心理学統計法 データを読み解き、正しい理解につなげるために 川畑 直人,大島 剛,郷式 徹,浅川 淳司
心理学部の編入試験では、統計的手法がどのような論理に基づいているのか、そしてデータからどのような結論を引き出せるのかを問う出題が増えています。特に因果推論や仮説検定における過誤の概念は、表面的な計算式の暗記では対応できません。本書は、心理学研究の現場で統計がいかに機能するのか、その原理から学ぶ構成になっており、編入試験で繰り返し問われる重要概念への理解を深めるのに役立ちます。
この本の位置づけ
本書は、統計の数学的な導出よりも、研究データをどう解釈するかという実践的な側面に重点を置いています。編入受験生であれば、大学1〜2年で学んだ基礎的な統計知識(平均、標準偏差、相関係数など)をある程度持っていることを前提としており、その知識をもとに、より深い理解へ進むレベルの内容です。
統計入門書の中には数式の導出に時間をかけるものや、計算技法に特化したものが多くあります。しかし本書は心理学研究という具体的な文脈の中で、因果推論や仮説検定の限界、第一種・第二種の過誤がなぜ生じるのかを扱っている点が特徴です。編入試験で問われる「統計の正しい理解」に直結しやすい構成になっています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
統計の基礎を一通り学んだ後の、応用・深化段階で導入することをお勧めします。具体的には、大学1年次の統計基礎科目を終えた後、編入試験対策を本格化させる時期(遅くとも受験の6~8ヶ月前)から使い始めるのが目安です。
早すぎる段階で手を出すと、前提知識の不足から概念が腑に落ちず、挫折につながる可能性があります。逆に試験直前に初めて読むと、理解と定着に時間がかかりすぎます。過去問で因果推論や過誤の概念に関する出題が出現し始めたタイミングで、本書を開くのが効率的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書は通読する際に、各章で説明される概念ごとに、実際の研究例や心理学の事例に当てはめながら読み進めることが重要です。特に因果推論のセクション、第一種の過誤・第二種の過誤の説明部分は、単に読むだけでなく、「この状況では、どの種類の誤りが起こりやすいか」と問い直しながら学習するとよいでしょう。
読み終わった後は、志望大学の過去問でこれらの論点がどのように問われているかを確認することが不可欠です。過去問を解く際に判断に迷った場合、本書に戻って該当箇所を確認するという往復を繰り返すことで、試験に必要な知識が定着します。
ノートを取る際は、本書の説明文を写すのではなく、各概念を自分の言葉で簡潔にまとめ、心理学の具体例を1~2個書き込むような工夫をすると、復習効率が高まります。
注意点
本書の出版年が明記されていないため、統計学の方法論や心理学研究の最新動向との齟齬がないか確認が必要です。特に統計手法は研究領域によって新しい方法が導入される分野であるため、本書で学んだ内容が現在の標準的な手法と一致しているか、志望大学の過去問や教科書と照らし合わせることをお勧めします。
もう一点、本書は心理学統計に特化した内容のため、編入試験で出題される一般心理学全体をカバーするものではありません。学習計画の中では、本書を心理学統計の理解深化に充てつつ、理論的背景や心理学の歴史・基礎概念についての学習は別途進める必要があります。







