ベーシック有機化学 山口 良平 ,山本 行男 ,田村 類
有機化学は編入試験で頻出ですが、反応機構や立体化学の理解が不十分なままでは、応用問題で得点できません。本記事では、有機化学の基礎を体系的に学べる『ベーシック有機化学』が、編入対策でどのような役割を果たすかを解説します。
この本の位置づけ
本書は、有機化学の初学者から中級程度の学生を対象としています。大学1年生で化学の基礎を学んだ後、編入試験に向けて有機化学を本格的に学習する段階で活用できます。 他の有機化学参考書と比べ、本書は構造式・フィッシャー投影式・ニューマン投影式といった「分子の見方」から、求核置換反応・求核付加反応などの基本的な反応機構まで、段階的に説明しています。各種機構図が豊富なため、目で見て理解しやすい点が特徴です。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
編入試験の1年~1年半前から導入することをお勧めします。編入対策を始めた直後に、このテキストで有機化学の基礎を固めると、その後の過去問演習がスムーズになります。 逆に試験直前になってから導入すると、新しい知識の習得に時間がかかり、過去問で発見した弱点を補う余裕がなくなります。また、基礎を飛ばして難問集だけに取り組む場合、反応機構の細部で理解が抜ける可能性があります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
東京海洋大学海洋生命科学部
化学(有機化学)
頻出テーマ構造式、反応機構、置換基、立体化学、求核置換反応、カルボカチオン
本書の該当ページ置換基(p.89)、カルボカチオン(p.86)、フィッシャー投影式(p.198)
新潟大学理学部
化学
頻出テーマ共鳴安定化、求核付加、芳香族求電子置換反応、ニトロ化、エネルギー準位、求核付加反応
本書の該当ページ求核付加(p.138)、中間体(p.60)、求核付加反応(p.138)
広島大学生物生産学部
有機化学
頻出テーマエナンチオマー、ジアステレオマー、フィッシャー投影式、ニューマン投影式、立体配置
本書の該当ページエナンチオマー(p.48)、ジアステレオマー(p.48)、立体配置(p.47)
愛媛大学医学部
化学
頻出テーマ酸塩基平衡、ルイス構造式、フェノール誘導体
本書の該当ページ酸塩基平衡(p.24)、フェノール誘導体(p.193)、ルイス構造式(p.13)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書は1章から順序どおりに読むことをお勧めします。分子構造の基礎知識(原子軌道、共鳴安定化、エネルギー準位)を理解した上で、各種反応(ニトロ化、置換基の効果、求電子置換反応など)へ進むことで、知識が積み重ねられます。 本書で一通り学んだ後、志望大学の過去問に取り組んでください。過去問で出題されている反応について、本書のどのページで説明されているかを確認し、理解の穴を埋める使い方が効果的です。特に反応機構を問う問題では、本書の図解を参考に、自分で機構図を描く練習をしましょう。 酸解離定数や速度論など、定量的な問題が出題される場合は、本書の該当ページを確認した上で、過去問の類似問題を複数解くことで定着させます。
注意点
本書は基礎から中程度までの内容を扱っているため、大学院入試レベルの高度な有機化学には対応していません。編入試験の難度が高い大学を志望する場合は、本書で基礎を固めた後、より難度の高い参考書や問題集の併用を検討してください。 また、出版年が古い可能性があるため、新しい版が出ていないか確認することをお勧めします。編入試験の出題傾向が変わっていないか、志望大学の過去問と照らし合わせて確認し、本書の内容と試験範囲にズレがないかをチェックしましょう。 本書はあくまで反応機構や基本的な知識の習得に適しており、定量計算(速度論、平衡計算)や複合反応の問題については、問題演習を通じて別途補強が必要になる場合があります。







