臨床心理学〔改訂版〕 丹野 義彦,石垣 琢麿,毛利 伊吹,佐々木 淳,杉山 明子
編入試験で心理学を受験する際、「臨床心理学」の出題範囲の広さに戸惑う受験生は多いです。心理療法、知能検査、家族支援、司法心理など、単元ごとにバラバラな知識を求められるため、全体像を把握せずに過去問に取り組むと、解答根拠が曖昧になってしまいます。本書は臨床心理学の基礎概念から実践的な領域まで、編入試験で繰り返し問われる主要論点をカバーしており、知識を体系的に整理するのに適しています。
この本の位置づけ
本書は、臨床心理学の全体像を学ぶ初心者向けの教科書です。心理学部への編入を志す受験生が、1年生のうちに基礎を固めるために使うレベルの内容となっています。心理療法の各派(精神分析、クライエント中心療法など)の理論的背景から、マインドフルネスや行動活性化療法といった実証的なアプローチまで、幅広く扱っているため、志望校の出題傾向がまだ定まっていない段階での全体学習に向いています。
同じく臨床心理学を扱う参考書と比べると、本書は理論の歴史的背景と最新の実証的知見の両方を重視する点が特徴です。つまり「なぜその療法が生まれたのか」という理解から入るため、単なる用語暗記ではなく、各療法の位置づけを理解しやすくなります。また、「エビデンスにもとづく臨床心理学」(第2章)という章を設けており、効果量やテストバッテリーなど、統計的な評価方法についても学べます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入を決めた1年生の秋冬、または2年生の春から導入することをお勧めします。この段階で臨床心理学全体の地図を作ることで、後の過去問演習がスムーズになります。
逆に、出願まで3ヶ月を切った時点で初めて本書に着手すると、ページ数が多いため読み切れない可能性があります。また、志望校の過去問をすでに何年分も解いている場合は、本書全体ではなく、苦手な単元に絞って参照する使い方に切り替える方が効率的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
心理学臨床心理学
頻出テーママインドフルネス、合理的配慮、心理療法、効果量、テストバッテリー、ペアレント・トレーニング
本書の該当ページ公認心理師(p.368)、デイケア(p.318)、復職支援(p.339)、行動活性化療法(p.435)
臨床心理学心理学
頻出テーマひきこもり、家族支援、臨床心理士、心理臨床、少年法、司法心理
本書の該当ページ臨床心理士(p.6)、心理臨床(p.677)、家族支援(p.37)、臨床心理実践(p.384)
お茶の水女子大学生活科学部
心理学
頻出テーマ神経心理学
本書の該当ページ精神療法(p.182)、素因ストレス・モデル(p.14)、類型論(p.50)
心理学
頻出テーマ発達心理学、心理療法、オペラント条件づけ、精神分析、パーソナリティ障害、精神医学
本書の該当ページ精神医学(p.696)、パーソナリティ障害(p.544)、心理検査(p.141)
鹿児島大学法文学部
心理学
頻出テーマ探索行動、新奇性、合理的配慮、半構造化面接、ウェクスラー式知能検査
本書の該当ページ新奇性(p.57)、探索行動(p.658)、ウェクスラー式知能検査(p.144)
臨床心理学
頻出テーマ対人相互作用、メンタライゼーション、代理強化、クライエント
本書の該当ページメンタライゼーション(p.187)、対人相互作用(p.604)、クライエント(p.206)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まずは第1章で「臨床心理学とは何か」を読み、臨床心理士や心理臨床の定義を確認してください。次に、志望校の過去問で頻出分野を調べ、その該当章から読み始めることをお勧めします。例えば、司法心理が出題される場合は「少年法」や「司法心理」の関連箇所(具体的なページはシラバスで確認)を重点的に、家族療法が問われる場合は家族支援の章を優先します。
各章を読む際は、その単元の歴史的背景(なぜこの理論が生まれたか)、主要な概念(キーターム)、実践的な応用例の3つを意識しながら進めてください。読み終わった後、志望校の過去問5年分をその単元ごとに解き、本書の記述とどう結びつくかを確認する往復学習が効果的です。
本書だけでは不足する部分が出た場合は、該当する先行研究論文や実務ガイド(認知行動療法マニュアルなど)を補助教材として参照するとよいでしょう。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.6 第1章 臨床心理学とは何か「スクールカウンセラー」がここで扱われています
- p.42 第2章 エビデンスにもとづく臨床心理学「国立医療技術評価機構」がここで扱われています
- p.57 第3章 パーソナリティ理論「統合失調型パーソナリティ障害」がここで扱われています
- p.141 第5章 臨床心理面接「心理検査」がここで扱われています
- p.169 第7章 精神分析パラダイム/精神分析療法「退 行」がここで扱われています
- p.253 第8章 人間性心理学パラダイム / クライエント中心療法「リラクセーション」がここで扱われています
- p.406 第13章 臨床心理学研究法「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」がここで扱われています
- p.464 第18章 社交不安症の理解と支援「不安症および関連症群面接マニュアル」がここで扱われています
注意点
本書は改訂版ですが、出版時期によっては最新の知見(例えば2020年代の新しい療法やガイドラインの改正)が反映されていない可能性があります。志望校の過去問で「本書に書かれていない用語が出ている」という場合は、その分野は他の資料で補完する必要があります。
また、本書は教科書的な記述が多く、一部の単元(特に神経心理学や研究法)は編入試験で重点的に問われるものの、本書の説明は概論にとどまる可能性があります。その場合は、志望校の過去問傾向に応じて、より専門的な参考書や論文との併用をお勧めします。







