はじめて出会う心理学 = An Introduction to Psychology 長谷川 寿一 ,東条 正城 ,大島 尚 ,丹野 義彦 ,廣中 直行
心理学の編入試験では、発達心理学から神経生物学まで幅広い分野が問われます。特に複数の領域を横断する出題が増えており、個別単元の暗記だけでは対応できません。本書は心理学の全体像を俯瞰できる入門書として、編入試験で求められる基礎知識を体系的に整理するのに役立ちます。
この本の位置づけ
本書は大学の講義用教科書として編纂されており、心理学を初めて学ぶ受験生を想定しています。編入試験では高度な理論的考察よりも、各分野の基本概念と具体例の理解が優先されます。本書は試験範囲の「基盤となる知識」を固めるのに適した位置づけです。
他の心理学入門書と異なり、本書は神経生物学的観点(ニューロン、シナプス、神経伝達物質)から心理現象を説明する章立てになっています。編入試験で「生物心理社会モデル」が問われる背景にある現代心理学の潮流を理解できます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入対策を始める段階で、まず全体像を把握するために導入するのが効果的です。過去問演習の前に読むことで、出題内容の「どの領域に属するのか」を判断する力がつきます。
遅すぎる導入は避けてください。試験3ヶ月以内に初めて読むと、知識の定着が浅いまま過去問に進むことになり、間違いの原因追及に時間がかかります。逆に、基礎学力がない段階では読んでも抽象的に感じるため、高卒レベルの生物知識は最低限備えておくとよいでしょう。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
心理学
頻出テーマ発達心理学、心理療法、オペラント条件づけ、共同注意、パーソナリティ障害、心理検査
本書の該当ページオペラント条件づけ(p.228)、投影法(p.111)、共同注意(p.60)
心理学
頻出テーマ自我同一性、気分一致効果、心の理論、認知心理学、意味記憶、エピソード記憶
本書の該当ページ意味記憶(p.292)、エピソード記憶(p.63)、自我同一性(p.76)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
第1章で心理学の歴史と研究方法を、第2章で生物学的基礎を読んだ後、第3〜8章を順に進めます。各章は独立していますが、後の章を理解するには生物的基礎が必要なため、飛ばし読みは避けましょう。
読み方としては、1回目は細部にこだわらず全体を読み通し、2回目で過去問の出題内容と照らし合わせながら重要概念に下線を引きます。特に「発達心理学」(p.63)、「心の理論」が登場する箇所、「ストレスとメンタルヘルス」(p.138)は受験校で繰り返し出題されるため、丁寧に読んでください。
過去問との往復は、本書で基礎概念を確認してから過去問を解き、わからない問題が出たら本書に戻る方法が効率的です。本書だけでは説明が不足する領域(例:複雑な心理療法の実践的手法)が見つかったら、そこで初めて専門書を補助として使うようにしましょう。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.11 第1章 心理学とは「動物心理学」がここで扱われています
- p.34 第2章 心の進化「心の働き」がここで扱われています
- p.63 第3章 心の発達「エピソード記憶」がここで扱われています
- p.76 第4章 ライフサイクル「同一性拡散」がここで扱われています
- p.100 第5章 動機づけと情動「扁桃体」がここで扱われています
- p.110 第6章 性格「カウンセリング」がここで扱われています
- p.128 第7章 知能「知能検査」がここで扱われています
- p.138 第8章 ストレスとメンタルヘルス「ストレッサー」がここで扱われています
注意点
本書の出版年が古い場合、心理学の最新の研究成果が反映されていない可能性があります。特に「神経伝達物質」「受容体」に関する記述は、医学的知見の更新が速い領域です。試験直前期には、受験校の過去5年分の出題内容と本書の記述にズレがないか確認してください。
本書は概説的な内容を扱うため、個別の心理療法(認知行動療法、精神分析など)や投影法(ロールシャッハテスト、TAT)の具体的な診断基準や実施方法については、ページ数の制約から詳しく説明されていません。これらが頻出の受験校を志望する場合は、本書で概要を理解した後、専門書で補う必要があります。
また、本書は「パーソナリティ障害」を第6章で取り扱っていますが、編入試験ではDSM-5基準での出題も増えています。本書の記述と最新の診断基準に相違がないか、あらかじめ確認しておくことをお勧めします。







