よくわかる教育学原論 安彦 忠彦 ,藤井 千春 ,田中 博之
教育学の編入試験では、教育制度や教育課程、学習指導といった制度的・実践的な知識だけでなく、教育とは何かという根本的な理解が問われます。本記事では、教育学の基礎概念を体系的に学べる『よくわかる教育学原論』について、編入受験での活用方法をご紹介します。この本は、教育学部への編入を目指す受験生が最初に手にすべき基礎の一冊です。
この本の位置づけ
本書は、これから教育学を本格的に学ぶ受験生を想定した入門書です。教育学の専門用語や基本的な理論枠組みをわかりやすく解説しており、高等学校までの学習では扱わない教育学固有の概念を習得するのに適しています。編入試験対策として、参考書選びに迷う受験生が最初に選ぶべき一冊といえます。 本書の特徴は、教育学の各分野を幅広くカバーしながらも、各章が比較的短くまとめられていることです。教育思想や教育の歴史といった理論的な章から、学校制度や教育課程といった実務的な章まで、編入試験に出題される主要な論点をほぼ網羅しています。そのため、他の参考書と異なり、一冊で教育学の全体像を把握できます。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
本書は、編入試験の対策を開始する際の導入書として、受験勉強の早期段階(受験から半年以上前)で読み始めることをお勧めします。先にこの本で教育学の基礎知識と全体像を理解することで、その後の過去問演習や専門書の読解がスムーズになります。 もし過去問演習を先に進めてしまうと、問題文に出てくる教育学用語や概念の意味が十分に理解できず、解説を読んでも納得しにくい状況に陥りやすいです。逆に、この本を読むのが遅すぎると、試験直前期に基礎を固め直す必要が生じ、時間効率が低下します。
ターゲット大学と対策できるテーマ
オンライン編入学院が保有する過去問データベースを分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
秋田大学教育文化学部
教育学
頻出テーマ教育改革、放課後、小学校教育、教育論、学校改革、幼児教育
本書の該当ページ放課後(p.145)、小学校教育(p.103)、学校改革(p.71)、学習指導(p.90)
愛媛大学教育学部
教育学
頻出テーマ防災教育、教育実践、持続可能な開発目標、学級経営、特別支援教育、通級による指導
本書の該当ページ学級経営(p.144)、学級づくり(p.147)、防災教育(p.166)
教育学
頻出テーマ教育実践、教育課程、学習指導要領、教育法令、教育制度、日本の教育制度
本書の該当ページ教育課程(p.90)、日本の教育制度(p.66)、教育法令(p.205)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
使い方
まず全体を通読して、教育学という学問領域の地図を頭に描くことが重要です。その後、編入志望先の過去問で頻出の論点(例えば教育課程、学習指導要領、特別支援教育など)に該当する章を重点的に読み直します。 二周目以降は、過去問で出題された概念や用語が本書のどのページに説明されているのかを確認する使い方が効果的です。本書を「辞書的に活用する段階」に移行することで、過去問演習の中で知識が定着していきます。特に第5章の学校制度(p.65)や第8章の教育課程(p.92)は、多くの大学で繰り返し問われる分野であるため、何度も参照することになるでしょう。 本書で基本を確認した後、同じ論点について過去問でどう問われたかを調べることで、編入試験特有の出題角度を学ぶことができます。
編入試験でよく問われる論点から入るなら、次の順で読むのが効率的です。
- p.9 第2章 教育と文化・子ども観・学校・教師・学習・人間形成・国家・社会「成城小学校」がここで扱われています
- p.25 第3章 教育の歴史「サマーヒル・スクール」がここで扱われています
- p.40 第4章 教育思想「ソフィスト」がここで扱われています
- p.65 第5章 学校制度「義務教育学校」がここで扱われています
- p.70 第6章 学校経営と組織マネジメント「カリキュラム・マネジメント」がここで扱われています
- p.89 第7章 教職と教師教育「スクールカウンセラー」がここで扱われています
- p.92 第8章 教育課程「学習指導要領」がここで扱われています
- p.114 第9章 学力と学習「「主体的・対話的で深い学び」」がここで扱われています
注意点
本書の初版発行時期が比較的前であるため、学習指導要領の改訂や教育法令の改正後の情報については、別途確認が必要な場合があります。特に持続可能な開発目標(SDGs)や最新の教育改革については、新聞記事や文部科学省の公式情報で補完することをお勧めします。 また、本書は教育学の「基礎」を扱う参考書であるため、特定の教育思想家や教育制度について深掘りする内容には限界があります。過去問で繰り返し出題されている個別の論点(例えば、特定の哲学者の教育思想など)については、より専門的な参考書で補充する必要が生じる場合もあります。本書は、そうした専門書へのステップアップ前の準備段階と位置付けるとよいでしょう。







