基本無機化学 荻野 博 ,飛田 博実 ,岡崎 雅明
編入試験の無機化学では、単なる暗記では対応できない「原子の構造」や「化学結合」に関する理論的な問題が頻出です。特に波動関数やシュレーディンガー方程式といった量子力学的な観点から、電子配置や分子構造を理解することが求められます。本書は、これらの基礎理論を体系的に解説しており、理論と具体例の結びつけに悩む受験生の強い味方となります。
この本の位置づけ
本書は工学系・理学系の編入試験で頻出される「基礎理論」を重視する受験生を想定しています。波動関数や混成軌道といった量子力学の基礎から、主要族・非金属・遷移金属の化学まで、幅広い単元を一冊で網羅できる構成になっています。
他の無機化学の参考書と異なり、本書は現象の「なぜ」を理論から説明することに重点を置いています。暗記中心のアプローチではなく、電子配置やイオン化エネルギーがなぜそのような値になるのかを、量子数や軌道の概念を通じて理解させる点が特徴です。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
導入は編入対策を始めた早期段階、具体的には1年生後期~2年生前期から取り組むことをお勧めします。化学の基本的な概念(原子構造、化学結合)が固まった状態で読むと、理論の理解が深まりやすくなります。
早すぎる時期に取り組むと理論の抽象性に躓く可能性があります。逆に編入試験の直前期に初めて手にすると、ボリュームの多さに対応するのが難しくなるため、余裕を持った段階での導入が効果的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
大阪大学医学部
化学
頻出テーマシュレーディンガー方程式、波動関数、混成軌道、結合角、量子力学、sp3混成
本書の該当ページシュレーディンガー方程式(p.8)、原子価結合法(p.53)、混成軌道(p.55)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
最初は第1章(元素と周期表)から順序立てて読み進め、波動関数や量子数といった基礎概念を整理することから始めてください。1周目は理論の流れを掴むことに注力し、グラフや図表を丁寧に眺めることが大切です。
2周目以降は、志望大学の過去問で頻出される単元(例えば神戸大学なら電子配置やイオン化エネルギー、大阪大学医学部なら結合理論など)を重点的に読み返す方法が効果的です。その際、過去問の問題文と本書の該当ページを照らし合わせながら、「この問題がなぜこの理論に関連するのか」を確認することで、理論と問題が結びつきやすくなります。
計算問題が多く出る大学の場合は、本書で理論を固めた後、演習書で定量的な問題に取り組む流れが望ましいです。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.32 第1章 元素と周期表「不対電子」がここで扱われています
- p.129 第4章 基礎無機反応「標準酸化還元電位」がここで扱われています
- p.156 第5章 主要族金属元素の化学「不活性電子対効果」がここで扱われています
- p.162 第6章 非金属元素の化学「フッ化水素」がここで扱われています
- p.187 第7章 遷移金属の化学「不動態」がここで扱われています
- p.283 第10章 有機金属化学「β水素脱離反応」がここで扱われています
- p.312 第11章 生物無機化学「メチルコバラミン」がここで扱われています
この本を使った合格者の声
オンライン編入学院に寄せられた合格体験談から、本書を実際に使っていた受験生の記述を抜き出しました。
高専での授業に用いていたため、新たに参考書は購入せずに使用した。2周した。
東京農工大学 工学部 合格(2026年度) / 化学
注意点
本書は理論重視の教科書的な内容であり、出版年が相応に経過している可能性があります。掲載されているデータや最新の研究知見については、志望大学の過去問で確認することをお勧めします。
また本書は「基礎」という名称ですが、量子力学や混成軌道といった内容は数学的素養が必要になります。化学の基本概念が不十分なまま読むと、抽象的な説明に迷う可能性があるため注意が必要です。
さらに、有機化学や高度な反応機構については別途対策が必要になる場合があります。本書は無機化学に特化しているため、有機化学も出題範囲に含まれる試験では補足教材の準備も検討してください。







