複素関数 編入対策の一冊目に|なぜ学ぶのかから入る構成の使い方
複素関数は、編入数学のなかでも独学で止まりやすい単元です。実数の世界で考えていた微分や積分が、いきなり複素平面の上に移り、何のためにその計算をしているのかが見えなくなるためです。
本書は、その「なぜ学ぶのか」から始まる構成をとっています。この記事では、編入対策で本書をどう使うか、そしてそもそも志望校で複素関数が出るのかの確かめ方を整理します。
この本の位置づけ
本書の特徴は、第0章にあります。プロローグとして、複素関数は工学などでどのように活用されるのか、なぜ複素関数を学習するのか、なぜ複素積分を経由すると実積分が簡単になるのか、学習の流れはどうなっているのか、という4つの問いに答えてから本編に入ります。
この構成は、独学で挫折しやすい単元では効きます。多くの教科書は複素数の定義から淡々と始まりますが、初学者が知りたいのは「これは何の役に立つのか」です。そこを最初に説明しているぶん、本編を読む動機が保ちやすくなります。
本編は、複素数(四則演算、共役、複素平面と極形式、ド・モアブルの定理、オイラーの公式)から始まり、複素関数(初等的な複素関数、多価関数の注意、微分方程式の解法への応用)、正則性とコーシー・リーマン方程式、調和関数、複素積分とコーシーの積分定理、コーシーの積分表示とグルサの公式へと進みます。各章の末尾に演習問題が置かれています。
編入対策での位置づけは、複素関数の1冊目です。工学系の編入で複素関数が出る大学は限られますが、出る大学では留数定理を使った実積分の計算まで問われることがあります。志望校の出題範囲は、この記事の「ターゲット大学と対策できるテーマ」で確かめてください。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
微分積分をひと通り終えたあとに入る単元です。実数の範囲での積分計算が不安な状態で複素積分に進むと、複素の話なのか計算の話なのかが切り分けられず、時間だけが過ぎます。
編入数学の優先順位で言えば、複素関数は微分積分と線形代数のあとです。この2つが仕上がっていない段階で複素関数に手を出すのは、配点の面から見て得策ではありません。
そして最も重要なのは、志望校で出るかどうかです。出題範囲に複素関数を含む大学は限られます。募集要項と過去問で確かめ、必要だと分かってから取りかかってください。必要ない受験生にとっては、この1冊にかける時間がそのまま他科目の損失になります。
複素関数は、志望校によって出る大学と出ない大学がはっきり分かれます。範囲外の単元に時間を使ってしまう前に、志望校の出題範囲を確かめてください。現在の進み具合とあわせて整理します。
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ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
英語数学
頻出テーマコーシー・リーマン方程式、実積分、平方根、コーシーの積分定理、積分経路、単位円
本書の該当ページコーシー・リーマン方程式(p.51)、実積分(p.2)、平方根(p.28)、コーシーの積分定理(p.73)
電気通信大学情報理工学域
数学
頻出テーマ実積分、コーシーの積分定理、特異点、マクローリン展開
本書の該当ページ実積分(p.2)、コーシーの積分定理(p.73)、特異点(p.114)、マクローリン展開(p.109)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
この本の使い方
第0章のプロローグを飛ばさないでください。ここを読んでから本編に入るかどうかで、途中で止まる確率が変わります。とくに、なぜ複素積分を経由すると実積分が簡単になるのかという説明は、この単元の学習目標そのものです。
本編は章ごとに演習問題があるので、章を読んだらその日のうちに解いてください。複素関数は、読んだ内容と手を動かす内容の距離が近い単元です。間を空けると定義の記憶が薄れ、問題文の意味が取れなくなります。
コーシー・リーマン方程式と正則性は、以降のすべての土台になります。ここだけは、定義を見ずに説明できる状態まで持っていってください。
仕上げは志望校の過去問です。複素関数の出題は、留数定理を使った実積分の計算のように型が決まっていることが多く、過去問を数年分見れば必要な範囲が絞れます。この記事の「本書の該当ページ」から、その範囲に該当する章へ逆引きしてください。
注意点
章末の演習問題はありますが、演習量としては多くありません。志望校で計算問題として出る場合は、演習書を別に用意してください。
また、工学系の学生を対象にした本なので、数学として厳密に積み上げる構成ではありません。証明の細部まで問われる大学を志望する場合は、数学向けの教科書を併用してください。
最後にもう一度、志望校の出題範囲を先に確かめてください。複素関数は、必要な受験生には必須で、必要のない受験生には完全に不要な単元です。この見きわめが、限られた準備時間の使い方を大きく左右します。
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複素関数を通したあと、演習を足すのか、他の単元へ移るのかは配点で決まります。現在の状況をうかがって、数学全体の進め方を一緒に整理します。
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