考える力学は編入の力学対策に向くか|式が法則か定義かを区別する本
編入試験の力学で、問題を見て方針が立たない受験生には二つの型があります。公式を覚えていない型と、公式は覚えているのに何を使うべきかを選べない型です。後者の原因は、式の意味を区別しないまま覚えていることにあります。
本書は、そこを正面から扱う講義本です。この記事では、演習書との役割の違いと、編入対策での使いどころを整理します。
この本の位置づけ
まえがきに、執筆の動機が書かれています。ニュートンの運動方程式は単純な微分方程式であるのに、その理解と応用には何段ものステップが必要だと思われている。しかし実際はそうではなく、力学はもっと単純な構造をしている。それを示すことが主な動機だ、というものです。運動方程式に軸足を置いたまま、片足を半歩あるいは一歩だけいろいろな方向に踏み出すことで、物体の運動をさまざまな切り口から見る視界が開ける、という書き方をしています。
編入受験生にとって効くのは、表記の工夫です。重要な式には網掛けがしてあり、さらにその式が法則なのか定義なのかが区別されています。物理の式に現れる等号には種類があり、法則の等号は実験によってしか証明できない、という説明まで置かれています。この区別がついているかどうかで、問題を見たときに何を使うべきかの判断が変わります。
書名についても説明があります。苦労して考えながら読んでほしいという意味ではなく、本書の論理を理解しながら、ふと生じた疑問を基本法則にもとづく自分の思考で解決する意欲と力を養ってほしい、という意味だと書かれています。必要な数学も本書のなかで解説されているので、数学の準備が完璧でなくても読み始められます。
位置づけは講義本です。問題演習の量は別に確保する必要があります。志望校で力学がどの水準で問われるかは、この記事の「ターゲット大学と対策できるテーマ」で確かめてください。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
力学を最初から積み直したい受験生が、対策の前半に置く1冊です。高校物理の力学があいまいなまま大学レベルの問題に取りかかると、微分方程式の扱いと物理の考え方の両方でつまずきます。
編入試験で力学が専門科目に入る大学を志望する場合、この段階を飛ばして演習書から入る受験生が多くいます。短期的には問題が解けますが、少し設定を変えられると対応できません。時間に余裕がある前半のうちに、考え方の側を固めておいてください。
直前期に本書から始めるのは勧めません。読んで理解する本なので、演習に入る時間が残らなくなります。
力学は、公式を当てはめて解ける問題と、立式そのものを問われる問題で必要な準備が違います。志望校の過去問がどちらなのかで、使う教材が変わります。現在の状況とあわせて整理します。
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ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
数学物理生物
頻出テーマ変位、密度分布、等速直線運動、ラグランジアン、単振り子、複素数
本書の該当ページ変位(p.64)、密度分布(p.126)、等速直線運動(p.141)、ラグランジアン(p.295)
物理数学化学
頻出テーマ連続体、複素数、歳差運動、ベクトル積、微分、平面運動
本書の該当ページ連続体(p.126)、複素数(p.85)、歳差運動(p.260)、ベクトル積(p.132)
数学物理
頻出テーマ静止摩擦力、等速円運動、面積分、束縛力、微分、ベクトル積
本書の該当ページ静止摩擦力(p.56)、等速円運動(p.117)、面積分(p.44)、束縛力(p.53)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
この本の使い方
網掛けのある式が出てきたら、それが法則なのか定義なのかを確認してから先へ進んでください。この区別を意識するだけで、問題を解くときに使う式の選び方が変わります。
疑問が生じたら、その場で飛ばさずに考える時間を取ってください。本書はそのために書かれています。ただし、試験までの時間は有限なので、1つの疑問に時間を使いすぎないよう上限を決めておくことをおすすめします。
読んだ章は、演習書で必ず手を動かしてください。講義本を読んだ直後に同じ範囲の問題を解くと、理解の穴がその場で見つかります。
志望校の過去問との対応は、この記事の「本書の該当ページ」で確かめられます。頻出テーマがどのページで扱われているかを見て、読む順番を決めてください。
注意点
演習量は本書だけでは足りません。問題集を必ず併用してください。読んで納得したことと、試験時間内に立式して解き切ることの間には距離があります。
また、丁寧に書かれているぶん分量があります。志望校で力学の比重が小さい場合、通読は時間の使い方として最善ではありません。過去問で出題範囲を確かめ、読む章を絞ってください。
高校物理の力学がまったく入っていない状態では、本書でも重く感じられることがあります。その場合は、もっと軽い入門書を先に1冊挟んでから戻ってきてください。
動画でも解説しています
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※調査方法: 企業担当者へのヒアリング、企業発表情報、デスクリサーチ/調査対象: 大学編入試験対策の予備校・個別指導塾(医学部・看護学部系除く)/調査項目: 2025年度と2026年度の大学編入試験合格者数
オンライン編入学院 公式サイト
オンライン編入学院は、力学の立式から答案の書き方まで指導しています。2027年度入学の合格には神戸大学理学部物理学科が含まれます。年度ごとの一覧は合格者速報にまとめています。
講義本を読み終えたあと、演習に移る時期の判断は独学ではつきにくいところです。現在の到達度をうかがって、次にやることを一緒に決めます。
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