問いからはじめる教育学〔改訂版〕 勝野 正章,庄井 良信
編入試験の教育学では、単なる知識の暗記では対応できない論述問題や面接試問が頻出です。特に「教育実践とは何か」「学習指導要領の役割は」といった本質的な問いに対して、自分の言葉で論理的に答える力が求められます。本書は「問い」を起点とした構成で、受験生が教育学の基礎概念を理解しながら、同時に考察する習慣を身につけられる参考書です。
この本の位置づけ
本書は教育学の基礎的な内容を学ぶ受験生向けです。神戸大学や京都大学、大阪大学といった上位国公立大学から関西大学などの私立大学まで、幅広いレベルの編入試験に対応しており、初学者から一定程度学習が進んだ受験生まで活用できます。
他の参考書との違いは、用語の定義や歴史的背景を単に説明するのではなく、「なぜそのような実践が生まれたのか」「現代の教育課題とどう結びつくのか」という問題意識を常に持ちながら学べる点です。教育改革やインクルーシブ教育、不登校対応といった現代的な論点についても、その背景にある教育理論を理解した上で考察できる設計になっています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書は学習の中盤から後期にかけて導入することをお勧めします。具体的には、編入対策を開始してから3ヶ月目以降、教育学の基本的な用語(学習指導要領、生徒指導、発達など)についてある程度の理解がある段階で取り組むとの効果的です。
早い段階で使用すると、問いに対して考察する際の前提知識が不足し、単なる模範解答の暗記になる可能性があります。一方、試験直前に初めて使用すると、思考プロセスを整理する時間が不足します。合格者の体験では2ヶ月かけて1週するペースが参考になります。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
英語
頻出テーマフリースクール、ヴィゴツキー、発達の最近接領域、自己肯定感、生涯学習、教員養成
本書の該当ページフリースクール(p.103)、ヴィゴツキー(p.38)、発達の最近接領域(p.39)、自己肯定感(p.148)
お茶の水女子大学文教育学部
国語・現代文教育学
頻出テーマ子どもの権利、子どもの権利条約、格差、能力主義、教育内容、ジェンダー
本書の該当ページ子どもの権利(p.69)、子どもの権利条約(p.69)、格差(p.25)、能力主義(p.147)
秋田大学教育文化学部
小論文教育学
頻出テーマ生徒指導、シティズンシップ、学習指導要領、不登校、学習指導
本書の該当ページ生徒指導(p.146)、シティズンシップ(p.122)、学習指導要領(p.82)、不登校(p.148)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず目次から全体像を把握し、各章の「問い」に目を通してください。その後、各問いに対して自分なりの答えを用意する前に、本書の解説を読んで視点を広げます。重要なのは、解説を読んだ後に改めて自分の答えを言語化し、そのプロセス(なぜそう考えたか、どの理論を根拠としたか)をメモすることです。
過去問との往復も効果的です。志望校の過去問で論述問題が出た場合、その背景にある教育理論を本書で確認し、理論と実践の関連性を理解してから再度答案を作成します。例えば「ヴィゴツキーの発達の最近接領域」が出題された場合、本書でその概念を学んだ上で、過去問の問われ方にどう対応するかを検討する流れです。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.133 第9章「研究的実践者」がここで扱われています
- p.148 第10章「いじめ」がここで扱われています
- p.167 第11章「情報通信技術」がここで扱われています
この本を使った合格者の声
オンライン編入学院に寄せられた合格体験談から、本書を実際に使っていた受験生の記述を抜き出しました。
教育の基礎的な内容に加え自分で考える機会を多く与えてくれる教材で、思考の言語化により面接などで論理的な回答を行う能力が身につく。2ヶ月で1週するように進め、自分なりの答えを出すとともにプロセスもメモしておいた。
北海道大学 教育学部 合格(2025年度) / 小論文
注意点
本書は改訂版ですが、出版から一定の期間が経過しています。コロナ禍への教育的対応や最新の学習指導要領改訂の詳細については、最新の中央教育審議会の資料や文科省の公式情報と合わせて確認することをお勧めします。
また、本書は理論的な基礎を身につける教材であるため、統計データ(学習到達度調査など)や具体的な事例については別途資料が必要になる場合があります。面接対策として、本書で学んだ理論をもとに現代の教育課題(不登校、問題行動、インクルーシブ教育など)について自分なりの見方を構築する作業を並行して進めることが、志望大学での面接に活きてきます。




