マクマリー一般化学 上 McMurry John,Fay Robert C,荻野 博 ,山本 学 ,大野 公一
編入化学では、単なる暗記では対応できない「化学結合の本質」や「分子構造の理解」が問われます。特に電子配置から分子軌道まで、微視的なレベルでの理解が不十分だと、過去問で繰り返し出題される構造式やイオンの安定性に関する問題で得点を落としやすくなります。本書は、こうした基礎概念を体系的に解説する英語圏の標準的な一般化学教科書の日本語版で、編入試験に頻出の論点を原子レベルから丁寧に扱っています。
この本の位置づけ
本書は高校化学の内容をすでに習得した受験生、あるいは高専・短大で基礎化学を学んだ受験生を対象としています。電子配置や結合の種類といった基本概念から始まり、分子軌道やσ結合・π結合といった高度な内容まで段階的に進むため、無理なく編入試験レベルの理解へ到達できます。
同じく編入対策向けの化学参考書と比べると、本書は「なぜそうなるのか」という背景にある原理を重視します。問題パターン暗記ではなく、原子や分子の振る舞いを根本から理解したい受験生に向いています。また、グラフや温度変化といった現象的な側面にも触れており、編入試験で問われる多角的な出題に対応しやすい特徴があります。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
導入時期は、編入受験の準備を開始した直後から遅くても受験6ヶ月前までが目安です。本書の内容をしっかり消化するには時間が必要であり、早期に読み始めることで、後々の過去問演習や応用的な内容の学習がスムーズになります。
逆に、受験3ヶ月以内に初めて本書に取り組むと、ページ数が多く深い内容が多いため、全体像を把握しきれないまま受験日を迎える可能性があります。また、既に他の参考書で基礎を固めてしまった場合に本書から始めると、重複学習で時間をロスすることになるため、その際は必要な章だけを選んで活用する方が効率的です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
茨城大学理学部
化学地球科学
頻出テーマ電子配置、オゾン、アンモニア、水素結合、構造式、分子構造
本書の該当ページ電子配置(p.53)、基底状態(p.53)、共鳴構造(p.97)、対流圏(p.203)
お茶の水女子大学理学部
化学
頻出テーマ電子配置、分子軌道、イオン化エネルギー、水素結合、電気陰性度、混成軌道
本書の該当ページ多重結合(p.92)、電子配置(p.53)、イオン化エネルギー(p.66)
電気通信大学情報理工学域
化学
頻出テーマ電子配置、混成軌道、分子軌道、基底状態、イオン化エネルギー、結合次数
本書の該当ページ基底状態(p.53)、電子配置(p.53)、イオン化エネルギー(p.66)
化学
頻出テーマ混成軌道、化学平衡、化学結合、イオン結合、共有結合、自由エネルギー
本書の該当ページ元素の性質(p.38)、17族元素(p.81)、自由エネルギー(p.181)
弘前大学医学部
化学
頻出テーマ結晶構造、イオン結晶、分子結晶、金属結晶、原子価、非電解質
本書の該当ページ原子価(p.64)、非電解質(p.140)、気体の密度(p.196)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず第2章から第5章までを順番に読み進め、分子、イオン、化学結合、共有結合といった編入試験の頻出テーマについて理解を深めてください。第1章は化学実験の基本的な考え方、第6章から第8章はエネルギーや反応式の基礎で、志望先の過去問に出題される範囲を確認した上で、必要に応じて取り組みます。
各章を読むときは、単に文字を追うのではなく、図解や分子の描き方に注意を払い、ノートに構造式を手書きして再現する作業を繰り返してください。特に電子配置、分子軌道、水素結合といった抽象的な概念は、図を見るだけでなく自分で描く経験が理解を固めます。
読み終わったら、志望先の過去問で「電気陰性度」「共鳴構造」「オゾン」といった論点が具体的にどのように問われているかを確認し、本書の該当ページへ戻って知識を整理する往復学習をお勧めします。この循環を通じて、暗記ではない本質的な理解が完成します。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.12 第1章 化学へのアプローチ: 実験「SI誘導単位」がここで扱われています
- p.33 第2章 質量保存の法則と定比例の法則「アルミニウム」がここで扱われています
- p.53 第3章 光といろいろな電磁波「電子配置」がここで扱われています
- p.74 第4章 分子,イオンおよび化学結合「イオン化合物の命名法」がここで扱われています
- p.91 第5章 分子と共有結合「点電子構造」がここで扱われています
- p.118 第6章 化学反応式の釣り合いをとる「スクロース」がここで扱われています
- p.140 第7章 化学反応の様式「水溶液」がここで扱われています
- p.181 第8章 エネルギーとその変化「自由エネルギー」がここで扱われています
注意点
本書は外国の教科書の翻訳であり、日本の編入試験で重視される「日本式の化学用語」や「計算問題の定型フォーマット」とやや異なる表現が含まれている点に注意してください。特に分子軌道などの記号や呼び方は、志望先の過去問や講義資料と照らし合わせながら学習することをお勧めします。
本書はページ数が多く、全てを深く学ぼうとするとかなりの時間を要します。編入試験の化学出題範囲は大学・学部によってばらつきがあるため、志望先の過去問を最初に分析し、必要な章と不要な章を判別してから取り組む方が効率的です。







