物理化学 2 (量子化学編) 伊藤 和明
大学編入の理学系・工学系試験では、量子化学の基礎概念が問われることがあります。波動関数、エネルギー準位、原子軌道といった抽象的な内容につまずく受験生は少なくありません。本書は量子化学の理論的な背景を体系的に解説しており、これらの概念を深く理解したい場合の参考資料となります。
この本の位置づけ
本書は大学の物理化学講義の教科書として作成された書籍です。編入試験の対策用ではなく、大学1~2年生が学ぶ物理化学の理論を広く扱っているため、試験で直接必要な範囲外の内容も含まれています。
量子化学の基礎から応用までを論理的に学べる点が特徴です。一般的な編入試験対策参考書とは異なり、試験頻出のテーマに絞った構成にはなっていません。受験生が自分の受験先で量子化学がどの程度出題されるかを確認した上での選択が必要です。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書を活用するのは、出願先大学の過去問を確認してから判断することをお勧めします。量子化学が試験範囲に明記されている場合、または過去問で繰り返し出題されている場合に、理論的な理解を補うために導入するのが効果的です。
もし量子化学の出題がない、あるいは軽く扱われているだけであれば、本書で時間を使うことはお勧めできません。限られた編入対策の時間を、試験に直結する単元に優先的に配分することが重要です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
化学物理
頻出テーマ規格化、不確定性原理、磁気量子数、等核二原子分子、シュレーディンガー方程式、結合次数
本書の該当ページ規格化(p.51)、不確定性原理(p.32)、磁気量子数(p.99)、等核二原子分子(p.131)
お茶の水女子大学理学部
数学化学
頻出テーマ軌道エネルギー、等核二原子分子、規格化、反結合性軌道、結合次数、結合性軌道
本書の該当ページ軌道エネルギー(p.149)、等核二原子分子(p.131)、規格化(p.51)、反結合性軌道(p.123)
新潟大学理学部
化学物理
頻出テーマスピン角運動量、結合次数、結合性軌道、回転運動、量子数、結合エネルギー
本書の該当ページスピン角運動量(p.99)、結合次数(p.157)、結合性軌道(p.122)、回転運動(p.70)
電気通信大学情報理工学域
数学
頻出テーマ軌道エネルギー、磁気量子数、反結合性軌道、結合次数、量子数、回転運動
本書の該当ページ軌道エネルギー(p.149)、磁気量子数(p.99)、反結合性軌道(p.123)、結合次数(p.157)
京都工芸繊維大学工芸科学部
物理化学
頻出テーマ水素型原子、多電子原子、定常波、電子密度、回転運動、波動関数
本書の該当ページ水素型原子(p.80)、多電子原子(p.106)、定常波(p.31)、電子密度(p.155)
東京農工大学工学部
数学
頻出テーマ軌道エネルギー、結合次数、電子密度、回転運動、π結合、イオン化エネルギー
本書の該当ページ軌道エネルギー(p.149)、結合次数(p.157)、電子密度(p.155)、回転運動(p.70)
数学化学
頻出テーマ回転運動、イオン化エネルギー、角運動量、スピン、振動数、原子番号
本書の該当ページ回転運動(p.70)、イオン化エネルギー(p.111)、角運動量(p.92)、スピン(p.99)
東京海洋大学海洋生命科学部
化学
頻出テーマ永年方程式、反結合性軌道、結合性軌道、波動関数、ブタジエン、原子番号
本書の該当ページ永年方程式(p.153)、反結合性軌道(p.123)、結合性軌道(p.122)、波動関数(p.49)
茨城大学理学部
化学数学
頻出テーマ軌道の重なり、結合次数、結合性軌道、π結合、角運動量、スピン
本書の該当ページ軌道の重なり(p.131)、結合次数(p.157)、結合性軌道(p.122)、π結合(p.140)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
本書を手に取った場合は、まず自分の受験先の過去問で量子化学の出題形式を確認しましょう。その上で、過去問で求められている深さに応じて、該当する章だけを読む使い方が現実的です。
通読ではなく、不足している知識を補うための辞書的な使い方をお勧めします。演習問題が付いている場合は、基本的な概念を確認した後に取り組み、過去問の類似問題と照らし合わせて理解が定着しているか確認するのが効果的です。
注意点
重要な注意点として、本書は編入試験の合格者から体験談に挙げられていません。つまり、多くの編入受験生にとって本書は必須ではないということです。出版から相応の年月が経ている可能性もありますので、購入前に発行年を確認してください。
本書は理論的で難易度が高い内容を含むため、編入試験に不要な部分まで学習してしまうリスクがあります。試験科目・試験範囲の確認を必ず済ませ、自分の受験に本当に必要かどうかを判断した上での使用をお勧めします。




