心理学研究法〔補訂版〕 高野 陽太郎,岡 隆
心理学の編入試験では、研究法に関する出題が避けられません。特に独立変数・従属変数の関係、剰余変数の統制、サンプリング方法といった基本概念の理解が問われます。本書は、心理学研究の設計から実施まで体系的に学べる参考書として、これらの論点をしっかり押さえるのに役立ちます。
この本の位置づけ
本書は、研究法の基礎から応用まで段階的に学ぶ必要がある受験生向けです。西南学院大学や法政大学など、研究法を専門的に問う大学を志望する場合、この一冊で対策の中核を据えることができます。
他の心理学参考書と異なり、本書は研究の「実施方法」に重点を置いています。統計学の計算問題よりも、実験設計の考え方、倫理的配慮(インフォームド・コンセント、デブリーフィング)、測定の信頼性といった定性的な理解を求める出題に対応しています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
遅くとも編入受験の準備期間(大学2年の秋冬)から導入することをお勧めします。研究法の概念は他の心理学科目の基礎になるため、早めに理解しておくと、統計や応用心理学の学習もスムーズになります。
逆に試験直前に初めて取り組むと、用語の定義と実験設計での使われ方のつながりが十分に頭に入らないまま試験を迎えることになります。最低でも2~3ヶ月の学習期間を確保してください。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
西南学院大学人間科学部
心理学
頻出テーマインフォームド・コンセント、デブリーフィング、ダブル・バーレル質問、無作為抽出法、帰無仮説
本書の該当ページ要因計画(p.114)、ダブル・バーレル質問(p.204)、母集団(p.196)
お茶の水女子大学生活科学部
心理学
頻出テーマデブリーフィング、測定の信頼性、カウンターバランス
本書の該当ページカウンターバランス(p.107)、測定の信頼性(p.72)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず第2章から第6章まで順番に読み進め、実験研究の基本フレームを把握します。その際、各章の終わりに過去問で同じ論点がどう問われているかを確認すると、理解が深まります。
次に、志望大学の過去問で「独立変数と従属変数」「剰余変数の統制」「カウンターバランス」といったキーワードが出てきたら、該当するページ(例えば、独立変数は第4章p.42付近)に戻って、具体的な出題文脈での使われ方を追認します。
第7章から第9章は、実験法の応用や心理学独自の倫理問題を扱っています。過去問で「心理学研究の倫理」や「コンピュータを用いた実験」といった特殊な出題形式が見られたら、その部分を重点的に読み込んでください。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.21 第2章 実験と観察「第3の変数」がここで扱われています
- p.33 第3章 実証の手続き
- p.42 第4章 独立変数の操作「概念的独立変数」がここで扱われています
- p.73 第5章 従属変数の測定「基準関連妥当性」がここで扱われています
- p.107 第6章 剰余変数の統制「カウンターバランス」がここで扱われています
- p.135 第7章 さまざまな実験法「不等価従属変数」がここで扱われています
- p.147 第8章 コンピュータ・シミュレーション
- p.164 第9章 心理学に特有な問題「ディセプション」がここで扱われています
注意点
本書は補訂版ですが、心理学研究法の基本概念は比較的安定しており、古さによる大きな問題は生じにくいです。ただし、最新の倫理ガイドライン(例えば日本心理学会による指針の改定)がある場合は、参考書の記述と現在のスタンダードにズレがないか、確認する価値があります。
本書は研究方法論に特化しているため、心理学の実験データ分析で必要となる統計的手法(t検定、分散分析など)の計算方法は最小限の扱いにとどまります。帰無仮説などの統計概念は扱いますが、計算問題が多く出される大学を志望する場合は、統計学の参考書を別途準備してください。







