東京都立大学システムデザイン学部の編入試験対策|倍率・科目・出願要件
東京都立大学システムデザイン学部の編入試験は、出願できるのが短期大学と高等専門学校の卒業(見込み)者に限られる点が最大の前提条件です。4年制大学の在学生を対象とする出願資格の区分は設けられていません。試験は3年次編入で、学科によって数学のみ、または数学と物理が課され、英語は当日の筆記ではなくTOEICまたはTOEFLのスコア提出で判定されます。大学は「教育情報の公表」のページで学科別の志願者数・受験者数・合格者数を公表しており、最新の公表年度では学部全体で約3.0倍、学科別には約1.8倍から約6.5倍まで開きがありました。この記事では、2027年度募集要項の原文にもとづいて、学科別の募集人員・選考の流れ・出題範囲・スコア提出の細かな条件・出願の実務までを整理します。
出願資格は大学ごとに条件が細かく分かれます。短大・高専・専門学校・大学在学中で扱いが変わり、英語資格が要る大学もあります。自分が出願できるかどうかは、条件を1つずつ突き合わせないと分かりません。
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試験概要(2027年度募集要項)
2027年度
| 選抜区分 | 一般編入/推薦編入(東京都立産業技術高等専門学校からの推薦者)の2区分 |
|---|---|
| 編入学年次 | 3年次(修業年数2年。単位認定の状況により2年を超える場合あり、4年を超える在学は不可) |
| 出願資格(一般編入) | 短期大学または高等専門学校の卒業者・2027年3月までの卒業見込者。学科ごとに「理工学系課程」「工学系課程」「工学系又は芸術系課程」と指定あり |
| 学力試験 | 情報科学科=数学/電気電子工学科・機械システム工学科・航空宇宙システム工学科=数学・物理/インダストリアルアート学科=数学(第2次選考)。英語は当日の筆記なし、外部検定のスコア提出で判定 |
| 面接 | 全学科で実施(推薦編入は面接のみ) |
| 試験会場 | 東京都立大学 日野キャンパス(東京都日野市旭が丘6-6) |
| 入学考査料 | 17,000円(Web事前申込のうえコンビニ・ATM・ネットバンキング・クレジットカード等で納付) |
| 出願方法 | 郵送のみ(簡易書留+速達)。持参・宅配便・バイク便は不可 |
この表は2027年度システムデザイン学部編入学学生募集要項にもとづきます(更新日: 2026-09-06)。日程・科目・資格は毎年変わる可能性があるため、出願前に必ず大学が公表する最新の募集要項を確認してください。
科目と日程が分かっても、いまの学習量で間に合うか、何を先にやるかは人によって変わります。併願先との重なりも、組み合わせ次第で負担が大きく変わります。
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まず確認すべき3つの前提
1. 出願できるのは短大生・高専生だけ
2027年度募集要項の出願資格は、学科ごとに書き分けられていますが、いずれも「短期大学の◯◯系課程を卒業した者又は2027年3月までに卒業見込の者」「高等専門学校の◯◯系課程を卒業した者又は2027年3月までに卒業見込の者」の2区分だけで構成されています。4年制大学に2年以上在学し所定の単位を修得した者、といった区分は設けられていません。編入試験には「大学の2年次修了で受験できる」タイプと「短大・高専の卒業が前提」のタイプがあり、この学部は後者にあたります。ここを取り違えると準備そのものが無駄になるため、最初に確認すべき点です。
学科ごとの課程指定は次のとおりでした。情報科学科は「理工学系課程」、電気電子工学科と機械システム工学科は「工学系課程」、航空宇宙システム工学科は「工学系課程」に加えて履修科目の条件(後述)、インダストリアルアート学科は「工学系又は芸術系課程」です。共通事項には「募集学科と出身学科との対応」という目安の表も置かれており、情報科学科=情報系学科、電気電子工学科=電気・電子・情報系学科、機械システム工学科=機械系学科、航空宇宙システム工学科=航空・機械系学科、インダストリアルアート学科=建築・情報・デザイン・アート系学科と示されています。ただし要項自身が「上記表は出願の目安です。出願資格を満たしていれば、上記表と合致していなくても出願は可能です」と注記しており、対応表は絶対条件ではありません。
2. 航空宇宙システム工学科には単位の条件がある
航空宇宙システム工学科だけは、出身課程の条件に加えて「出願時までに、材料力学、熱力学及び流体力学に関する科目を各1単位以上修得している者」という条件が付きます。出願時点で未修得でも、卒業までに修得できる見込みであれば出身学校長による「修得見込み証明書(様式自由)」を提出することで出願できます。この条件は在学中の履修計画に直結するため、志望が固まっているなら早い段階でシラバスを確認し、該当科目を落とさないように組んでおく必要があります。推薦編入で航空宇宙システム工学科に出願する場合も同じ条件が課されます。
3. 学科の併願はできない
募集学科の表には「出願できる学科は、1学科のみです。併願はできません」と明記されています。機械システム工学科についても「出願できるコースは1コースのみです。併願はできません」とあり、知能機械コースと生体機械コースのどちらかを出願時点で選ぶことになります。試験日も全学科で同一日のため、学部内で受験機会を増やすことはできません。したがって、学科選びは「合格しやすそうな学科を選ぶ」ではなく「入学後にやりたいことと出願資格の両方が合う学科を1つに絞る」という判断になります。
学科別の募集人員と学科名の変更
| 募集学科 | 2027年度(一般編入) | 2026年度(一般編入) |
|---|---|---|
| 情報科学科 | 2名 | 若干名 |
| 電気電子工学科 (2026年度は電子情報システム工学科) | 2名 | 4名 |
| 機械システム工学科 知能機械コース | 2名 | 2名 |
| 機械システム工学科 生体機械コース | 2名 | 2名 |
| 航空宇宙システム工学科 | 若干名 | 若干名 |
| インダストリアルアート学科 | 若干名 | 若干名 |
推薦編入の募集人員は、2027年度は「各学科・コースとも若干名」で、インダストリアルアート学科は推薦編入の対象外です。
注意したいのは、2026年度まで「電子情報システム工学科」だった募集学科が、2027年度の要項では「電気電子工学科」に変わっている点です。システムデザイン学部のホームページでは、電気電子工学科に「2025年度以降の入学者向け」、電子情報システム工学科に「2024年度以前の入学者向け」という注記が付されており、両方の学科ページが並んでいます。3年次編入は在学生と同じ学年に合流する制度なので、2027年4月に3年次へ編入する人は2025年度入学の学年、すなわち電気電子工学科の学生と同じ課程に入ることになります。学科名が変わっている以上、カリキュラムや研究室構成も旧学科の情報のままでは確認できません。志望理由書や面接の準備では、必ず現行の学科ページで教育内容を確かめてください。
あわせて、募集人員が学科ごとに動いている点も見ておく価値があります。電気電子(旧・電子情報システム)工学科は2026年度の4名から2027年度は2名に減り、逆に情報科学科は「若干名」から2名という数字が明示されました。募集人員は年度ごとに見直されるため、前年度の数字を前提に計画を立てないことが大切です。
大学が公表している編入学試験の実施状況
東京都立大学は「教育情報の公表」のページで、編入学試験と学士入学試験の実施状況を学部・学科別に公開しています。列は募集人員・志願者・受験者・合格者・入学手続者で、システムデザイン学部の行はコース単位まで分かれています。ページ上で最新の公表は2024年度です。ここでの年度は入学年度で、2024年度は2024年4月入学、つまり2023年夏に実施された試験の結果を指します。
| 学科・コース | 年度 | 募集人員 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 入学手続者 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 情報科学科 | 2024 | 若干名 | 30 | 24 | 6 | 3 | 4.0倍 |
| 情報科学科 | 2022 | 若干名 | 32 | 27 | 7 | 3 | 3.9倍 |
| 電子情報システム工学科 | 2024 | 4 | 28 | 26 | 12 | 9 | 2.2倍 |
| 電子情報システム工学科 | 2022 | 4 | 15 | 14 | 7 | 4 | 2.0倍 |
| 機械システム工学科 知能機械コース | 2024 | 2 | 12 | 10 | 4 | 2 | 2.5倍 |
| 機械システム工学科 知能機械コース | 2022 | 2 | 12 | 9 | 4 | 2 | 2.3倍 |
| 機械システム工学科 生体機械コース | 2024 | 2 | 11 | 7 | 3 | 2 | 2.3倍 |
| 機械システム工学科 生体機械コース | 2022 | 2 | 9 | 6 | 3 | 2 | 2.0倍 |
| 航空宇宙システム工学科 | 2024 | 若干名 | 11 | 7 | 4 | 4 | 1.8倍 |
| 航空宇宙システム工学科 | 2022 | 若干名 | 17 | 16 | 5 | 4 | 3.2倍 |
| インダストリアルアート学科 | 2024 | 若干名 | 27 | 26 | 4 | 2 | 6.5倍 |
| インダストリアルアート学科 | 2022 | 若干名 | 3 | 2 | 1 | 1 | 2.0倍 |
| 学部計 | 2024 | ― | 119 | 100 | 33 | 22 | 3.0倍 |
| 学部計 | 2022 | ― | 88 | 74 | 27 | 16 | 2.7倍 |
出典: 東京都立大学「教育情報の公表」編入・学士入学試験状況(2024年度版および2022年度版)。倍率は受験者数÷合格者数で計算し、小数第2位を四捨五入しています。学科名は当時の表記のままです。数字には東京都立産業技術高等専門学校からの推薦編入の志願者が内数として含まれており、内数は2024年度が志願者119名のうち11名、2022年度が志願者88名のうち12名です。一般編入と推薦編入を分けた数値は公表されていません。2023年度の公表分は現在参照できないため、確認できた2年度分を掲載しています。
2024年度の学科別の倍率
この数字から読み取れることは3つあります。
第一に、学科によって倍率の水準がまったく違います。2024年度は航空宇宙システム工学科の1.8倍からインダストリアルアート学科の6.5倍まで、3倍以上の開きがありました。学部全体の3.0倍という数字を自分の志望学科に当てはめても意味がありません。ただし各学科の受験者は10名前後から26名程度と少数で、1〜2名の増減で倍率は簡単に動きます。年度による振れが大きい前提で見てください。実際、航空宇宙システム工学科は2022年度が3.2倍、2024年度が1.8倍と大きく変動しています。
第二に、合格者数は募集人員を上回ることがあります。2024年度の電子情報システム工学科は募集人員4名に対して合格者12名、入学手続者9名でした。合格者と入学手続者の差は、他大学に進学するなどして入学しなかった人の数を示します。募集人員の数字だけを見て「4名しか受からない」と考えるのは実態と合いません。逆に、募集人員が「若干名」の学科でも、2024年度は情報科学科で6名、インダストリアルアート学科で4名の合格者が出ています。
第三に、志願者と受験者に差があります。2024年度は志願119名に対して受験100名で、19名は出願したものの受験していません。編入試験は複数校の日程が重なることも多く、出願はしたが他校を優先した、というケースが含まれると考えられます。倍率を見るときは、志願者数ではなく受験者数を分母にするほうが実態に近くなります。
インダストリアルアート学科は後述のとおり書類による第1次選考と学力試験・面接による第2次選考の2段階です。公表資料の「受験者」がどの段階の人数を指すかは資料からは判別できないため、他学科と同じ基準の数字として比べる際は幅を持たせて読んでください。
選考の流れ(一般編入と推薦編入)
一般編入(情報・電気電子・機械・航空宇宙)
要項の選考方法には「調査書、成績証明書、学力試験及び面接の結果を総合判断して合格者を決定します」と書かれています。学力試験の得点だけで決まるのではなく、出身校が作成する調査書と成績証明書も判断材料に含まれます。調査書には「学年順位は記載可能な範囲で記載すること」という指示があり、在学中の成績が評価対象になることが分かります。編入対策というと当日の試験科目に意識が向きがちですが、在学校の日々の成績も選考に関わる、という構造です。
2027年度の時間割は次のとおりでした。情報科学科は数学が11:00〜12:00、面接が13:30(予定)〜。電気電子工学科・機械システム工学科・航空宇宙システム工学科は数学が11:00〜12:00、物理が13:00〜14:00、面接が14:30(予定)〜です。数学の時間帯は全学科で共通に設定されています。試験予備日として翌7月5日(日)が設定され、不測の事態で試験が実施できない場合はこの日に実施される旨も明記されていました。
インダストリアルアート学科の2段階選考
インダストリアルアート学科だけは選考の構造が違います。第1次選考は「調査書、成績証明書及び外部英語検定試験のスコアによる書類選考」で、2027年度要項ではここに「合格者数は、約15名とします」という上限が明示されました。2026年度要項には第1次選考の合格者数の記載がなく、これは2027年度から加わった条件です。第2次選考は第1次選考の合格者に対する学力試験(数学)と面接で、試験日当日に受験できるのは第1次選考を通過した人だけです。
第1次選考の合格発表は2026年6月19日(金)午前10時で、学部ホームページに試験日まで掲載されました。出願を受理された全員に受験番号通知が送られ、第1次選考の合格者には受験票が、不合格者には入学考査料の一部(13,000円)の返還に関する案内が送付されます。つまりインダストリアルアート学科は、英語のスコアと在学校の成績で先に絞られる試験です。数学の対策と同じ比重で、出願時点のスコアと成績を仕上げておく必要があります。
推薦編入(都立産業技術高専からの推薦)
推薦編入は東京都立産業技術高等専門学校の卒業見込者で、校長が責任を持って推薦する者だけが対象です。選考方法は「推薦書、成績証明書及び面接の結果を総合判断」で、学力試験は課されません。試験日は一般編入と同じ2026年7月4日(土)で、面接のみが実施されました(開始時間は後日通知)。対象学科は情報科学科・電気電子工学科・機械システム工学科(知能機械/生体機械の両コース)・航空宇宙システム工学科で、インダストリアルアート学科は含まれません。航空宇宙システム工学科を志望する場合は、一般編入と同じく材料力学・熱力学・流体力学の単位条件が課されます。
先に見たとおり、公表されている実施状況の数字には推薦編入が内数として含まれています。2024年度は志願者119名のうち11名、2022年度は88名のうち12名が推薦編入で、学科別に見ると各学科の募集人員に近い規模の推薦志願者がいます。一般編入の受験者にとっては、公表倍率がこの推薦分を含んだ数字である点を頭に入れておくとよいでしょう。
試験科目の中身と対策の組み立て方
数学(全学科共通)
募集要項には出題範囲が明記されています。数学は線形代数、確率、ベクトル解析、微分積分、微分方程式の5分野です。範囲が要項で言い切られているのは受験生にとって大きな利点で、この5分野の外側に手を広げる必要はありません。
オンライン編入学院の過去問分析でも、この5分野が大問単位で対応する構成が確認できます。著作権の観点から、過去問の設問そのものは記載していませんが、分野の対応関係は次のように整理できます。
| 要項の出題範囲 | 過去問で問われている内容の系統 |
|---|---|
| 線形代数 | 行列式の計算、逆行列(余因子行列・掃き出し法)、固有値・固有ベクトルと対角化可能性の判定 |
| 確率 | 確率密度関数の規格化、期待値・分散・累積分布関数、条件付き確率とベイズの定理、共分散 |
| ベクトル解析 | ベクトルの平行条件、外積と垂直ベクトル、スカラー三重積と平行六面体の体積、グリーンの定理・ストークスの定理 |
| 微分積分 | 置換積分・部分分数分解を用いた不定積分、絶対値を含む定積分、回転体の体積、極値・最小値問題 |
| 微分方程式 | 1階・2階線形微分方程式の一般解、初期条件・境界条件からの特殊解、多項式解の存在と一意性 |
ここから導かれる学習方針は明確です。5分野をまんべんなく仕上げる必要があり、苦手分野を捨てる戦略が取りにくい試験だということです。1分野が丸ごと1つの大問になる構成では、確率が苦手というだけで得点源を1つ失います。とくに、大学初年次の微分積分・線形代数で止まっている人は、ベクトル解析(グリーンの定理・ストークスの定理まで)と確率統計に手が回っていないことが多いので、早めに範囲の穴を確認してください。
問われ方は、証明よりも計算を最後まで正確に実行させるタイプが中心です。試験時間は60分で、この分量を解き切るには手順を覚えているだけでは足りず、計算のスピードと正確さが要ります。標準的な演習書を1冊決めて、分野ごとに手を動かして解く回数を確保するのが基本です。仕上げの段階では、必ず時間を計って通しで解き、60分の配分感覚を作っておきましょう。
物理(電気電子・機械・航空宇宙)
物理の出題範囲は要項に力学、電磁気と明記されています。試験時間は13:00〜14:00の60分です。過去問で問われている内容の系統は次のとおりです。
| 分野 | 過去問で問われている内容の系統 |
|---|---|
| 力学 | 斜面上の運動(等加速度運動・到達距離・所要時間)、静止摩擦と動摩擦、力の図示、エネルギー保存、運動量保存と反発係数を用いた衝突、繰り返し衝突の極限 |
| 電磁気 | 点電荷と電位、ガウスの法則による電界、同心導体球・導体球殻の電界と電位、コンデンサの電気容量、接地された導体、双極子の遠方近似、アンペールの法則による円柱導体内外の磁界、電磁誘導による起電力 |
力学は斜面と摩擦、衝突という高専・短大の基礎科目で扱う題材が中心で、目新しい設定はあまり見られません。ただし、1つの大問が(a)から(f)程度まで小問で連なる形式が多く、途中で1問つまずくと後半が崩れます。誘導に乗って最後まで運ぶ練習を意識してください。力の図示を求める設問も見られるので、式だけでなく図で説明する訓練もしておくと安全です。
電磁気は、静電界の基本(ガウスの法則・電位)を球対称の系で使いこなせるかが軸になります。導体球と導体球殻の組み合わせ、接地の扱い、電気容量の導出は繰り返し現れる系統です。磁界側はアンペールの法則による円柱導体の内外の磁界、電磁誘導の起電力が扱われています。公式を覚えるだけでなく、対称性から適切なガウス面・アンペール周回路を選ぶ手順を自分の言葉で説明できる状態を目指すと、初見の設定にも対応しやすくなります。
英語(TOEIC・TOEFLのスコア提出)
英語は当日の筆記試験がなく、出願書類として提出する外部英語検定試験のスコアで学力を判定します。要項に「試験当日、英語の学力試験は実施しません」と明記されています。ただしこれは英語が軽い、という意味ではありません。スコアは出願の必須書類であり、提出できなければ出願そのものが成立しません。とくにインダストリアルアート学科では、第1次選考の判断材料そのものになります。
対象となる試験の指定はかなり細かいので、要項の条件をそのまま確認してください。2027年度の条件は次のとおりでした。
| 項目 | TOEIC | TOEFL |
|---|---|---|
| 対象の試験 | Listening & Reading Test のみ | iBT のみ |
| 認められない試験 | Speaking & Writing Tests、Speaking Test、Bridge Test、団体受験のIPテスト | iBT Home Edition、PBT、改訂版ペーパー版テスト、団体受験のITP |
| 有効期限 | 試験日(2026年7月4日)から過去2年以内に受験したもの | |
| 提出物 | 公式認定証の原本+コピー1部、またはデジタル公式認定証を印刷したもの1部(どちらか一方) | 受験日により方法が異なる(下記参照) |
TOEFLは提出方法が受験時期で分かれていました。2026年1月21日以降に受験した場合は、実施機関から大学へのスコア直送(My TOEFL Home で大学コードを選択して手配)と、印刷したTest Taker Score Reportsの提出の両方が必要です。要項には「実施機関から本学へスコアが届くまで、7〜8週間ほどかかることがあります」という注意も添えられており、出願締切から逆算して手配しないと間に合いません。2026年1月20日以前に受験した場合は紙のスコア原本と写しの提出で、この場合はPDFをダウンロードして印刷したものは認められません。TOEICのデジタル公式認定証を提出する場合は「QRコードを読み取れるようにしてください。不明瞭なものは認めません」という指定もあります。
実務上のポイントは3つです。第一に、校内で受ける団体受験(IP・ITP)は使えません。学校で受けたスコアがあっても提出できないので、公開テストを自分で申し込む必要があります。第二に、有効期限は試験日から2年以内なので、早く取りすぎたスコアが失効することがあります。第三に、TOEFLの直送には数週間かかります。この3点を踏まえると、受験年の前年のうちに1回受けて水準を把握し、出願年の早い時期に本番のスコアを確定させておく段取りが現実的です。要項に基準点(何点以上)の記載はありませんが、スコアが判定に使われる以上、高いほど有利であることに変わりはありません。
面接
面接は全学科で実施されます。要項では選考方法の一要素として位置づけられており、配点や形式の詳細は公表されていません。受験者の報告を見ても、専門科目の口頭試問(その場で専門知識を問われる形式)が課されたという報告は目立ちません。学力試験とは別に、志望動機と入学後の学びの計画を確認する場と考えるのが自然です。
準備としては、志望学科のカリキュラムと研究分野を現行の学科ホームページで確認し、「なぜこの学科なのか」「編入後の2年間で何を学びたいのか」を自分の在学校での学習内容とつなげて説明できるようにしておくことです。とくに学科名が変わった電気電子工学科を志望する場合は、旧学科の情報ではなく現在の学科の教育内容を見て話す必要があります。
出願の実務(郵送・書類・費用)
この試験は出願手続きの指定が細かく、要項も「書類に不備がある場合は不受理となります」と明記しています。2027年度の主な指定を整理します。
- 出願方法は郵送のみ。簡易書留かつ速達で、角2封筒に「出願書類送付用ラベル」をカラー印刷して貼付。大学への持参・宅配便・バイク便は不可。東京都立大学の学部入試は原則インターネット出願ですが、編入学試験だけは紙出願です(2027年度入学者選抜要項に明記)
- 本学必着(消印有効ではない)。郵便遅配は一切考慮されない旨が明記
- 様式はA4・片面印刷。耐水性の黒ボールペンを使用し、鉛筆・シャープペンシル・消せるペンは不可
- 提出書類は、志願票、写真票(3か月以内撮影・縦4cm×横3cm)、受験票、入学考査料証明書添付用紙、連絡用宛名用紙、調査書(学校長が作成し厳封)、成績証明書(学校長が作成し厳封)、外部英語検定試験のスコアシート、返送用封筒2枚
- 返送用封筒は切手を貼って自分で用意する。受験票返送用に410円分、合否結果送付用に620円分。インダストリアルアート学科の受験生はさらに受験番号通知送付用の620円分を加えた計3枚
- 入学考査料17,000円。支払い期間は出願受付より前の2026年5月11日から始まる(Web事前申込→コンビニ・ATM・ネットバンキング・クレジットカード等)
- 受験上の配慮を希望する場合は、2026年5月11日(月)17時までに相談と申出書の提出が必要。出願受付開始より2週間早い締切
とくに注意したいのが、調査書と成績証明書を出身学校長に作成・厳封してもらう必要がある点です。学校の事務が発行するまでに時間がかかることが多く、出願期間が3日間しかないこの試験では、書類がそろわないまま締切を迎えるリスクが現実的にあります。また受験上の配慮の事前相談は出願より先に締め切られる点も、該当する人には決定的です。
次年度に向けた出願チェックリスト
- 出願資格の確認(今すぐ): 自分が短期大学または高等専門学校の卒業(見込み)者にあたるかを確認する。航空宇宙システム工学科志望なら、材料力学・熱力学・流体力学の単位を修得済みか、卒業までに修得できるかを履修計画で確かめる
- 学科を1つに決める(要項公表前): 学科の併願はできないため、出願資格・学力試験の科目・入学後の教育内容の3点から1学科(機械システム工学科なら1コース)に絞る
- 英語スコアの確保(要項公表前〜出願2〜3か月前): TOEIC L&R公開テストまたはTOEFL iBTを受験する。団体受験(IP・ITP)は使えない。TOEFLで直送が必要な場合は7〜8週間かかることを見込む
- 要項の入手(例年4月上旬ごろ): システムデザイン学部のホームページで次年度の募集要項が公表されたら、原本をダウンロードして日程・募集人員・出願資格・選考方法をすべて自分で確認する
- 受験上の配慮が必要な場合(要項公表直後): 相談と申出書の締切は出願受付開始より前。要項末尾の問合せ先へすぐ連絡する
- 証明書類の手配(出願の3〜4週間前): 調査書と成績証明書は出身学校長が作成して厳封する書類。発行に時間がかかるため早めに依頼する
- 入学考査料の納付(出願受付開始の約2週間前から): 前年度は出願受付開始の2週間前から支払い期間が始まっていた。収納証明書を所定の様式に貼付する
- 返送用封筒の準備(出願の1週間前): 長形3号封筒に指定額の切手を貼る。インダストリアルアート学科は3枚必要。宛名ラベルはカラー印刷が推奨
- 出願(受付期間内・必着): 簡易書留+速達で郵送。期間は前年度で3日間と短いため、書類は事前にすべてそろえておく
費用と入学後の扱い
| 項目 | 金額(2027年度要項) |
|---|---|
| 入学考査料 | 17,000円 |
| 入学料(東京都の住民) | 141,000円(予定額) |
| 入学料(それ以外) | 282,000円(予定額) |
| 授業料 | 年額520,800円(予定額・前期後期に半額ずつ口座振替) |
公立大学なので、入学料が住民かどうかで倍近く変わります。要項の定義は明確で、「東京都の住民」とは本人またはその者の配偶者もしくは一親等の親族が、入学の日(2027年4月1日)の1年前(2026年4月1日)から引き続き東京都内に住所を有する者を指します。認定は、本人が都内在住なら本人の住民票記載事項証明書、そうでない場合は都内在住の親族等の住民票記載事項証明書と、本人との親族関係を明らかにする戸籍抄本等によって行われます。合格してから都内に住民票を移しても対象にはなりません(入学の1年前から引き続き、という条件のため)。該当する可能性がある人は、入学の1年以上前の時点で自分または親族の住所要件を確認しておく価値があります。なお入学料・授業料には免除または減額等の制度があると要項に記載されています。
入学後の扱いについては、編入学年次は3年次、修業年数は2年と定められています。ただし「出身校での履修科目と本学カリキュラムの対応による単位認定状況によっては、修業年数が2年を超える場合があります」とあり、単位認定は入学時に決定します。詳細は合格発表後に案内される流れです。また「4年を超えて在学することはできません(休学した場合であっても、その休学期間は在学年数に算入されます)」という上限も定められています。2年で卒業できるかどうかは出身校での履修内容に依存するため、志望校が固まっている段階で在学校の履修を組み立てておくと有利に働きます。
そのほか、合格者は合格通知とともに送られる「入学確約書」を2026年8月28日(金)までに提出する必要があり、提出しない場合は入学の意思がないものとして扱われます(2027年度の場合)。入学手続は2027年2月に日野キャンパスで行われる予定と記載されていました。
併願をどう考えるか
まず学部内については、前述のとおり出願できるのは1学科のみで、試験日も全学科同一のため学内の併願はできません。
東京都立大学で編入学試験を実施しているのは、システムデザイン学部のほかに理学部と都市環境学部の計3学部です(2027年度入学者選抜要項)。ただし学部ごとに募集要項が別で、募集学科も年度によって異なります。出願受付期間も別で、2027年度は理学部・都市環境学部が2026年5月28日〜6月3日、システムデザイン学部が5月25日〜5月27日でした。学部をまたいで受験する場合は、それぞれの学部が公表する要項で日程・出願資格・試験科目を個別に確認してください。
なお、学士の学位を持っている人が3年次から入る「学士入学試験」という別区分が東京都立大学にはありますが、2027年度は全学で学士入学試験の募集がありませんでした(2027年度入学者選抜要項に「2027年度は『学士入学試験』の募集はありません」と明記)。学士を持っている人がシステムデザイン学部を目指す場合も、経路は編入学試験になります。ただし編入学試験の出願資格は短期大学・高等専門学校の卒業(見込み)者であり、学士を持っていることが出願資格になるわけではない点に注意してください。
学外との併願では、試験日が2026年7月4日(土)という時期が判断材料になります。理工系の国公立大学は編入試験を6月から8月にかけて実施する大学が多く、日程が重なるかどうかで受験プランが変わります。出願書類の準備(調査書・成績証明書の厳封、英語スコアの確保)は多くの大学で共通して必要になるため、志望校を数校決めたら、要項が出そろう前の段階で共通して使える書類とスコアを先に準備しておくと、出願期間が短い大学にも対応できます。
科目面では、数学(線形代数・確率・ベクトル解析・微分積分・微分方程式)と物理(力学・電磁気)という構成は、高専からの編入で広く出題される標準的な範囲と重なります。学習の土台は他大学と共有できるので、併願先を増やしても対策の負担が単純に倍になるわけではありません。ただし英語をスコア提出に一本化している大学と、当日筆記を課す大学では準備が異なります。志望校の英語の扱いは1校ずつ確認してください。
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よくある質問
東京都立大学システムデザイン学部の編入試験の倍率は?
大学が「教育情報の公表」のページで学科別の志願者数・受験者数・合格者数を公表しています。最新の公表は2024年度で、受験者数を合格者数で割ると学部全体で約3.0倍、学科別では航空宇宙システム工学科が約1.8倍、電子情報システム工学科(現在の電気電子工学科)が約2.2倍、機械システム工学科が約2.3〜2.5倍、情報科学科が約4.0倍、インダストリアルアート学科が約6.5倍でした。学科によって差が大きい試験です。
4年制大学の2年生ですが出願できますか?
2027年度募集要項の出願資格は、短期大学の卒業者・卒業見込者と、高等専門学校の卒業者・卒業見込者に限られています。4年制大学に在学中であることを理由とする出願資格の区分は設けられていません。他大学の在学生が受験できる編入試験とは前提が異なるため、出願を検討する段階で必ず最新の募集要項を確認してください。
試験科目と出題範囲を教えてください。
2027年度は、情報科学科が数学と英語(スコア提出)、電気電子工学科・機械システム工学科・航空宇宙システム工学科が数学・物理と英語(スコア提出)、インダストリアルアート学科は第2次選考の学力試験が数学のみです。募集要項に明記された出題範囲は、数学が線形代数・確率・ベクトル解析・微分積分・微分方程式、物理が力学・電磁気です。
英語はTOEICとTOEFLのどちらを出せばよいですか?
どちらでも提出できますが、対象となる試験の種類が限定されています。TOEICはListening & Readingのみが対象で、Speaking & Writing、Speaking、Bridge、団体受験のIPテストは認められません。TOEFLはiBTのみが対象で、Home Edition、PBT、改訂版ペーパー版テスト、団体受験のITPは認められません。いずれも試験日から過去2年以内に受験したものが有効です。
編入学の年次と入学料はどうなりますか?
編入学年次は3年次で、修業年数は2年です。ただし単位認定の状況によっては2年を超えることがあり、4年を超えて在学することはできません。2027年度募集要項に記載された入学料は、東京都の住民が141,000円、それ以外が282,000円(いずれも予定額)です。東京都の住民とは、本人か配偶者、または一親等の親族が、入学日の1年前から引き続き都内に住所を有する人を指します。
学科の併願や他学部との併願はできますか?
出願できるのは1学科のみで、学科の併願はできません。機械システム工学科も知能機械コースか生体機械コースのどちらか1コースのみです。東京都立大学では理学部・都市環境学部も編入学試験を実施していますが、学部ごとに募集要項が異なるため、併願を考える場合はそれぞれの要項で日程と出願資格を確認してください。
過去問は入手できますか?
東京都立大学が公開・閲覧に供している過去問題は一般選抜や学校推薦型選抜などが対象で、編入学試験は含まれていません。著作権の観点から、本記事でも過去問の設問そのものは記載していません。出題範囲は募集要項に明記されているため、まずはそこに挙げられた分野を教科書レベルから固めるのが確実です。オンライン編入学院の受講生はコーチを通じて対策情報の提供を受けられます。
まとめ
東京都立大学システムデザイン学部の編入試験は、短期大学・高等専門学校の卒業(見込み)者を対象とした3年次編入で、数学(学科によっては物理も)と面接、そしてTOEICまたはTOEFLのスコア提出で選考されます。数学の出題範囲が線形代数・確率・ベクトル解析・微分積分・微分方程式と要項で明示されているため、対策の輪郭ははっきりしています。逆に言えば、5分野のどれか1つに穴があれば大問1つ分の失点につながる構造です。
難易度は学科によって大きく異なり、大学公表の実施状況では最新の2024年度で約1.8倍から約6.5倍まで開きがありました。学科の併願ができない以上、学科選びは倍率ではなく出願資格と学びたい内容から決め、そのうえで数学と物理の基礎を1年前後かけて積み上げるのが現実的な進め方です。英語のスコアは出願の必須書類で、団体受験のIP・ITPが使えず有効期限も2年以内と条件が細かいため、最初に手を付けるべき項目でもあります。まずは次年度の募集要項が公表されるまでに、志望学科の決定と英語スコアの確保という2つを済ませておきましょう。
あとは、いまの自分の位置から何を先にやるかです。志望校と現在の状況をうかがったうえで、順番を整理します。
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監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)。本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。試験概要は大学が公表する募集要項をもとに毎年度確認し、更新しています。出題傾向はオンライン編入学院の過去問分析にもとづいています。
※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ|最終更新: 2026年9月6日

