アトキンス物理化学. 上 Atkins Peter William ,De Paula Julio,中野 元裕 ,上田 貴洋 ,奥村 光隆
大学編入の物理試験では、熱力学や力学の理論的な背景が問われることが多く、公式の丸暗記では対応できない問題に直面します。本記事でご紹介するアトキンス物理化学は、こうした理論的な理解が必要な単元を、体系的かつ詳細に解説している参考書です。編入試験に出題される熱力学第一法則、カルノーサイクル、エントロピーといった重要概念を、微積分を用いた厳密な導出とともに学べるため、大阪大学や神戸大学など難関国立大学の物理対策に活用できます。
この本の位置づけ
本書は、物理化学を専門的に学ぶ大学生向けの教科書であり、編入試験対策という限定的な用途だけでなく、合格後の学部での講義にも対応できるレベルの内容を扱っています。そのため、入学後も手元に置いて参照できる実用性が高い参考書です。
一般的な編入対策の参考書とは異なり、本書は単なる問題解法のテクニックではなく、物理化学の原理から応用までを一貫して学べる点が特徴です。過去問で繰り返し出題される熱力学やエントロピーについても、別冊の演習問題で具体的な計算練習ができるため、理論と実践の両立が可能です。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書は編入試験の準備開始から6ヶ月前、つまり3年次の秋から冬にかけて導入することが目安です。それより早く導入すると、内容の密度が高いため挫折しやすく、学習効率が低下する可能性があります。
逆に試験の3ヶ月以内に導入すると、本書の全体を消化する時間がなく、部分的な理解で終わるおそれがあります。そのため、基本的な物理の公式は既に習得している状態で、理論的な背景をしっかり学ぶ必要があると判断した時点で使用を開始するのが効果的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
物理
頻出テーマ熱力学第一法則、断熱過程、カルノーサイクル、可逆過程、温度変化、熱平衡
本書の該当ページ電気エネルギー(p.158)、冷凍機(p.101)、熱機関(p.124)、温度変化(p.79)
物理
頻出テーマ慣性モーメント、内部エネルギー、エントロピー、角運動量、熱力学第一法則、回転運動
本書の該当ページ内部エネルギー(p.74)、角運動量(p.405)、エントロピー(p.119)
大阪公立大学工学部
数学〔線形代数、微分方程式、複素関数論(フーリエ級数、フーリエ及びラプラス変換を含む)〕
頻出テーマ複素数、マクローリン級数
本書の該当ページマクローリン級数(p.63)、複素数(p.333)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書は上巻から順に読み進めることをお勧めします。最初に各章の導入部を通読して全体像をつかみ、その後、編入試験に頻出の単元(熱力学第一法則、カルノーサイクル、エントロピーなど)に関連するページを重点的に学習してください。
各単元を学んだ後は、別冊の演習問題で計算練習を行い、その後すぐに過去問の関連問題に取り組む流れが効果的です。過去問で類似の出題形式が出現したときに、本書のどのページで対応する理論を学んだかをメモしておくと、試験当日の見直しに役立ちます。
特に複素数やマクローリン級数といった数学的な手法を用いた導出が登場する箇所は、最初は時間をかけて理解し、複数回の反復学習を心がけてください。
注意点
本書は物理化学の大学教科書であり、編入試験の過去問よりも内容が広く、かつ深いため、試験範囲外の知識も多く含まれています。編入対策として使用する際は、各大学の過去問で実際に出題されている単元に絞り込み、必要な部分だけを学習することが重要です。
版の情報は提供されていないため、入手前に出版年が新しいかどうかを確認し、物理学の理論に大きな変更がないことを確認してください。また、本書で学べる複素関数論やフーリエ級数といった高度な数学的内容は、編入試験によって出題範囲が異なるため、志望大学の過去問で事前に確認してから学習に組み込むことをお勧めします。







