力学 栗田 進 ,小野 隆
力学は編入試験の物理で最頻出の単元ですが、慣性モーメントや剛体回転、摩擦を含む複雑な運動など、概念の理解が曖昧なまま問題に臨む受験生が多いです。本書は力と運動の基礎から回転運動まで、編入試験で繰り返し出題される論点を体系的に扱っているため、苦手意識のある受験生の土台作りに適しています。
この本の位置づけ
本書は物理の基礎知識がある程度ある受験生向けです。単なる公式の暗記ではなく、各現象の物理的な意味を丁寧に説明するスタイルのため、概念をきちんと理解したい受験生に向いています。
他の力学参考書との主な違いは、慣性モーメント・角運動量・回転運動の運動方程式といった、編入試験頻出の回転力学を重厚に扱っている点です。また、材料力学で問われるヤング率やたわみについても言及しており、工学系志望者にとって実用的です。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入試験の準備を始めた1年生の秋冬、または2年生の春段階で導入するのが目安です。基礎物理(高校物理)の知識がある程度定着した後に取り組むことで、体系的な理解が進みます。
もし導入が早すぎると、基礎概念とのギャップで挫折する可能性があります。逆に試験直前に初めて手にすると、十分な演習時間が確保できず、理解が浅いまま本番を迎えることになるため注意が必要です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
東京農工大学工学部
数学
頻出テーマ質量中心、剛体の力学、ベルヌーイの定理、弾性衝突、質点系、回転運動
本書の該当ページ質量中心(p.110)、剛体の力学(p.118)、ベルヌーイの定理(p.157)、弾性衝突(p.102)
数学物理
頻出テーマ平面運動、弾性衝突、相対運動、速度ベクトル、回転運動、単位ベクトル
本書の該当ページ平面運動(p.126)、弾性衝突(p.102)、相対運動(p.80)、速度ベクトル(p.4)
数学物理
頻出テーマ速度ベクトル、質点系、回転運動、単位ベクトル、保存力、慣性モーメント
本書の該当ページ速度ベクトル(p.4)、質点系(p.107)、回転運動(p.118)、単位ベクトル(p.85)
京都工芸繊維大学工芸科学部
物理
頻出テーマ二次元極座標、ベルヌーイの定理、質点の運動、自由端、固定端、回転運動
本書の該当ページ二次元極座標(p.61)、ベルヌーイの定理(p.157)、質点の運動(p.4)、自由端(p.172)
物理化学
頻出テーマ固有振動、平面運動、回転運動、保存力、慣性モーメント、摩擦力
本書の該当ページ固有振動(p.176)、平面運動(p.126)、回転運動(p.118)、保存力(p.47)
物理数学
頻出テーマ弾性エネルギー、質点の運動、仕事とエネルギー、相対運動、回転運動、慣性モーメント
本書の該当ページ弾性エネルギー(p.147)、質点の運動(p.4)、仕事とエネルギー(p.41)、相対運動(p.80)
物理数学
頻出テーマ弾性衝突、反射波、自由端、回転運動、固定端、単位ベクトル
本書の該当ページ弾性衝突(p.102)、反射波(p.173)、自由端(p.172)、回転運動(p.118)
大阪公立大学工学部
物理
頻出テーマ弾性エネルギー、ベルヌーイの定理、回転運動、慣性モーメント、摩擦力、座標系
本書の該当ページ弾性エネルギー(p.147)、ベルヌーイの定理(p.157)、回転運動(p.118)、慣性モーメント(p.118)
長岡技術科学大学工学部
物理
頻出テーマ弾性エネルギー、弾性エネルギ、地球の自転、回転運動、慣性モーメント、おもり
本書の該当ページ弾性エネルギー(p.147)、弾性エネルギ(p.147)、地球の自転(p.90)、回転運動(p.118)
東京都市大学理工学部
物理
頻出テーマ質量中心、弾性衝突、仕事とエネルギー、回転運動、慣性モーメント、力学的エネルギー
本書の該当ページ質量中心(p.110)、弾性衝突(p.102)、仕事とエネルギー(p.41)、回転運動(p.118)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず第1章から順に読み進め、各セクションの物理的イメージを掴むことを優先してください。公式の導出過程を追う際は、自分でも手を動かして計算を検証することが重要です。
一通り読んだ後は、過去問演習に移り、実際の出題形式でどの論点が問われるかを確認します。その際、解けなかった問題に対応する本書のセクションに戻り、概念の漏れを埋めるという往復学習が効果的です。特に回転運動・摩擦・初期条件が絡む問題では、本書で扱われている具体例と過去問を照らし合わせると理解が深まります。
注意点
本書は出版年が確認できないため、最新の編入試験問題と出題傾向が完全に一致しているか事前に確認することをお勧めします。特に大学ごとに材料力学の扱いの深さが異なるため、志望大学の過去問で何が重視されているかを先に調べた上で使用してください。
また、本書は理論的な理解に重点を置いているため、問題演習量が限定的である可能性があります。基礎理解の定着後は、別冊の問題集や過去問で反復演習を積み重ねることが合格に向けて必須です。




