詳解 力学演習は編入に必要か|網羅性の高い演習書の使いどころ
力学の演習書を選ぶとき、問題数の多さで選ぶと失敗します。編入試験で必要なのは、志望校が出す水準の問題を確実に解き切る力であって、あらゆる問題を解けることではないからです。
本書は、基礎から高度まで多数の問題を集めた網羅的な演習書です。この記事では、編入受験生にとって必要な部分だけをどう取り出すかを整理します。
この本の位置づけ
まえがきに、本書の対象と方針が書かれています。大学の理工科系諸学科の学生用参考書としてまとめられたもので、力学は精密科学を学ぶための最も基礎的な学科であり、修得には十分な問題練習が望まれる、という立場です。力学で扱う現象は物理学のなかでも単純で直観的なので、そこで現象のとらえ方を身につけることが、のちに複雑な概念を理解するうえでも役立つ、という考え方が示されています。
収録は、基礎的なものから高度なものまで、理科的なものから工科的なものまでと幅広く、問題練習だけでなく補習教材にもなることを目標にしています。各大学で使われている教科書を検討したうえで作られている点も明記されています。
問題の配列に特徴があります。関連する数題をまとめ、そのうちの1つに角括弧、残りに波括弧で番号が振られています。ここで注意が必要なのは、波括弧の問題が角括弧の単なる応用とは限らず、かえって基本的なものさえある、と本書自身が断っていることです。番号の形だけで飛ばすと、基本問題を落とします。
編入対策での位置づけは、演習量を厚く積む段階の教材です。網羅性が高いぶん、志望校の水準を超える問題も含まれます。全問を解く本ではありません。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
力学の講義本や教科書を1冊終え、基本問題が解ける状態になってから入る本です。理解が固まっていない段階で網羅的な演習書に入ると、解けない問題が並び、手が止まります。
編入試験の準備全体では、専門科目の演習を厚くする時期にあたります。数学の主要単元が一巡し、専門科目の教科書を読み終えたあとが目安です。
直前期に新しく買うのは勧めません。分量が多く、1周する時間が残らないためです。直前期は志望校の過去問と、すでに解いた問題の復習に寄せてください。
演習書は、厚いものを選べば力がつくわけではありません。志望校の出題水準に対して問題の難度が合っているかが重要です。志望校と現在の状況をうかがったうえで、解く範囲を絞ります。
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ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
物理
頻出テーマ微小振動、単位質量、剛体運動、線密度、荷電粒子の運動、剛体の力学
本書の該当ページ微小振動(p.309)、単位質量(p.43)、剛体運動(p.197)、線密度(p.158)
物理
頻出テーマ微小振動、楕円体、糸の張力、荷電粒子の運動、歳差運動、つりあい
本書の該当ページ微小振動(p.309)、楕円体(p.191)、糸の張力(p.211)、荷電粒子の運動(p.127)
東京農工大学工学部
数学
頻出テーマ微小振動、回転中心、剛体の力学、摩擦係数、質量中心、回転角
本書の該当ページ微小振動(p.309)、回転中心(p.200)、剛体の力学(p.146)、摩擦係数(p.211)
数学物理
頻出テーマ微小振動、質点の力学、平面運動、回転軸、中心力、相対運動
本書の該当ページ微小振動(p.309)、質点の力学(p.64)、平面運動(p.247)、回転軸(p.275)
物理数学
頻出テーマ到達距離、糸の張力、荷電粒子の運動、つりあい、楕円軌道、最高点
本書の該当ページ到達距離(p.38)、糸の張力(p.211)、荷電粒子の運動(p.127)、つりあい(p.210)
物理数学
頻出テーマ微小振動、力のベクトル、束縛力、回転軸、速度ベクトル、質点系
本書の該当ページ微小振動(p.309)、力のベクトル(p.205)、束縛力(p.85)、回転軸(p.275)
物理英語
頻出テーマ糸の張力、剛体の力学、回転軸、回転角、エネルギー保存、垂直抗力
本書の該当ページ糸の張力(p.211)、剛体の力学(p.146)、回転軸(p.275)、回転角(p.237)
大阪公立大学工学部
物理
頻出テーマ重心位置、微小振動、単位時間、仮想仕事の原理、回転軸、剛体の運動
本書の該当ページ重心位置(p.183)、微小振動(p.309)、単位時間(p.153)、仮想仕事の原理(p.215)
数学物理
頻出テーマ微小振動、回転中心、剛体の力学、速度ベクトル、単位ベクトル、エネルギー保存
本書の該当ページ微小振動(p.309)、回転中心(p.200)、剛体の力学(p.146)、速度ベクトル(p.200)
長岡技術科学大学工学部
物理
頻出テーマ平衡位置、微小振動、エネルギー保存、垂直抗力、おもり、慣性モーメント
本書の該当ページ平衡位置(p.216)、微小振動(p.309)、エネルギー保存(p.263)、垂直抗力(p.261)
お茶の水女子大学理学部
数学
頻出テーマ平衡位置、中心力、エネルギー保存、垂直抗力、安定性、慣性モーメント
本書の該当ページ平衡位置(p.216)、中心力(p.63)、エネルギー保存(p.263)、垂直抗力(p.261)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
この本の使い方
全問を解こうとしないでください。志望校の過去問で問われている項目に対応する問題から取りかかります。この記事の「ターゲット大学と対策できるテーマ」で、志望校の頻出テーマと本書の対応を確かめられます。
角括弧の問題を解いたら、同じまとまりの波括弧の問題にも目を通してください。応用とは限らず、基本的な確認になっている問題が混ざっています。番号の形で判断せず、中身を見てから解くかどうかを決めてください。
解けなかった問題は、知識が足りなかったのか、方針を選べなかったのか、計算で落ちたのかを分けて記録してください。原因ごとに戻る場所が違います。知識なら教科書、方針なら例題、計算なら数学の該当単元です。
仕上げは志望校の過去問です。本書は大学の講義に沿った演習書なので、編入試験特有の出題形式には別に慣れる必要があります。
注意点
水準の幅が広いので、志望校に対して過剰になりやすい本です。難問が解けないこと自体は問題ではありません。かけた時間に対して得点が伸びているかで判断してください。
また、解説は詳しいものの、理論を最初から積み上げる本ではありません。教科書や講義本を別に持っておいてください。
刊行から時間が経っている定番書です。内容は古びませんが、書店の在庫は限られる場合があります。同じ役割の演習書は複数あるので、入手できないときは代替で構いません。大事なのは、志望校の水準に合った問題を必要な量だけ解くことです。
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※調査対象期間 2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ
※調査方法: 企業担当者へのヒアリング、企業発表情報、デスクリサーチ/調査対象: 大学編入試験対策の予備校・個別指導塾(医学部・看護学部系除く)/調査項目: 2025年度と2026年度の大学編入試験合格者数
オンライン編入学院 公式サイト
オンライン編入学院は、演習書の水準の選び方から、過去問へ移る時期まで指導しています。合格状況は年度ごとに合格者速報で公開しています。2027年度入学では信州大学理学部物理学コースにも合格者が出ています。
演習をどこまでやったら過去問に移るかは、残り時間と併願校の数で変わります。現在の状況をうかがって、切り替えの時期を一緒に決めます。
ボタンを押すとオンライン編入学院の公式LINEが開きます。相談は無料で、志望校がまだ固まっていない段階でも大丈夫です。








