機械工学のための力学は最初の1冊になるか|静力学から積む順番
機械系の編入試験の勉強で、材料力学や機械力学に手を出したものの、力の分解や釣合いのところで止まる。これは専門科目の理解不足ではなく、その手前の静力学が抜けていることが原因です。
本書は、その手前の部分だけを152ページにまとめた教科書です。この記事では、土台としての使い方と、ここから専門科目へ進む順番を整理します。
この本の位置づけ
本書はJSMEテキストシリーズの1冊です。シリーズの巻頭には、企画の方針がはっきり書かれています。大学学部学生のための機械工学への入門から必須科目の修得までに焦点を当て、機械工学の標準的内容をもち、かつ技術者認定制度に対応する教科書とすること。日本機械学会として大学における機械工学教育の標準を示すこと。導入部から必須科目まで連続的に学べるように配慮すること。そして、技術者教育認定制度や技術士一次試験などへの対応を考慮し、技術英語を導入することです。図表をページの片側に置いた2色刷りや、分野別テキストとあわせた演習書の刊行も、この方針から出ています。
したがって本書は、編入試験のために書かれた本ではなく、機械系学科の標準的な教科書です。編入対策で使うということは、志望校の出題範囲に合わせて、この教科書のどこを読むかを自分で決めるということになります。
この巻の特徴は、扱う範囲を絞ってあることです。第1章の序論で、力学とは何か、力学の歴史、使用される用語と単位、本教科書の構成と使用方法を示したうえで、第2章が力とモーメント、第3章が力とモーメントの釣合いへ進みます。
第2章では、力の基本性質、ベクトルの計算、力の合成と分解、モーメントの基本性質と計算、偶力、物体にはたらく力とモーメントの合成、そして3次元の力とモーメントまで扱います。第3章は釣合いで、1点に作用する力の釣合い、複数の点に作用する力の釣合い、釣合いにおける内力、重心(質点系と連続体)、摩擦力(固体摩擦と、それが作用する場合の釣合い)、平面トラスの静解析(節点法)と続きます。
つまり、材料力学や機械力学で当然の前提とされる部分を、正面から扱っている本です。152ページとシリーズのなかでは薄く、土台づくりの目的なら短期間で通せます。
編入対策での位置づけは明確です。専門科目そのものではなく、専門科目に入るための一冊。志望校の出題科目に力学の基礎が直接含まれる場合もありますが、多くはこの内容を前提にした材料力学や機械力学が出題されます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
機械系の専門科目に入る直前が最適です。材料力学や機械力学の教科書を開いて、力の扱いのところで止まった経験があるなら、そこで一度この本に戻ってください。
高専で力学を履修している場合は、通読の必要はありません。トラスの静解析や3次元のモーメントなど、あいまいな項目だけを拾い読みする使い方で足ります。
大学の文系・情報系から機械系へ編入する場合は、最初にこの本を通してください。薄いので、対策の初期に組み込んでも他科目を圧迫しません。
力学の土台がないまま材料力学や機械力学に進むと、どの科目でも同じ場所で詰まります。いまどこから積み直すべきかは、志望校の出題と現在の理解度で決まります。うかがったうえで整理します。
ボタンを押すとオンライン編入学院の公式LINEが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。
ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
物理
頻出テーマ回転座標系、並進運動、剛体の力学、直交座標、成分表示、相対運動
本書の該当ページ回転座標系(p.56)、並進運動(p.79)、剛体の力学(p.82)、直交座標(p.53)
東京農工大学工学部
数学
頻出テーマ回転中心、剛体の力学、並進運動、質量中心、力の大きさ、回転運動
本書の該当ページ回転中心(p.94)、剛体の力学(p.82)、並進運動(p.79)、質量中心(p.85)
数学物理
頻出テーマ力とモーメント、並進運動、質点の力学、力の大きさ、相対運動、回転運動
本書の該当ページ力とモーメント(p.12)、並進運動(p.79)、質点の力学(p.45)、力の大きさ(p.40)
物理数学
頻出テーマ人工衛星、並進運動、成分表示、仕事とエネルギー、相対運動、回転運動
本書の該当ページ人工衛星(p.103)、並進運動(p.79)、成分表示(p.8)、仕事とエネルギー(p.67)
物理数学
頻出テーマ力の大きさ、回転運動、質点系、単位ベクトル、慣性モーメント、摩擦力
本書の該当ページ力の大きさ(p.40)、回転運動(p.79)、質点系(p.34)、単位ベクトル(p.47)
大阪公立大学工学部
物理
頻出テーマ並進運動、剛体の運動、回転運動、慣性モーメント、摩擦力、座標系
本書の該当ページ並進運動(p.79)、剛体の運動(p.97)、回転運動(p.79)、慣性モーメント(p.84)
物理英語
頻出テーマ並進運動、剛体の力学、成分表示、回転運動、慣性モーメント、摩擦力
本書の該当ページ並進運動(p.79)、剛体の力学(p.82)、成分表示(p.8)、回転運動(p.79)
英語数学
頻出テーマ回転中心、相対運動、回転運動、単位ベクトル、慣性モーメント、摩擦力
本書の該当ページ回転中心(p.94)、相対運動(p.54)、回転運動(p.79)、単位ベクトル(p.47)
物理
頻出テーマ成分表示、剛体の運動、回転運動、慣性モーメント、摩擦力、角速度
本書の該当ページ成分表示(p.8)、剛体の運動(p.97)、回転運動(p.79)、慣性モーメント(p.84)
東京都市大学理工学部
物理
頻出テーマ質量中心、仕事とエネルギー、回転運動、慣性モーメント、角速度
本書の該当ページ質量中心(p.85)、仕事とエネルギー(p.67)、回転運動(p.79)、慣性モーメント(p.84)
京都工芸繊維大学工芸科学部
物理
頻出テーマ微小質量、並進運動、剛体の運動、回転運動、慣性モーメント
本書の該当ページ微小質量(p.94)、並進運動(p.79)、剛体の運動(p.97)、回転運動(p.79)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
この本の使い方
章の順に読み、各章末の練習問題を解いてください。この本の内容は、後続の科目すべての前提になるので、飛ばし読みは勧めません。
図を自分で描くことを習慣にしてください。力の分解、モーメントの向き、トラスの節点まわりの力は、頭の中だけで扱うと必ず符号を落とします。手を動かした図が残っていれば、間違えたときに原因をたどれます。
1周したら、材料力学や機械力学の教科書へ進んでください。この本に長く留まる必要はありません。土台ができた状態で専門科目に入ると、同じ教科書が読める速度が変わります。
志望校の出題との対応は、この記事の「ターゲット大学と対策できるテーマ」で確かめられます。
注意点
扱う範囲が狭いので、この本だけでは編入試験の専門科目には対応できません。土台をつくったら必ず次の教材に移ってください。
また、学科の教科書であって、編入試験用の問題集ではありません。演習量は別に確保する必要があります。
高専生や機械系学科の学生で、すでに静力学が身についている場合は、この本を通読する意味は薄くなります。その時間は材料力学や熱力学の演習に回すほうが得点につながります。自分に必要かどうかを、章立てを見て判断してください。
動画でも解説しています
【大学編入】埼玉大学 工学部 機械工学・システムデザイン学科 編入合格者インタビュー|倍率10倍以上‼ 決め手になる面接試験で聞かれることとは?
【大学編入】公立諏訪東京理科大学 工学部 機械電気工学科 電気電子コース・大分大学 理工学部 理工学科 電気エネルギー・電子工学プログラム編入合格者インタビュー|謎に包まれたその試験内容とは⁉
大学編入試験対策における「専門科目」の学習の進め方について学長が伝授
【大学編入】九州大学編入合格者の対策スケジュールと使った参考書・その使い方全てを話しました!
【理系編入】ライバルと差をつける冬の過ごし方|冬を制する者が受験を制する
2年連続 合格者数No.1
大学編入試験
合格者数 No.1
※調査対象期間 2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ
※調査方法: 企業担当者へのヒアリング、企業発表情報、デスクリサーチ/調査対象: 大学編入試験対策の予備校・個別指導塾(医学部・看護学部系除く)/調査項目: 2025年度と2026年度の大学編入試験合格者数
オンライン編入学院 公式サイト
オンライン編入学院は、専門科目をどこから積み直すかの判断も含めて指導しています。合格状況は年度ごとに公開しています。2027年度入学では東京農工大学工学部機械システム工学科にも合格者が出ました。最新の状況は合格者速報をご覧ください。
土台ができたあと、どの専門科目から手をつけるかは志望校の配点で変わります。現在の状況をうかがって、順番を一緒に決めます。
ボタンを押すとオンライン編入学院の公式LINEが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。







