鹿児島大学農学部の編入試験対策|口頭試問と英語スコアで決まる選抜
鹿児島大学の編入(全学部の募集・日程の一覧)
鹿児島大学農学部の3年次編入試験は、2027年度(令和9年度)入学者選抜から選抜方法が大きく変わりました。それまで課されていた専門科目「農学基礎」の筆記試験が廃止され、試験当日に行われるのは口頭試問だけになっています。英語も会場で受ける TOEFL-ITP から、出願時に提出する外部検定試験(TOEIC Listening & Reading または TOEFL iBT)のスコアに切り替わりました。
その結果、配点は英語50点+口頭試問50点=100点という、きわめてシンプルな構成になっています。募集人員は農学部農学科で5人。1日で複数科目を解く従来型の編入試験とは、準備のしかたがまったく違う試験になりました。
この記事では、2027年度要項の原本にもとづいて、日程・出願資格・提出書類・4つのプログラムの選び方・口頭試問と英語の準備の順番を整理します。旧制度の筆記で問われていた範囲も、口頭試問で求められる「基礎的な学力」の水準を測る材料として最後に触れます。
出願資格は大学ごとに条件が細かく分かれます。短大・高専・専門学校・大学在学中で扱いが変わり、英語資格が要る大学もあります。自分が出願できるかどうかは、条件を1つずつ突き合わせないと分かりません。
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まず押さえる3点|この試験で合否を分けるもの
1. 英語は「当日」ではなく「出願前」に決まる。会場で英語の試験を受けるのではなく、出願書類としてスコアを提出します。出願締切までにスコアが手元にない人は、そもそも出願できません。
2. 筆記が無いぶん、口頭試問の重みが最大化している。口頭試問は50点満点であるうえに、得点が学部の定める基準に届かないと合計点の順位に関係なく不合格になることがあります。合計点が同じ場合も口頭試問の得点が優先されます。
3. 志望プログラムを1つ選んで出願する。口頭試問は「志望プログラム毎に」行われます。願書・写真票・受験票・志望理由書のすべてに志望プログラムを書く欄があり、出願の時点で専門分野の方向が決まります。
この3点は、いずれも2027年度(令和9年度)の学生募集要項に明記されている内容です。以下、それぞれを順番に見ていきます。
試験概要(最新要項データ)
2027年度(令和9年度)入学者選抜
| 募集単位 | 農学部農学科(1学科体制)。志望プログラムは植物資源科学/環境共生科学/食品生命科学/農食産業・地域マネジメントの4つから1つを出願時に選択します。 |
|---|---|
| 編入年次 | 第3年次(2027年4月1日付) |
| 選抜方法 | 英語(50点)と口頭試問(50点)の合計得点で順位付けし、合否を決定。口頭試問の得点が学部の定める基準に満たない場合は、合計得点の順位にかかわらず不合格とすることがあります。合計得点が同点の場合は口頭試問の得点を優先します。 |
| 英語の扱い | 提出された英語外部検定試験のスコアを、学部が定める換算表にもとづいて50点満点に換算。対象はTOEIC Listening & Reading Test または TOEFL iBT。2027年度要項では2024年5月25日以降に受験したスコアが対象とされていました。 |
| 当日の時間割 | 2026年7月1日(水)10時00分〜 口頭試問(会場は鹿児島大学農学部。試験室は別途通知) |
| 出願資格(6区分) | ①大学卒業/②短期大学・高等専門学校の卒業(見込み)/③修業年限4年以上の大学に2年以上在学し62単位以上修得(見込み)/④外国において①〜③に相当する資格を得た者/⑤専修学校専門課程(修業年限2年以上・総授業時数1,700時間以上)の修了(見込み)/⑥高等学校等の専攻科(修業年限2年以上等)の修了(見込み)。⑤⑥は大学入学資格を有する者に限られます。 |
| 必要単位 | 62単位以上は出願資格③(大学に2年以上在学)だけにかかる要件です。学部全体に一律で課される条件ではありません。 |
| 検定料 | 30,000円(コンビニエンスストアまたはクレジットカードで支払い、収納証明書を貼付台紙に貼って提出。出願期間内の最終日14時までに納付) |
| 合格発表 | 2026年7月21日(火)10時。合格者本人へ通知書を郵送し、農学部ウェブサイトにも受験番号を掲載 |
| 入学手続 | 2026年7月27日(月)〜7月30日(木)9時〜16時(12〜13時を除く)。郵送は7月30日17時必着 |
この表は2027年度(令和9年度)鹿児島大学農学部3年次編入学学生募集要項にもとづきます(更新日: 2026-09-19)。2027年度の日程はすでに終了しています。2028年4月入学を目指す方は、例年5月ごろに農学部ウェブサイトへ掲載される次年度の募集要項を必ず原本で確認してください。日程・選抜方法・出願資格は毎年変わる可能性があります。
科目と日程が分かっても、いまの学習量で間に合うか、何を先にやるかは人によって変わります。併願先との重なりも、組み合わせ次第で負担が大きく変わります。
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2027年度からの制度変更|専門科目の筆記がなくなった
鹿児島大学農学部は、2025年3月28日付で「令和9年度鹿児島大学農学部3年次編入の入試変更について」という告知を公表し、選抜方法の変更を予告しました。変更の内容は、要項の原本を並べると次のようになります。
| 2026年度入学まで(旧制度) | 2027年度入学から(現行) | |
|---|---|---|
| 英語 | 当日実施のTOEFL-ITP(Level 2)。3セクション合計500点満点を80点に換算。説明30分+試験70分 | 出願時に提出する外部検定スコア(TOEIC L&R または TOEFL iBT)を50点に換算 |
| 専門科目 | 「農学基礎」を当日筆記(13時〜14時30分)。8分野から1つを出願時に選択。100点満点だが、順位付けの合計点には用いない扱い | 廃止(筆記試験そのものが無くなりました) |
| 口頭試問 | 20点 | 50点 |
| 足切り | 英語70%・専門科目60%・口頭試問60%に満たない場合は不合格とすることがある | 口頭試問が学部の定める基準に満たない場合は不合格とすることがある |
| 同点時 | 英語、口頭試問の順に優先 | 口頭試問の得点を優先 |
受験生にとって、この変更が持つ意味は大きく3つあります。
①「試験当日の一発勝負」ではなくなった
旧制度の英語は会場で受ける TOEFL-ITP でした。ふだんの実力がどれだけあっても、当日の出来にそのまま左右されます。現行制度では、出願前に何度でも受け直したスコアの中から、いちばん良いものを提出できます。英語は「準備期間の長さ」で差がつく要素に変わりました。逆に言えば、出願直前になって「まだスコアがない」と気づくと、その年度は出願できません。
② 専門知識の見せ方が「書く」から「話す」に変わった
旧制度では、8分野の中から選んだ1分野について90分の筆記で知識を示すことができました。現行制度では、その機会が口頭試問に集約されています。要項には「口頭試問は志望プログラム毎に学習意欲と専門分野に関する基礎的な学力を問う」と書かれており、問われる内容そのものが消えたわけではなく、問われ方が変わったと読むのが自然です。答えを紙に書き出す時間はなく、その場で言葉にする必要があります。
③ 口頭試問を落とすと挽回できない
配点が20点から50点へ増えただけでなく、基準点に達しなければ合計点の順位と無関係に不合格になり得ること、同点時に優先されることの両方が、口頭試問に集中しています。英語スコアが高いことは前提条件にすぎず、それだけでは合格に届きません。この構造を理解しないまま「英語で稼げばよい試験」と考えると、準備の配分を誤ります。
志望プログラムの選び方|4つの研究領域
農学部は農学科1学科の中に4つのプログラムを置いています。出願時に1つを選び、口頭試問はそのプログラムに沿って行われます。2027年度要項に記載された教育研究分野は次のとおりです。分野名は所属教員の研究領域を示すもので、変更となる可能性があると要項に注記されています。
| プログラム | 要項に挙げられた教育研究分野 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 植物資源科学 | 植物育種学/熱帯作物学/国際環境農学/植物病理学/果樹園芸学/植物栄養・肥料学/土壌・植物微生物学/環境情報システム学/熱帯果樹園芸学/観賞園芸学/作物学/植物栽培・機能学/農業環境システム学/園芸作物生産学/施設園芸学 | 作物や果樹の栽培・育種、土壌や肥料、園芸に関心がある人。南九州・南西諸島という立地を生かした熱帯・亜熱帯の作物研究がそろっているのが特徴です |
| 環境共生科学 | 農林業DX/木材工学/害虫学/砂防学/森林教育学/育林学/森林計画学/森林保護学/利水工学/植物間コミュニケーション/動物行動学/樹木生理生態学/林政学/農地環境保全学/森林利用学/木質組織学/昆虫生態学 | 森林・林業、防災や水利、昆虫や動物の生態、木材利用に関心がある人。工学寄りの分野(砂防・利水・木材工学)と生態学寄りの分野が同居しています |
| 食品生命科学 | 応用微生物学/先端健康科学/応用糖質化学/焼酎製造学/難消化性糖質化学/食品分子機能学/生命高分子化学/醸造微生物学/食品化学 | 食品化学・生化学・微生物に関心がある人。鹿児島大学は焼酎製造学の研究と「焼酎マイスター養成コース」を持つ点が全国的にも珍しい特色です |
| 農食産業・ 地域マネジメント | フードシステム論/農業経済学/農業市場学/農産食品保蔵学/食品加工学 | 農業経営・流通・地域振興といった社会科学寄りのテーマに関心がある人。自然科学系の実験研究とは準備の方向が異なります |
プログラム選びは、口頭試問で何を聞かれるかを自分で決める作業でもあります。次の順番で考えると迷いにくくなります。
- 出身校で積み上げた科目を書き出す。短大・高専・専門学校・大学の1〜2年で履修した科目のうち、成績と理解に自信のあるものを並べます。口頭試問は「基礎的な学力」を問う場ですから、ここに厚みのある分野を選ぶのが第一原則です。
- 卒業後にやりたいことと突き合わせる。研究分野一覧は、そのまま3年次以降に配属される研究室の候補になります。要項には「プログラム内の研究分野配属について、人数制限等の理由により希望の研究分野に配属できない場合があります」とも書かれているため、1つの分野だけに賭けず、同じプログラム内に関心を持てる分野が複数あるかを確認しておくと安全です。
- 志望理由書1,000字が書けるか試す。出願書類には志望プログラムを明記した1,000字程度の志望理由書があります。実際に書いてみて筆が止まるプログラムは、口頭試問でも答えに詰まります。この試し書きが、いちばん実践的な適性テストになります。
難易度の見方|公表されている合格者数から読む
鹿児島大学農学部は、3年次編入学試験の合格者を農学部ウェブサイトのお知らせで公表しています。一方で志願者数・受験者数は公表されていないため、倍率(受験者数÷合格者数)は算出できません。ここで示せるのは合格者数だけです。
| 入学年度 | 募集人員 | 第1次募集の合格者 | 第2次募集 |
|---|---|---|---|
| 2023年度 (令和5年度) | — (旧3学科制) | 農業生産科学科2名/食料生命科学科は該当者なし | — |
| 2026年度 (令和8年度) | 5人 | 1名 | 実施。合格者は該当者なし |
| 2027年度 (令和9年度) | 5人 | 6名 | 本記事の更新時点で告知なし |
出典: 鹿児島大学農学部ウェブサイトのお知らせ「令和5年度鹿児島大学農学部3年次編入学試験合格者について」(2022年7月26日)/「令和8年度農学部3年次編入学試験合格者について」(2025年7月22日、および第2次募集分2025年12月4日)/「令和9年度農学部3年次編入学試験合格者について」(2026年7月21日)。いずれも農学部の3年次編入学試験に関する掲示であり、一般選抜や大学院のデータではありません。
この2年の対比は、受験を考える人にとって示唆的です。旧制度最後の年(2026年度入学)は、募集人員5人に対して第1次募集の合格者が1名、秋の第2次募集も該当者なしという結果でした。制度が変わった2027年度入学は、同じ募集人員5人に対して合格者6名。募集人員は「上限」ではなく目安であり、条件を満たす受験生がいれば人員を上回る合格が出る一方、基準に届かなければ定員割れのまま締めることもある——という運用が読み取れます。
ここから引き出せる実践的な結論は2つです。第一に、合格者数の少なさを「倍率が低い」とも「狭き門」とも即断できないということ。志願者数が公表されていない以上、何人と競うかは分かりません。第二に、基準点に達することが最優先だということ。旧制度で「該当者なし」の回が出ていた事実は、順位争いの前に足切りの壁があることを示しています。他の受験生と比べるより、口頭試問で基準を確実に超える準備を積むほうが、この試験では合理的です。
個人成績の開示制度があります。2027年度入学者選抜では2026年8月3日〜8月28日の平日9時〜16時(夏季休業期間を除く)に、受験者本人が受験票を持参または簡易書留で請求すると、科目ごとの得点と総合得点が開示されます。再受験を考える場合、自分がどちらの要素で届かなかったのかを知る唯一の手段です。
第2次募集というもう一つの機会
鹿児島大学農学部では、年度によって秋に第2次募集が行われます。募集人員は「若干人」で、出願資格・提出書類・選抜方法は第1次募集と同じ枠組みです。近年の実施状況は次のとおりでした。
| 入学年度 | 出願期間 | 選抜実施日 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 (令和7年度) | 2024年10月7日〜 10月15日 | 2024年11月19日 | 2024年12月12日 |
| 2026年度 (令和8年度) | 2025年10月14日〜 10月16日 | 2025年11月18日 | 2025年12月4日 |
第2次募集は、告知が出る時期が読みにくいのが難点です。2025年度入学分は2024年7月22日、2026年度入学分は2025年8月4日に、それぞれ農学部ウェブサイトのお知らせで告知されました。いずれも第1次募集の合否が出たあとの夏場です。7月の合格発表が終わったら、8月中は農学部ウェブサイトのお知らせを週1回は確認する——これが、機会を逃さないための実務的な習慣になります。
ただし、第2次募集は毎年必ず行われるものではありません。第1次募集で募集人員が満たされた年度に実施されるとは限らないため、「秋にもう一度ある」と当て込んで7月の準備を緩めるのは危険です。あくまで、第1次で届かなかった場合の再挑戦の窓口として位置づけてください。
英語の準備|スコアは出願書類である
現行制度では、英語は試験科目ではなく出願書類です。提出できるのは次の2つのいずれかです。
| 検定 | 提出するもの | 注意点 |
|---|---|---|
| TOEIC Listening & Reading Test | Official Score Certificate(公式認定証)の原本、または Digital Official Score Certificate(デジタル公式認定証)の写し | 公式認定証は試験日から届くまでに時間がかかります。原本を提出する場合、出願期間に間に合うよう受験日を逆算してください |
| TOEFL iBT | Test Taker Score Report の写し | 加えて、出願書類提出までに ETS のサイトから My TOEFL Home にログインし、鹿児島大学の DI コード【0479】を入力して公式スコアデータのオンライン提出手続きを行う必要があります。書類だけ送って手続きを忘れると要件を満たしません |
スコアの有効期間は、2027年度要項では「2024年5月25日以降に受験したもの」とされていました。出願開始日(2026年5月25日)からちょうど2年さかのぼった日付です。制度変更の告知でも「出願時から遡って2年以内に取得したもの」と説明されています。基準日は年度ごとに動くので、必ず当該年度の要項で確認してください。
換算表は公表されていない
要項には「本学部で定める換算表に基づいて50点満点に換算」とあるだけで、換算表そのものは公表されていません。したがって「TOEIC◯点で何点分」という数値を示すことはできません。分かるのは、スコアが高いほど有利であること、そして満点でも50点分にしかならないことの2つです。
この構造からは、次の判断が導けます。英語スコアだけで合否は決まりません。とはいえ、英語は口頭試問と違って本番前に結果が確定する唯一の得点源です。出願の半年〜1年前から取り組み、納得できる水準に達したところで打ち止めにして、残りの時間を口頭試問と志望理由書に回す——という配分が現実的です。
TOEICとTOEFL iBTのどちらを選ぶか
- 受験しやすさ・費用ならTOEIC L&R。実施回数が多く、受験料も抑えられます。すでに学内で受験した経験がある人も多いはずです。ただし2年以内という条件があるため、古いスコアは使えません。
- 大学院進学や留学まで視野に入れるならTOEFL iBT。スピーキング・ライティングを含む4技能型で、対策の負担は大きくなりますが、進学後の交換留学制度などで生きる場面があります。
- 迷ったら、まず両方の公式サンプルを解いてみる。形式との相性で伸び方が変わります。編入試験のためだけなら、短期間でスコアを積み上げやすい方を選ぶのが合理的です。
なお、旧制度で使われていた TOEFL-ITP は団体向けの試験で、大学が会場で実施するものでした。現行制度とは別物であり、TOEFL-ITP のスコアカードを提出しても要件を満たしません。過去の情報を見て準備を進めてしまわないよう注意してください。
口頭試問の準備|50点を取りにいく
要項が口頭試問について書いているのは「志望プログラム毎に学習意欲と専門分野に関する基礎的な学力を問う」という一文だけです。質問の内容や形式は公表されていません。しかし、この一文と、出願書類の構成、そして旧制度で専門科目に置かれていた範囲を重ね合わせると、準備すべきものは具体的に絞り込めます。
① 学習意欲=志望理由書を土台にする
出願書類には、志望プログラムを明記した1,000字程度の志望理由書があります。手元にコピーを残し、面接官がそれを読んでいる前提で準備してください。書いた内容について「なぜそう考えたのか」「具体的にはどの科目・どの経験からか」「入学後にどの分野で学びたいのか」を掘り下げられても答えられる状態にしておきます。
志望理由書に書く内容は、次の3つを結びつけると筋が通ります。
- これまで学んだこと(出身校の科目・実習・卒業研究や課題研究のテーマ)
- 鹿児島大学農学部で学びたいこと(志望プログラムの教育研究分野のうち、どこに関心があるか)
- 卒業後にやりたいこと(進路・職種・地域との関わり方)
とくに真ん中が弱いと、「農学を学びたい」という一般論で終わってしまいます。要項に列挙された研究分野名は、この部分を具体化するための最良の材料です。
② 基礎的な学力=専門用語を「話せる」状態にする
筆記であれば、思い出すまでの数十秒は自分のものです。口頭試問では、その数十秒がそのまま沈黙になります。準備の方向は「覚える」ではなく「30秒で説明できるようにする」です。具体的には、志望プログラムの中心的な用語を50〜100個選び、それぞれについて「一言で言うと何か」「なぜ重要か」「具体例は何か」の3点を声に出して言えるようにします。
オンライン編入学院の過去問分析では、旧制度で「農学基礎」の生化学分野に置かれていた問いは、次の5領域に安定して分布していました。用語補充・語句説明・論述・構造式の記述と形式は年によって変わりますが、扱う領域そのものは動いていません。
| 領域 | 問われていた内容の範囲 |
|---|---|
| 糖質 | 単糖の分類と立体異性体、二糖の構成と結合様式、還元性の有無、環状構造の表し方 |
| アミノ酸・ タンパク質 | 側鎖による分類、必須アミノ酸、等電点、ペプチド結合、一次〜三次構造、精製法と定量法 |
| 脂質 | 脂肪酸の表記と融点、グリセロリン脂質の両親媒性、生体膜の構造 |
| 代謝 | 同化と異化、解糖系・クエン酸回路・電子伝達系、ATP、酵素のアロステリック調節とフィードバック阻害、糖新生 |
| 核酸・ 分子生物学 | ヌクレオチドの構成、塩基の分類、DNA複製と転写・翻訳、真核生物と原核生物の違い、PCR |
著作権の観点から、過去問の設問そのものは記載していません。またこの範囲は現行の出題傾向ではありません。専門科目の筆記は2027年度入学者選抜から廃止されており、上の表は「基礎的な学力」として大学がどの程度の水準を想定してきたかを推し量るための参考です。旧制度の過去問をそのまま現在の対策に使わないでください。
とはいえ、この一覧は食品生命科学プログラムを志望する人にとって、なお有用な指標です。大学が編入生に期待する基礎は、大学1〜2年で学ぶ生化学の教科書の範囲に収まっていることが分かるからです。同じ考え方は他のプログラムにも当てはまります。旧制度で並んでいた8分野の説明——植物生産学は作物の生態生理・遺伝育種・栽培技術、土壌・肥料学は土壌科学と植物栄養学、森林科学は森林・林業、農業生態学は環境保全型農業、農業工学は農業農村工学・農業機械学・農業環境学、食品学は食品化学と栄養化学、食料農業経済学は農業経済学・農業市場学・農業経営学——は、いずれも各プログラムの基礎科目の範囲そのものです。志望プログラムに対応する分野の教科書を1冊、通しで固めることが最短の準備になります。
③ 想定問答と模擬練習
口頭試問は、知識があっても慣れていないと実力が出ません。次の3種類を、できれば人を相手に練習してください。
- 志望動機系: なぜ編入か/なぜ鹿児島大学か/なぜこのプログラムか/入学後に学びたいこと/卒業後の進路
- 経歴系: これまでの学習内容/得意な科目と苦手な科目/卒業研究や課題研究の内容/実習や実験の経験
- 専門知識系: 志望プログラムの基本用語の説明/関心のあるテーマについての説明/「分からない」と言うべき場面での答え方
3つめの最後は軽視されがちですが重要です。答えられない質問が来たときに黙り込むのと、「その点は学習が及んでいませんが、関連して◯◯までは理解しています」と言えるのとでは、印象が大きく違います。学習意欲を見る場である以上、知らないことへの向き合い方も評価対象になり得ます。
出願手続きのチェックリスト
この試験は、出願書類の不備がそのまま失格につながります。要項には「出願書類に不備があるものは受け付けません」「出願書類受理後はいかなる理由があっても記入事項及び書類の変更は認めません」と明記されています。次の順番で進めてください。
- 【1年前〜】英語の検定を受け始める。スコアの有効期間は出願日から2年程度です。早すぎると期限切れになり、遅すぎると証明書が間に合いません。出願年の前年春以降に受け始めるのが目安です。
- 【4〜5か月前】出願資格の区分を確定する。自分が6区分のどれで出願するかを決めます。大学に2年以上在学する区分なら、出願時点で62単位を満たす(見込みを含む)かを履修計画から逆算して確認してください。
- 【3か月前】募集要項を請求する。農学部ウェブサイトからPDFをダウンロードできますが、所定用紙(願書・写真票・受験票・志望理由書)が必要なため、窓口または郵送で請求します。郵送請求には送付依頼書と返信用封筒(またはレターパック)が要ります。
- 【2か月前】証明書類を依頼する。成績証明書または調査書(修得科目と単位数が明記されたもの)、卒業証明書または卒業見込証明書(出身学校長・学部長が作成し厳封したもの)。在学中の方は在学証明書または在学期間証明書。発行に2〜4週間かかる学校もあるため、出願期間より前に依頼を済ませます。
- 【2か月前】障害等のある方は事前相談を申請する。2027年度は5月11日が期限でした。出願期間より2週間ほど早いので、該当する方はここを最初に押さえてください。
- 【1か月前】志望理由書を書き上げる。1,000字程度。志望プログラムを明記します。書いたら第三者に読んでもらい、口頭試問で掘り下げられても答えられる内容かを確認します。
- 【出願期間】検定料30,000円を納付し、書類一式を提出する。受付は9時〜16時。郵送はレターパックプラスで、封筒表面に「農学部3年次編入学願書在中」と記載し、締切日17時までに必着(消印有効ではありません)。検定料は最終日14時までに納付します。
- 【同時に】返信用封筒と宛名シールを同封する。受験票送付用に、郵便番号・住所・氏名を明記し410円切手を貼った長形3号封筒(2027年度要項の金額)。要項に添付された宛名シールにも記入します。
- 【試験日】口頭試問。10時開始。試験室は別途通知されます。受験票を必ず携帯し、試験中は机上に置きます。
- 【合格発表後】入学手続。期間内に完了しない場合は入学辞退とみなされます。卒業見込みで出願した方が3月31日までに卒業できなかった場合、入学許可は取り消されます。
荒天時や不測の事態で所定の日程での実施が困難と大学が判断した場合、試験時間の繰り下げや延期の対応がとられることがあり、その告知は農学部ウェブサイトに掲載されます。台風の通過が多い地域であり、試験前日から当日朝は必ずサイトを確認してください。
併願戦略|7月上旬という試験日をどう使うか
鹿児島大学農学部の編入試験は、例年7月上旬の平日に実施されます。この時期は農学系の国立大学の編入試験が集中する期間で、日程が重ならない限り複数校を受けられます。募集人員5人という規模を考えると、単願で臨むより併願を前提に組み立てるほうが現実的です。
併願先を選ぶときの視点は3つあります。
- 選抜方式が近い大学を混ぜる。鹿児島大学農学部は英語外部スコア+口頭試問という構成です。同じく外部スコアを利用する大学を選べば、英語の準備を共通化できます。逆に専門科目の筆記を課す大学を併願する場合は、筆記対策の時間を別に確保する必要があります。
- 出願期間の重なりを確認する。証明書の発行は1通ずつ費用と時間がかかります。5月〜6月に出願が集中するため、必要な証明書の枚数をまとめて依頼しておくと手戻りがありません。
- 学びたい分野が本当にあるかで選ぶ。編入は「大学名」ではなく「研究室」に入る選択です。併願先も、志望理由書に書ける研究分野があるかどうかで絞り込んでください。口頭試問中心の選抜では、志望理由の具体性が薄い受験生はすぐに見抜かれます。
鹿児島大学の他学部を併願する選択肢もあります。学部ごとに試験日・選抜方法・出願書類が独立しているため、日程が重ならなければ併願できます。ただし出願書類はそれぞれ別に用意する必要があり、検定料も学部ごとにかかります。
学習ロードマップ|1年前から本番まで
- 12か月前
志望プログラムを仮決めし、その分野の教科書を1冊選ぶ。英語の検定(TOEIC L&R または TOEFL iBT)を初回受験し、現在地を測る。出身校の履修計画を確認し、出願資格の区分を確定する。 - 9か月前
専門の教科書を通読し、章末の用語を書き出す。英語は毎日の学習を習慣化し、2〜3か月に1回のペースで受験する。志望プログラムの研究分野一覧を読み込み、関心のある分野を3つに絞る。 - 6か月前
用語を「30秒で説明する」練習に切り替える。声に出して録音し、詰まる箇所を洗い出す。志望理由書の下書きを作る。英語スコアが目標水準に近づいたら、証明書の発行手順を確認しておく。 - 4か月前
募集要項が公表されたら原本を精読し、日程・提出書類・出願資格の変更点を確認する。証明書類を依頼する。志望理由書を完成させ、第三者に読んでもらう。 - 2か月前
出願期間内に書類を提出(郵送はレターパックプラス・締切日必着)。検定料を納付する。出願後は口頭試問の模擬練習に集中する。 - 1か月前
志望理由書のコピーを読み返し、掘り下げ質問への回答を用意する。専門用語の説明を一通り復習する。想定問答を人を相手に3回以上通す。 - 前日・当日
受験票・筆記用具・時計を準備。会場までの経路と所要時間を確認。荒天の可能性がある場合は農学部ウェブサイトの告知を確認する。当日は10時開始に余裕を持って到着する。
直前期のチェックリスト
- 志望理由書に書いた内容を、自分の言葉で3分間話せるか
- 志望プログラムの主要な用語を、見ないで30秒ずつ説明できるか
- 「なぜ編入なのか」に、出身校を否定せずに答えられるか
- 入学後に学びたい研究分野を、要項に載っている名称で言えるか
- 卒業後の進路について、農学の学びとつながる形で説明できるか
- 答えられない質問が来たときの受け答えを決めてあるか
- 受験票・写真・持ち物を前日までにそろえてあるか
- 会場(鹿児島大学農学部)までの経路と所要時間を確認したか
入学後に知っておくこと
単位認定と在学年数
編入学前に修得した単位は、最大62単位まで認定されます。認定は入学後の評価によるため、出願時点で結果は分かりません。要項には、既修得単位の認定状況によっては卒業までに3年以上を要することがあること、資格や教員免許が取得できない場合があることが明記されています。また外国語については入学までに6単位以上を修得していることが望まれるとされており、出身校で外国語科目を十分に履修しているかは早めに確認しておくべき点です。農学部農学科の卒業要件は124単位(共通教育科目30単位+専門教育科目94単位)です。
取得できる資格・教員免許
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 資格 | 食品衛生管理者(任用資格)/食品衛生監視員(任用資格)/自然再生士補/樹木医補/森林情報士2級。後者3つは所定の科目を履修した場合に限られます |
| 教員免許 | 高等学校教諭一種免許状(農業)。取得には教育学部などが開講する必修科目を別途履修する必要があります |
要項には重要な注記があります。食品衛生管理者・食品衛生監視員の資格取得に必要な科目については原則として科目の読替えを行うことができません。ただし、編入学前に在学していた大学等が食品衛生管理者・食品衛生監視員の養成施設であった場合に限り、シラバス等で内容を確認したうえで読替えができる場合があるとされています。これらの資格を目的に編入を考えている方は、出身校が養成施設に該当するかを事前に確認してください。
学費・その他
2027年度要項に記載された金額は、入学料282,000円、授業料535,800円(前期267,900円・後期267,900円)です。授業料は入学年の5月に自動引落しとなります。願い出により選考のうえ、徴収猶予や免除される制度があります。なお入学後の転学部は認められません。プログラム選びと同様、学部選択の時点で方向を決める必要があります。
おすすめ参考書|専門基礎を固める
口頭試問で問われる「基礎的な学力」は、大学1〜2年の専門基礎の範囲です。ここでは、農学・生命科学系の編入試験で広く使われている基本書を挙げます。志望プログラムに応じて、必要なものを1〜2冊、通しで固めるのが効率的です。
- キャンベル生物学: 生物学全体を1冊で見渡せる標準的な教科書です。生態系・遺伝・代謝・分子生物学までが体系的に並んでいるため、環境共生科学や植物資源科学を志望する人が「専門用語の位置づけ」を確認するのに向きます。分厚いので、通読より索引から引く使い方が現実的です。
- Essential細胞生物学: 細胞・分子レベルの内容を、図を中心に理解できる定番書です。DNA複製・転写・翻訳・代謝といった、旧制度の生化学分野でくり返し扱われていた領域と重なります。食品生命科学プログラムを志望する人の土台になります。
- マクマリー一般化学(下): 平衡・酸塩基・熱力学など、化学の基礎を扱う教科書です。食品化学・生化学・土壌肥料学の理解は、この層の理解の上に成り立ちます。全部をやる必要はなく、志望分野に関わる章を選んで固めてください。
- 化学一問一答 完全版: 高校化学の総点検用です。「無機化学の各論があいまい」「有機化合物の官能基が出てこない」といった穴を、短時間で埋めるのに使えます。教科書の前段階として位置づけると効果的です。
上に挙げた4冊は、農学・生命科学系の編入試験で使われる標準的な基本書として選んでいます。鹿児島大学農学部の出題内容との対応が確認できているという趣旨ではありません。志望プログラムによって必要な分野は変わるため、まずは出身校で使っている教科書を優先し、足りない部分を補う形で選んでください。
よくある質問
鹿児島大学農学部の編入試験に専門科目の筆記はありますか?
2027年度入学者選抜からは課されません。2026年度入学者選抜までは「農学基礎」という専門科目の筆記があり、植物生産学・土壌肥料学・森林科学・農業生態学・農業工学・食品学・生化学・食料農業経済学の8分野から1つを出願時に選ぶ方式でしたが、2027年度からは選抜方法が英語(外部検定試験のスコア)50点と口頭試問50点の合計100点に変更されました。大学は2025年3月28日付で「令和9年度鹿児島大学農学部3年次編入の入試変更について」としてこの変更を告知しています。
英語はTOEICとTOEFLのどちらを出せばよいですか?
2027年度入学者選抜では、TOEIC Listening & Reading Test または TOEFL iBT のいずれかのスコアを提出します。TOEICは公式認定証の原本またはデジタル公式認定証の写し、TOEFL iBTはTest Taker Score Reportの写しに加えて、ETSのサイトから鹿児島大学のDIコード0479を指定して公式スコアデータをオンライン提出する手続きが必要です。どちらのスコアも学部が定める換算表で50点満点に換算されます。換算表は公表されていないため、何点で何点分になるかは事前には分かりません。
英語のスコアはいつ受験したものまで有効ですか?
2027年度入学者選抜の要項では、2024年5月25日以降に受験したスコアが対象とされていました。これは出願開始日から2年さかのぼった日付にあたります。制度変更を告知した文書でも「出願時から遡って2年以内に取得したもの」と説明されているため、次年度以降も出願日基準で2年以内という考え方になる可能性が高いと考えられますが、有効期間の起算日は年度ごとに要項で確認してください。
出願に62単位は必ず必要ですか?
全員に必要な条件ではありません。62単位の要件がかかるのは「修業年限4年以上の大学に2年以上在学し」という出願資格の区分だけです。短期大学・高等専門学校の卒業(見込み)、大学卒業、専修学校専門課程の修了(見込み)、高等学校専攻科の修了(見込み)、外国においてこれらに相当する資格を得た方は、それぞれの区分の条件を満たせば出願できます。自分がどの区分で出願するのかを最初に確定させてください。
口頭試問では何が問われますか?
2027年度入学者選抜の要項には「口頭試問は志望プログラム毎に学習意欲と専門分野に関する基礎的な学力を問う」と書かれています。つまり、志望する4プログラムのどれを選んだかによって問われる専門分野が変わります。配点は50点で、口頭試問の得点が学部の定める基準に満たない場合は合計得点の順位にかかわらず不合格になることがあり、合計得点が同点のときは口頭試問の得点が優先されます。筆記が無くなった分、口頭試問の比重は以前より大きくなっています。
第2次募集はありますか?
年度によります。2025年度入学と2026年度入学では、いずれも秋に第2次募集(募集人員は若干名)が実施されました。2026年度入学の第2次募集は2025年11月18日に実施され、結果は「該当者なし」と公表されています。2027年度入学については、本記事の更新時点で第2次募集の告知は出ていません。第2次募集は農学部のウェブサイトのお知らせで告知されるため、7月の合格発表以降はお知らせ欄を定期的に確認してください。
編入学すると2年間で卒業できますか?
認定される単位によって変わります。要項では、編入学前に修得した単位のうち最大62単位までを認定するとしたうえで、既修得単位の認定状況によっては2年間で卒業できないことや、資格・教員免許が取得できない場合もあると明記されています。また、外国語については入学までに6単位以上を修得していることが望まれるとされています。卒業要件は124単位です。
この記事の情報はいつ時点のものですか?
2027年度(令和9年度)鹿児島大学農学部3年次編入学学生募集要項と、鹿児島大学農学部が公表した合格者発表・入試変更の告知にもとづき、2026年9月19日に更新しています。2027年度の日程はすでに終了しています。日程・選抜方法・出願資格は毎年変わる可能性があるため、出願前には必ず大学が公表する最新の募集要項を確認してください。
まとめ
鹿児島大学農学部の3年次編入試験は、2027年度入学者選抜から英語(外部検定スコア)50点+口頭試問50点という構成になりました。専門科目の筆記は廃止され、試験当日に行われるのは口頭試問だけです。募集人員は農学科で5人、志望プログラムは出願時に4つから1つを選びます。
準備の順番はほぼ一本道です。まず英語のスコアを固め、次に志望プログラムを決め、そのプログラムの基礎科目を「話せる」水準まで持っていく。志望理由書1,000字は、口頭試問の台本を自分で書く作業でもあります。ここを丁寧に作れるかどうかが、当日の受け答えの厚みに直結します。
2027年度の日程はすでに終了しています。2028年4月入学を目指す方は、例年5月ごろに公表される次年度の募集要項を原本で確認し、英語のスコアを出願期間に間に合う形でそろえるところから始めてください。旧制度の情報が検索結果に残っているため、TOEFL-ITPや「農学基礎」を前提にした対策情報に引きずられないことが、この大学に関しては何より重要です。
あとは、いまの自分の位置から何を先にやるかです。志望校と現在の状況をうかがったうえで、順番を整理します。
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監修: オンライン編入学院(株式会社BearBee)。本記事は、2年連続合格者数No.1※の大学編入予備校オンライン編入学院が監修しています。試験概要は大学が公表する募集要項をもとに毎年度確認し、出題傾向はオンライン編入学院の過去問分析にもとづいています。
※調査対象期間:2024/4〜2026/3 TPCマーケティングリサーチ(株)調べ|最終更新: 2026年9月19日





