日本経済読本(第23版) 大守 隆,増島 稔
編入試験の経済学では、日本経済の現状を踏まえた出題が増えています。インフレーション、労働市場、社会保障制度といったテーマは、単なる理論だけでなく、実際のデータや政策の文脈で理解することが求められます。本書は日本経済の構造と最近の課題を体系的に解説しており、経済学の基礎概念を現実の事例に結びつける際に役立ちます。
この本の位置づけ
本書は経済学の基礎知識がある程度ある受験生、または経済学入門を終えた受験生を対象としています。編入対策として必要な経済学の基本用語(金融政策、財政収支、完全失業率など)の理解をすでに持っていることを前提に、日本経済固有のデータと政策の組み合わせを学ぶ教材です。
他の経済学参考書との違いは、理論中心ではなく「日本経済の現状」を軸に構成されている点です。そのため、マクロ経済学の教科書で基本を学んだ後に、試験頻出のテーマ(社会保障、労働市場、インバウンド、貿易収支など)を日本の実例で掘り下げるのに適しています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
早期段階(大学1年冬~2年春)で経済学の基本用語をマスターした後、本書を導入することをお勧めします。編入試験直前期に読み始めると、データの整理に時間がかかり、過去問演習が十分にできなくなる可能性があります。
逆に早すぎる導入は避けてください。経済学の基礎(GDP、インフレーション、金利など)の概念が未確定のまま読むと、日本経済の解説が抽象的に感じられ、内容が定着しません。また、本書を読んでから過去問に進むまでに2~3週間の余裕を持つと、学んだ内容と試験問題の結びつきが明確になります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
経済学
頻出テーマ国際比較、諸外国、パンデミック、ウクライナ侵攻、インフレーション
本書の該当ページ所定内給与(p.170)、諸外国(p.262)、国際比較(p.77)、ウクライナ侵攻(p.313)
神奈川大学経済学部
マクロ経済学
頻出テーマ完全雇用、社会保障制度、財政収支、消費税、金融政策、完全失業率
本書の該当ページ社会保障給付費(p.212)、完全失業率(p.168)、生活保護(p.68)
神戸学院大学経済学部
マクロ経済学
頻出テーマ完全雇用、為替レート、インフレーション、経済成長率、金利差、経済規模
本書の該当ページ経済規模(p.314)、金利差(p.61)、為替レート(p.248)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
第1段階として、目次から試験対策に直結するテーマを確認します。特に第3章「日本の経済政策」(p.48)、第8章「人手不足下での労働市場の課題」(p.180)、第12章「持続可能な社会の実現に向けて」(p.274)から始めることをお勧めします。これらは社会保障制度、完全雇用、金融政策といった頻出テーマを扱っています。
第2段階として、各章を読みながら「何が問題なのか」「どのような政策が取られているのか」という因果関係を意識してください。数字やデータが出てきた場合は、ノートに記録しておくと、後で過去問と照らし合わせる際に便利です。
第3段階として、本書を読み終わった直後に、志望校の過去問を解いてみてください。本書で学んだテーマが実際の試験でどのような形式で問われているか確認することで、学習の効果が明確になります。その後、過去問で分からなかった点を本書に戻って確認する往復学習を2~3回繰り返します。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.25 第2章 日本経済の歩み「関税及び貿易に関する一般協定」がここで扱われています
- p.48 第3章 日本の経済政策「ビルトイン・スタビライザー」がここで扱われています
- p.180 第8章 人手不足下での労働市場の課題「オンザジョブトレーニング」がここで扱われています
- p.240 第11章 急回復したインバウンドと変動する貿易収支「サービス収支」がここで扱われています
- p.274 第12章 持続可能な社会の実現に向けて「サンク・コスト」がここで扱われています
- p.286 第13章「電子商取引」がここで扱われています
注意点
本書は第23版とあり、出版から数年経過している可能性があります。特にパンデミックやウクライナ侵攻後の経済データについて、最新の統計値と異なる可能性があります。試験直前には、統計局や日本銀行など公式機関の最新発表を確認してから答案作成してください。
次に、本書は日本経済の「現状説明」に重点を置いており、経済学の理論解説は限定的です。そのため、マクロ経済学の標準的な教科書(労働市場理論、金融政策の伝播メカニズムなど)を並行して学んでいない場合、専門的な問題には対応しにくいことがあります。理論とデータの両方を備えた学習を心がけてください。
最後に、本書でカバーできない範囲として、個別企業や産業レベルの詳細な分析、国際経済理論の基礎が挙げられます。これらが試験範囲に含まれる場合は、専門の参考書を併用する必要があります。







