マクマリー有機化学 下 McMurry John,伊東 [ショウ] ,児玉 三明
有機化学の編入試験では、芳香族化合物や求電子置換反応、さらに生化学分野のタンパク質や糖類の反応まで、広い範囲から出題されます。特に生物系学部の編入試験では、有機化学の基礎知識と生化学がつながる領域が頻出です。本書は有機化学の後半から生化学へ続く内容を網羅しており、編入試験に特に必要な単元を効率よく学べます。
この本の位置づけ
本書は大学の正規科目で使われる教科書級の参考書です。編入試験を目指す受験生にとっては、基礎から応用までを体系的に押さえたい人向けの分厚い一冊です。高専出身や理系大学の編入志願者など、有機化学の基礎がある程度ある状態で取り組むことを想定しています。
同じ著者の上巻(前半)と組み合わせて使うことで、有機化学全体を網羅できます。編入試験向けの薄い問題集ではなく、原理と構造理論をしっかり学びたい受験生に適しています。生化学分野も含まれているため、農学部や海洋生命科学部など生物系学部の編入志願者には特に有用です。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入試験の対策を開始した段階で、早めに導入することをお勧めします。遅くとも試験8〜10ヶ月前には学習を始めると、内容の定着に十分な時間がとれます。
もし導入が早すぎる場合、有機化学の基礎(sp3炭素、官能基の種類など)が定着していないと、進度が遅れる可能性があります。逆に試験直前(3ヶ月以内)に初めて取り組むと、ボリュームの多さから完成させるのが難しくなります。過去問で頻出単元から優先的に学習を進める戦略が効果的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
化学生物
頻出テーマヌクレオシド、Fischer投影式、β酸化、ユビキノン、アミノ基転移、ポリメラーゼ連鎖反応
本書の該当ページヌクレオシド(p.1127)、Fischer投影式(p.988)、β酸化(p.1146)、ユビキノン(p.1149)
お茶の水女子大学理学部
化学数学生物
頻出テーマ生体分子、Fischer投影式、ヌクレオシド、塩基性度、臭化水素、等電点
本書の該当ページ生体分子(p.1032)、Fischer投影式(p.988)、ヌクレオシド(p.1127)、塩基性度(p.936)
数学化学生物
頻出テーマ塩基性度、アミド結合、環化反応、臭化水素、イミダゾール、ピロール
本書の該当ページ塩基性度(p.936)、アミド結合(p.1042)、環化反応(p.1199)、臭化水素(p.1345)
生物化学
頻出テーマアミノ化、ユビキノン、プロスタグランジン、臭化水素、ジアゾニウム塩、代謝
本書の該当ページアミノ化(p.945)、ユビキノン(p.1149)、プロスタグランジン(p.1081)、臭化水素(p.1345)
静岡大学農学部
化学生物
頻出テーマデンプン、アノマー、ホルモン、等電点、翻訳、酵素
本書の該当ページデンプン(p.1015)、アノマー(p.997)、ホルモン(p.1095)、等電点(p.1034)
生物化学物理
頻出テーマ分光学、アスパラギン酸、ステロイドホルモン、臭化水素、ホルモン、酵素
本書の該当ページ分光学(p.966)、アスパラギン酸(p.1144)、ステロイドホルモン(p.1095)、臭化水素(p.1345)
東京農工大学農学部
化学
頻出テーマ塩基性度、複製、ポリメラーゼ連鎖反応、二糖、核磁気共鳴、シクロブタン
本書の該当ページ塩基性度(p.936)、複製(p.1120)、ポリメラーゼ連鎖反応(p.1131)、二糖(p.1011)
東京海洋大学海洋生命科学部
化学
頻出テーマ代謝、アミノ基、タンパク質、立体化学、有機化学、立体配置
本書の該当ページ代謝(p.1140)、アミノ基(p.1178)、タンパク質(p.1042)、立体化学(p.1194)
宇都宮大学農学部
生物
頻出テーマポリメラーゼ連鎖反応、代謝、翻訳、セルロース、グリコシド結合、タンパク質
本書の該当ページポリメラーゼ連鎖反応(p.1131)、代謝(p.1140)、翻訳(p.1123)、セルロース(p.1014)
茨城大学理学部
数学化学物理
頻出テーマ複製、翻訳、酵素、静電ポテンシャル、有機化学、立体化学
本書の該当ページ複製(p.1120)、翻訳(p.1123)、酵素(p.1056)、静電ポテンシャル(p.1330)
信州大学理学部
生物
頻出テーマβ酸化、ポリメラーゼ連鎖反応、セルロース、グリコシド結合、補酵素、タンパク質
本書の該当ページβ酸化(p.1146)、ポリメラーゼ連鎖反応(p.1131)、セルロース(p.1014)、グリコシド結合(p.1012)
岐阜大学応用生物科学部
小論文
頻出テーマアスパラギン酸、等電点、生化学、キラル中心、リジン、タンパク質
本書の該当ページアスパラギン酸(p.1144)、等電点(p.1034)、生化学(p.1140)、キラル中心(p.990)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
全体を通読するのではなく、受験予定の大学の過去問で出た論点から逆引きして学習します。例えば、芳香族求電子置換反応が出題された場合は該当章を読み込み、その後すぐに過去問で類似問題を解くサイクルを回してください。
アミン、複素環、糖類、タンパク質など各単元は独立性が高いため、単元ごとに切り分けて学習しても大丈夫です。また、図表や反応機構の説明が詳しいので、ノートに反応式を書き写しながら進めることで理解が深まります。
生化学部分(解糖系、ビタミン代謝など)は、他の生化学参考書と並行して学習し、複数の視点から同じ内容を理解する工夫が有効です。過去問に出た具体的な化合物(ニトロベンゼン、アニリンなど)の反応メカニズムを本書で確認してから問題演習に進む流れがお勧めです。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.945 アルデヒドとケトンの還元的アミノ化
- p.960 9 複素環アミン
- p.1003 6 単糖の反応「Koenigs-Knorr反応」がここで扱われています
- p.1013 スクロース
- p.1053 9 タンパク質の構造
- p.1081 4 プロスタグランジンと他のエイコサノイド
- p.1123 5 RNAの翻訳:タンパク質の生合成
- p.1194 2 電子環状反応
注意点
本書は教科書レベルのため、ボリュームが大きく、編入試験の時間制限のなかで全てを習得するのは難しい場合があります。試験に出ない細かい反応メカニズムまで網羅されているので、過去問分析で優先度を決めて選別しながら学習してください。
また、本書で扱っている内容が全て編入試験に出るとは限りません。各大学の過去問を先に見て、実際に問われている論点から逆引きして使うことが重要です。複素環アミンや電子環状反応など、大学によっては出題頻度が低い単元もあるため、時間管理を工夫してください。




