ちくま評論文の論点21 五味渕 典嗣,松田 顕子,吉田 光
編入試験の小論文で問われる現代的なテーマに、どう向き合うかは多くの受験生が悩むポイントです。本書は「評論文の論点」というタイトルから、時事的・社会的な論題に対して、どのような視点や知識を持って臨むべきかを学べる構成になっています。編入小論文では単なる感想ではなく、一定の「論点の理解」に基づいた答案が求められるため、この本の学習は論理的思考の基盤づくりに役立つ可能性があります。
この本の位置づけ
本書は高校生向けの評論文対策として出版されており、大学編入試験の小論文対策としての直接的な位置づけはありません。ただし編入試験でも社会的なテーマへの対応力は必要であり、評論・論説文を読む際の「論点抽出力」を養うという点では、基礎的な思考訓練になります。
編入小論文対策の参考書とは異なり、本書は既存の評論文から論点を学ぶ読解型のアプローチです。そのため、題材の現代性は高いものの、編入試験の実際の出題形式(課題文引用型、データ分析型など)に特化した演習ではないという点は区別して考える必要があります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書は早期段階(大学1年次)での「思考の幅を広げるための読書」として導入するのが適切です。編入小論文の対策として本腰を入れるのは大学2年次からが目安になりますが、その前段階として、社会的テーマの多角的な見方に触れておくことは、後の演習を深める準備になります。
ただし編入試験直前期(3~6ヶ月前)に初めて手をつけると、演習問題が限定的であるため、実践対策として十分機能しない可能性があります。また遅くなると、編入試験に特化した参考書での直前調整の時間が不足します。
使い方
本書を活用する場合は、まず評論文を「読む」段階で、著者たちがどのような論点を取り上げているかを把握することから始めます。その際、各章でどの論点がどのように展開されているかをノートに整理することで、テーマごとの「思考の深め方」が体得できます。
編入小論文の対策と並行する場合は、本書で学んだ論点や視点を、実際の過去問や予想問題で応用できるかを試してみてください。具体的には、本書で扱われたテーマと類似の題材が編入試験で出題された場合、どのような観点から答案を組み立てるかを検討するという使い方が効果的です。
ただし本書だけでは編入小論文に必要な「課題分析→構成→執筆」の一連の演習がカバーできないため、編入対策用の参考書と組み合わせることをお勧めします。
注意点
本書は高校生向けの教材であり、出版年が確認できないため、扱われているテーマや事例が現在の編入試験のトレンドと一致しているかは検証が必要です。古い版の場合、社会的背景が変わっていることもあります。
最大の注意点として、本書は「評論文を読んで論点を学ぶ」という受動的な学習です。編入小論文では自分で課題を読み、情報を整理し、主張を構築する「実践的な執筆力」が問われるため、本書は基礎的な素養形成に留まることを認識しておくべきです。編入試験対策としては、課題分析や答案構成、実際の記述演習に特化した参考書と合わせて使用することが必須です。







