有機化学 改訂3版 奥山 格,石井 昭彦,箕浦 真生
編入試験の有機化学では、単なる反応パターンの暗記ではなく、反応機構や立体化学など理論的背景を問う問題が頻出です。本書は、分子の電子配置から有機反応の全体像まで、理論に基づいた体系的な理解を深めるのに適した教科書です。
この本の位置づけ
本書は化学系・工学系の編入試験対策を本格的に始めた受験生(初学者〜中級者)向けです。高校化学では習わない混成軌道や波動関数といった概念から、大学レベルの有機反応機構までを幅広くカバーしています。
一般的な受験用参考書と異なり、本書は大学の化学教科書として編集されているため、各論点の「なぜ」を丁寧に説明しています。反応式を覚えるだけでなく、その背景にある電子の動きを理解したい受験生に向いています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入対策を始める時期から導入することをお勧めします。特に、化学を得点源にしたい受験生は、1年生の後期から2年生の前期にかけて読み始めるのが効果的です。
遅すぎる導入は避けてください。試験直前に初めて読むと、理論的背景の習得に時間がかかり、過去問演習の時間が不足します。また、あまり早期から精読すると、編入試験に出ない細部に時間を費やしてしまう可能性があります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
物理化学有機化学
頻出テーマ一次反応、速度定数、平衡定数、エステル加水分解、反応機構、脱水反応
本書の該当ページ速度定数(p.126)、一次反応(p.203)、平衡定数(p.126)、エステル加水分解(p.148)
新潟大学理学部
化学
頻出テーマ求核付加、芳香族求電子置換反応、ニトロ化、エネルギー準位、求核付加反応、イオン化エネルギー
本書の該当ページ求核付加(p.310)、中間体(p.289)、求核付加反応(p.136)
東京海洋大学海洋生命科学部
化学(基礎化学,有機化学)
頻出テーマ電子配置、立体配置、有機合成、エステル加水分解、ジアゾニウム塩、アニリン
本書の該当ページエステル加水分解(p.148)、ニトロベンゼン(p.279)、立体配置(p.191)
広島大学生物生産学部
有機化学
頻出テーマ立体異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、フィッシャー投影式、ニューマン投影式、立体配置
本書の該当ページ立体表示(p.210)、エナンチオマー(p.178)、ジアステレオマー(p.183)
お茶の水女子大学生活科学部
化学
頻出テーマ電子配置、分子式
本書の該当ページ分子式(p.26)、電子配置(p.9)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず第3章「分子のかたちと混成軌道」で、有機化学の理論的基礎を固めてください。その後、第2章「官能基と分子間相互作用」で各官能基の性質を確認し、第7章「有機化学反応」で主要な反応機構を学ぶという順序が理解を深めやすいです。
各章を読み終わったら、同時並行で編入対象大学の過去問に取り組み、実際の問題でどの知識が問われているかを確認しましょう。特に反応機構や立体化学に関する問題では、本書で学んだ電子の動きを図解して説明できるようになることが重要です。
第20章「ラジカル反応」と第22章「有機合成」は、過去問で頻出する単元です。過去問で手こずった反応については、本書に戻って機構を確認する往復学習をお勧めします。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.56 第3章 分子のかたちと混成軌道「エーテル」がここで扱われています
- p.202 第2章 有機化合物:官能基と分子間相互作用「溶媒和」がここで扱われています
- p.258 第7章 有機化学反応「モルオゾニド」がここで扱われています
- p.334 第20章 ラジカル反応「ラジカル連鎖機構」がここで扱われています
- p.367 第22章 有機合成「保護基」がここで扱われています
- p.376 第23章 生体物質の化学「D-リボース」がここで扱われています
注意点
本書は改訂3版ですが、大学向け教科書のため細かい試験動向の変化には即座に対応していない可能性があります。編入試験の最新の出題傾向を押さえるため、本書と過去問の併用は必須です。
第23章「生体物質の化学」は一部の大学(海洋生命科学部など)では重要ですが、多くの理学系・工学系学部の編入試験では出題範囲外です。自分の志望学部の過去問を確認し、学習優先順位を決めてください。
本書は教科書としての分量が多く、全てを精読するには時間がかかります。試験までの期間が限られている場合は、志望大学の過去問で頻出の単元を中心に学習範囲を絞ることをお勧めします。







