力学 = CLASSICAL MECHANICS 戸田 盛和
編入試験の物理では、力学の概念を「なぜそうなるのか」という原理レベルで問われることが多いです。特に回転運動や単振動、力のモーメントといった単元では、公式を暗記しているだけでは複雑な問題に対応できません。本書は物理学の基礎となる力学を、座標系の選び方から角運動量まで、体系的かつ論理的に解説しており、編入試験で繰り返し出題される分野の本質的な理解を深めるのに適しています。
この本の位置づけ
本書は大学の物理学科で使われるテキストレベルの内容です。編入試験対策としては、高校物理の範囲を超えた厳密な定式化が必要な受験生、特に理学系や工学系の学部編入を目指す人に向いています。参考書というより「教科書」に近い性質があり、個別の問題パターンを学ぶ本ではなく、力学全体の構造を理解する本です。
力学の教科書は数多くありますが、本書の特徴は「初期条件」「座標系」といった基礎的な考え方から丁寧に始まる点です。編入試験で出題される初期条件の設定や、複数の物体系での運動分析といった実践的な問題に必要な「思考の枠組み」を習得できます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
導入すべき時期は、受験までおよそ6~9ヶ月前が目安です。本書の内容を習得してから過去問演習に進むことで、単なる問題解法ではなく原理に基づいた解答ができるようになります。
逆に導入が遅すぎる場合、本書の厚みと内容の密度から全体を消化しきれず、焦りから中途半端な理解に終わる可能性があります。一方、早い時期に手をつけても問題ありませんが、高校物理の基本(ニュートンの運動法則、エネルギー保存則)がまだ定着していない場合は、先に基礎参考書で補強することをお勧めします。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
香川大学医学部
物理学
頻出テーマ相対速度、弾性衝突、運動量保存
本書の該当ページ運動量保存(p.144)、相対速度(p.191)、弾性衝突(p.27)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書は通読するのではなく、編入試験で出題される分野に絞って活用するのが効率的です。長岡技術科学大学や大阪公立大学の過去問で問われている「回転運動と慣性モーメント」なら第127ページの角運動量と力のモーメント、「単振動」なら第62ページの2つの単振動の組み合わせという具合に、単元を特定して該当箇所を読み込みます。
読み進める際は、説明だけでなく「なぜこの座標系を選ぶのか」「初期条件がどう効いているのか」といった論理的な根拠を追うことが重要です。特に数式の導出過程を単に眺めるのではなく、紙に手を動かして自分で追い直してください。
その後、実際の過去問と照らし合わせ、本書で理解した原理がどう活用されているかを確認する往復学習が有効です。例えば、過去問で「斜面上の物体の運動」が出題されたら、本書で該当する力のモーメントや加速度の定義に戻って検証する、という流れです。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.6 デカルトと座標
- p.18 -2 運動法則(運動の第2法則)
- p.43 -4 1次元の運動とエネルギー
- p.62 -7 2つの単振動の組み合わせ
- p.91 -3 中心力と平面極座標
- p.127 -1 角運動量と力のモーメント
- p.155 -3 運動エネルギー
- p.184 -4 コマの歳差運動
注意点
本書は1975年初版の古典的教科書です。内容の正確性に問題はありませんが、編入試験の最新の問題傾向や出題形式とは若干ズレがあることがあります。本書だけに頼るのではなく、必ず直近3~5年の志望大学の過去問と組み合わせて使用してください。
難易度について、本書は大学講義のテキストであり、高校物理との橋渡けを丁寧にしていない部分があります。高校物理から力学へのステップアップを実感できれば良いですが、基礎が不十分な場合は読み進めるのが困難になります。その際は、別途「高校物理から大学物理へ」というテーマの参考書で準備してから本書に向かうことを勧めます。
また、本書は第184ページの「コマの歳差運動」など、編入試験ではあまり出題されない応用分野も含んでいます。試験対策に不要な部分を判断し、限られた時間を効果的に使うために、事前に過去問で頻出分野を確認してから活用してください。







