行列式 徹底演習で線形代数の計算を固める|入門書との役割の違い
編入試験の数学で線形代数が出る大学は多く、しかも出題の中心は決まっています。行列の基本変形、行列式の計算、連立一次方程式、固有値と固有ベクトルのあたりです。理屈は分かっているのに時間内に解き切れない、という受験生に足りていないのは、たいてい理解ではなく計算量です。
本書は、その計算量を確保するための演習書です。この記事では、理論の入門書との役割の違いと、編入試験の出題範囲との重なり方を整理します。
この本の位置づけ
本書は、ベクトル・行列・行列式という線形代数の中核部分に絞って問題を集めた演習書です。理論を体系的に解説する教科書ではなく、手を動かす分量を確保するための本だと考えてください。
線形代数の参考書は、大きく二つに分かれます。定義と定理を順に積み上げて理解させる本と、計算の型を反復させる本です。編入試験の答案では両方が要りますが、独学の受験生がつまずくのは後者であることが多くあります。行列式の展開、掃き出し法、逆行列の算出は、どれも手順が決まっているぶん、練習量がそのまま速度と正確さに反映されます。
本書の位置づけは、理論の入門書を1冊読んだあとの計算練習です。逆に、定義の段階で止まっている人が本書から入ると、問題は解けても何をしているかが分からないまま進むことになります。その場合は入門書を先に置いてください。
編入試験との重なりについては、この記事の「ターゲット大学と対策できるテーマ」を確かめてください。志望校の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものを挙げています。
いつどのタイミングの編入受験生におすすめか
線形代数の講義や参考書をひと通り終えた直後が入りどきです。定義と定理を追った直後は、手順の記憶が新しいうちに反復すると定着が速くなります。
早すぎる導入の弊害は、計算はできるが意味が分からない状態で固定されることです。試験で少し形を変えて問われたときに対応できません。遅すぎる場合は、単純に演習量が足りないまま本番を迎えます。編入試験の数学は、試験時間に対して計算量が多いことが珍しくないので、速度をつくる時間はあらかじめ確保しておいてください。
専門科目との配分も考えてください。線形代数は多くの大学で出題範囲に入る一方、専門科目ほど差がつきにくい科目でもあります。合格点に届く速度がついた時点で、残りの時間は専門と英語へ回すのが現実的です。
線形代数は、理解しているつもりでも計算の速さと正確さで差がつく科目です。いまの到達度が「解ける」なのか「時間内に解ける」なのかで、次にやることが変わります。志望校の出題と現在の状況をうかがったうえで、演習量の目安を整理します。
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ターゲット大学と対策できるテーマ
過去問の出題傾向を分析し、本書の内容が実際の出題範囲と重なる大学・学部を抽出しました。「頻出テーマ」はその学部の過去問で繰り返し問われている論点のうち、本書で扱っているものです。
数学生物
頻出テーマ行列のべき、対角化の応用、2次曲線、因数分解、行列の対角化、連立方程式
本書の該当ページ行列のべき(p.109)、対角化の応用(p.109)、2次曲線(p.114)、因数分解(p.39)
数学物理
頻出テーマ行列のべき、単位行列、因数分解、行列の対角化、なす角、ベクトル空間
本書の該当ページ行列のべき(p.109)、単位行列(p.56)、因数分解(p.39)、行列の対角化(p.101)
数学物理
頻出テーマ対角化の応用、単位行列、行列の対角化、連立方程式、ベクトル空間、最小値
本書の該当ページ対角化の応用(p.109)、単位行列(p.56)、行列の対角化(p.101)、連立方程式(p.42)
数学
頻出テーマ単位行列、因数分解、行列の対角化、連立方程式、方程式の解、逆行列
本書の該当ページ単位行列(p.56)、因数分解(p.39)、行列の対角化(p.101)、連立方程式(p.42)
秋田大学理工学部
数学
頻出テーマ対角化の応用、行列のべき、因数分解、行列の対角化、逆行列
本書の該当ページ対角化の応用(p.109)、行列のべき(p.109)、因数分解(p.39)、行列の対角化(p.101)
お茶の水女子大学理学部
数学
頻出テーマ行列の対角化、連立方程式、ベクトル空間、最小値、逆行列
本書の該当ページ行列の対角化(p.101)、連立方程式(p.42)、ベクトル空間(p.130)、最小値(p.190)
大阪公立大学工学部
物理情報
頻出テーマ方程式の解法、連立方程式、方程式の解、ベクトル空間
本書の該当ページ方程式の解法(p.45)、連立方程式(p.42)、方程式の解(p.45)、ベクトル空間(p.130)
信州大学理学部
数学
頻出テーマ行列の対角化、連立方程式、2次形式、ベクトル空間
本書の該当ページ行列の対角化(p.101)、連立方程式(p.42)、2次形式(p.115)、ベクトル空間(p.130)
※志望校の最新の募集要項と過去問は必ずご自身でご確認ください。
この本の使い方
章ごとに、まず例題で手順を確認し、そのあと同じ型の問題を続けて解いてください。1問ごとに解答を見る解き方だと、手順が記憶に残りません。
計算ミスの記録を残すことをおすすめします。符号を落とした、行の入れ替えで符号を反転し忘れた、余因子展開で列を間違えた、というように、自分がどこで落とすかは決まっています。ミスの型が3つか4つに絞れたら、その型だけを狙って復習すると短時間で精度が上がります。
過去問との往復も有効です。志望校の過去問で線形代数の問題を解き、時間内に終わらなかった問題があれば、その処理に必要な計算だけを本書で追加練習します。本記事の「本書の該当ページ」に、頻出テーマがどのページで扱われているかを載せていますので、そこから逆引きしてください。
仕上げの段階では、時間を計って解いてください。線形代数は、解法を選ぶ時間より計算そのものにかかる時間のほうが長い分野です。時間感覚をつけずに本番へ行くと、解けるはずの問題を落とします。
注意点
本書は理論の解説書ではありません。証明や定理の意味を確かめたい場合は、入門書や講義本を別に用意してください。計算だけを反復しても、記述式で説明を求められる大学では書けません。
また、線形代数の全範囲を扱う本ではないので、志望校の出題範囲に固有値・固有ベクトルや対角化、二次形式が含まれる場合は、その部分を別の教材で補う必要があります。過去問で出題範囲を先に確かめてから使ってください。
最後に、刊行から時間が経っている本です。線形代数の内容そのものは変わりませんが、書店で手に入りにくい場合があります。同種の演習量を確保できる本は他にもあるので、入手できないときは無理に探さず、代替の演習書で計算量を積んでください。
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※調査方法: 企業担当者へのヒアリング、企業発表情報、デスクリサーチ/調査対象: 大学編入試験対策の予備校・個別指導塾(医学部・看護学部系除く)/調査項目: 2025年度と2026年度の大学編入試験合格者数
オンライン編入学院 公式サイト
オンライン編入学院は、計算の速度づくりから、答案に書く手順まで指導しています。合格状況は年度ごとに合格者速報で公開しています。2027年度入学では広島大学工学部にも合格者が出ています。
計算が固まったあと、どの時点で編入試験の過去問に移るかは、残り時間と併願校の数で変わります。現在の状況をうかがって、次に開く1冊と過去問に入る時期を一緒に決めます。
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