大学院へのマクロ経済学講義
マクロ経済学の編入試験では、単なる理論の暗記では対応できません。予算制約式、効用最大化、均衡国民所得といった概念を数学的に導出し、式を立てて問題を解く力が求められます。本書は、編入試験に頻出するマクロ経済学の論点を、必要な数学ツールから丁寧に構築していく参考書です。
この本の位置づけ
本書は、マクロ経済学の基礎理論を数学的に厳密に学びたい受験生向けです。経済学部志望はもちろん、工学系大学から経済学部への編入を目指す受験生にも対応できる内容になっています。
一般的なマクロ経済学の教科書とは異なり、線型代数や微分法といった数学の基礎から始まる点が特徴です。また、最適化問題や差分方程式といった、編入試験で頻出する計算技法を段階的に習得できます。過去問で繰り返し問われる予算制約、労働供給・需要、クラウディングアウト、資本蓄積といった論点を、数式を通じて理解できるよう設計されています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
導入時期は、編入試験対策の早期段階(1年生の秋〜2年生の春)がおすすめです。この時期に数学基礎から理論構築までを一通り学んでおくと、その後の過去問演習がスムーズになります。
もし遅い時期に始めると、計算技法の習得に時間がかかり、過去問を解く時間が足りなくなる可能性があります。逆に早すぎても問題ありませんが、経済学の基本概念(需要と供給、市場均衡など)をあらかじめ理解しておくと、本書の内容がより定着しやすくなります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
数学経済学
頻出テーマ収束、連立差分方程式、純粋交換経済、2階導関数、2階偏導関数、全要素生産性
本書の該当ページ収束(p.61)、連立差分方程式(p.64)、純粋交換経済(p.157)、2階導関数(p.83)
経済学
頻出テーマ収束、純輸出関数、労働需要関数、経済成長理論、利子率、予算制約
本書の該当ページ収束(p.61)、純輸出関数(p.111)、労働需要関数(p.128)、経済成長理論(p.184)
経済学
頻出テーマ労働需要関数、導関数、利子率、予算制約、労働供給、実質賃金
本書の該当ページ労働需要関数(p.128)、導関数(p.23)、利子率(p.96)、予算制約(p.168)
経済学
頻出テーマ労働需要関数、ケインズ派、利子率、予算制約、相対価格、労働の限界生産力
本書の該当ページ労働需要関数(p.128)、ケインズ派(p.128)、利子率(p.96)、予算制約(p.168)
新潟大学経済科学部
経済学
頻出テーマ利子率、予算制約、相対価格、乗数効果、労働の限界生産力、リカード
本書の該当ページ利子率(p.96)、予算制約(p.168)、相対価格(p.139)、乗数効果(p.92)
経済学経営学
頻出テーマ比較静学分析、経済成長理論、リカード、貨幣供給量、貯 蓄、労働市場
本書の該当ページ比較静学分析(p.40)、経済成長理論(p.184)、リカード(p.167)、貨幣供給量(p.96)
広島大学経済学部
経済学
頻出テーマべき関数、金融緩和政策、閉鎖経済、導関数、定積分、指数関数
本書の該当ページべき関数(p.23)、金融緩和政策(p.97)、閉鎖経済(p.91)、導関数(p.23)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず第1章から第5章で、線型代数、微分法、最適化問題、差分方程式、微分方程式といった数学基礎を身につけます。これらの章では、定義を読んだ後に、各セクションの例題を自分で手を動かして解くことが大切です。
次に第6〜8章のマクロ経済分析に進みます。ここでは連立方程式を用いた均衡分析が中心となります。各章で示される式の導出過程をノートに書き写し、なぜその式が必要なのかを確認しながら進めてください。
本書で理論を学んだ後は、志望大学の過去問に挑戦し、実際の出題形式でどう応用されているかを確認します。過去問で詰まった際は、本書の該当ページに戻って計算技法を確認する往復学習が効果的です。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.1 第1章 線型代数の基礎「内生変数」がここで扱われています
- p.21 第2章 微分法の基礎「平均変化率」がここで扱われています
- p.45 第3章 最適化問題「2階偏導関数」がここで扱われています
- p.60 第4章 差分方程式「同次方程式の一般解」がここで扱われています
- p.81 第5章 積分法および微分方程式「同次方程式」がここで扱われています
- p.99 第6章 連立方程式によるマクロ経済分析〔Ⅰ〕「中央銀行引受」がここで扱われています
- p.117 第7章 連立方程式によるマクロ経済分析〔Ⅱ〕「純資本流入」がここで扱われています
- p.128 第8章 連立方程式によるマクロ経済分析〔Ⅲ〕「労働市場」がここで扱われています
注意点
本書の初版の出版年を確認した上で導入してください。経済学の基本理論は普遍的ですが、国際経済や金融論の最新トレンドは反映されていない可能性があります。
本書はあくまで数学的基礎とマクロ経済理論の構築に特化しており、ミクロ経済学の内容(完全競争市場、独占、ゲーム理論など)はカバーしていません。ミクロ経済学が出題される大学を志望する場合は、別の参考書で補う必要があります。また、本書の難易度は高めなため、高校までの数学に不安がある場合は、先に数学の基礎を学び直してから取り組むことをおすすめします。




