ここから始める政治理論 = INTRODUCTION TO POLITICAL THEORY 田村 哲樹 ,松元 雅和,乙部 延剛
政治学や法学系の編入試験では、政治理論の基礎概念を問う問題が出題されることがあります。しかし、参考書によっては抽象的すぎたり、逆に実務的すぎたりして、学部の講義との接続が難しいと感じる受験生も多いです。本書は「政治とは何か」という根本的な問いから出発し、民主主義や権力といった政治学の中核概念を段階的に解き明かしていく入門書です。
この本の位置づけ
本書は政治学・法学の基礎的な素養がない受験生向けの入門書です。高校までの公民で学ぶレベルから大学学部の講義への橋渡けとなるように設計されており、難しい理論を日常的な問いかけから始める特徴があります。
他の政治学入門書と異なり、本書は政治思想の歴史を追うのではなく、「正義とは何か」「民主主義はなぜ必要か」といった規範的な問いに軸足を置いています。そのため、編入試験で出題される理論的・概念的な設問に対して、思考の枠組みを整える助けになります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
政治学や法学系の編入を目指す場合、受験勉強の初期段階(入学後半年~1年目の秋口)に読むことをお勧めします。この時期に読むことで、その後の講義や過去問での理論的議論をより深く理解できるようになります。
遅すぎる導入は避けてください。試験直前に初めて読むと、本書の内容を試験問題に結びつける時間が不足します。逆に、数学や英語の基礎が固まっていない時期に手をつけると、負担が大きくなる可能性があります。
使い方
第1章から第7章、第9章の順で通読することをお勧めします。政治の本質的な問題から始まり、民主主義や権力といった具体的なテーマに進む構成になっているため、この順序で読むことで段階的な理解が進みます。
各章は比較的短いため、1章を読んだ後に、その章で出てくる重要概念をノートにまとめる習慣をつけるとよいでしょう。「正義」「権力」「民主主義」といった用語が、本書ではどのように定義・議論されているかを自分の言葉で整理することが大切です。
受験予定先の過去問に「政治理論」や「政治思想」の出題がある場合は、本書で該当する章を読んだ後に過去問の設問を眺めると、理論と試験問題の結びつきが見えやすくなります。ただし、本書の内容だけで過去問をすべてカバーできるわけではないため、大学の講義資料や他の専門書と組み合わせた学習が必要です。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.29 第1章 政治とは何か?「政治的なるもの」がここで扱われています
- p.43 第2章 「私の勝手」で済むか?「コミュニタリアン」がここで扱われています
- p.52 第3章 どうして助け合わなければいけないのか?「均等原理」がここで扱われています
- p.69 第4章 あなたも「不正義」に加担している?「世界市民主義」がここで扱われています
- p.80 第5章 みんなで決めたほうがよい?「民主主義」がここで扱われています
- p.105 第6章 多数決で決めればよい?「闘技民主主義」がここで扱われています
- p.116 第7章 民主主義は国境を越えるか?「代議制民主主義」がここで扱われています
- p.157 第9章 権力とは何か?「監視社会」がここで扱われています
注意点
本書は2016年出版のため、その後の政治理論の展開(例えば、デジタル化に伴う民主主義の変化など)については扱われていません。最新の政治状況との関連性を問う問題が出題される場合は、別途情報収集が必要です。
本書は入門的な立場から政治理論の「考え方」を教えることに重点を置いているため、具体的な政治制度の仕組みや歴史的事例についての記述は限定的です。政治制度論や政治史を扱う編入試験に対しては、本書だけでは不十分です。また、経済学的観点からの政治分析(例えば公共選択論など)についても、本書の範囲外の内容が多くあります。







