判断の細かい検討を深掘りするタイプではないため、過去問で問われた判例について詳しく学ぶ際は別途資料が必要になる可能性があります。







